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慶応大学、空中に投影できる裸眼3Dディスプレイを開発

〜複数ユーザーが同時利用可能

「HaptoMIRAGE」の外観

 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の舘ワ(タチ ススム)特別招聘教授、南澤孝太准教授らは1日、空中に投影可能でかつ複数人が同時に裸眼で見ることができる3Dディスプレイ「HaptoMIRAGE」を開発したと発表した。

 既存のディスプレイ技術でも裸眼立体視に対応するものはあるが、ガラス面があるため、3D映像に直接触れることはできない。ヘッドマウントディスプレイ型のものもあるが、ユーザーは周囲の実環境から遮断され、現実空間と情報空間との間に乖離が生じる。

 本研究プロジェクトは「さわれる情報環境」の実現を目指しており、今回科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業の一環として、「裸眼で多視点の3D映像」、「現実空間への3D映像の重ね合わせ」、「複数人での3D映像の共有」、「広範囲からの3D映像の観察」を実現した。

 同ディスプレイの原理は、ARIA(Active-Shuttered Real Image Autostereoscopy)と呼ばれる方法を応用。まず、モーションキャプチャーセンサーで、ユーザーの視点位置を計測し、その頭部位置に対応した両眼視差映像を液晶ディスプレイに表示。続いて、その映像をフレネルレンズを使い、液晶の手前の空間中に実像として結像する。このままでは、左目用と右目用の映像がそれぞれ両目に入ってしまうため、液晶とフレネルレンズの間に、左右の目にそれぞれに対応した映像が入るよう光線の進行方向を決定するアクティブシャッターの役割として透明液晶ディスプレイを配置した。

 これにより、両眼視差(左右の目に応じた映像を投影)と運動視差(頭の位置の変化に応じて視点が変化)の両方に対応した。また、液晶ディスプレイを複数台設置することで、複数人が1カ所で同時に異なる3D映像を観ることができる。視野角は150度と広い。

 このシステムでは、提示映像にユーザーが直接手を伸ばしたり、空中に3D CGスケッチを描いたりなどでき、博物館展示、デジタルサイネージ、アーケードゲームなどへの応用が期待される。

「さわれる情報環境」のイメージ図
実物体への立体映像の重畳と、実物体を介した立体映像とのインタラクション
現実空間への3次元的な描画
HaptoMIRAGEのシステム構成

(若杉 紀彦)