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エレコム、Seagateと国内代理店契約を締結

~個人向け外付けHDDを独占的に販売

エレコムが9月下旬に取り扱いを開始するSeagate製品

 エレコム株式会社は22日、米Seagate Technologyと国内代理店契約を締結したことを発表。9月下旬より、Seagate製ストレージ製品の販売を開始する。

 エレコムでは2010年1月より仏LaCie製品の販売を行なってきたが、2012年8月にSeagateがLaCieを買収。日本においてSeagateブランド製品の取り扱いも開始し、成長をサポートする役割を担うことになったという。LaCieブランドの製品についても、引き続きエレコムが取り扱う。

 9月下旬より取り扱いを開始する製品は、Seagateの「Backup Plus Desktop Drive」、「Backup Plus Slim Portable Drive」、「Expantion Desktop Drive」、「Expansion Portable Drive」の4シリーズ。

 「Backup Plus Desktop Drive」は3.5インチHDDを採用する外付けドライブ。2TBが13,800円(税別、以下同)、3TBが18,800円。「Backup Plus Slim Portable Drive」は2.5インチHDDを採用。シルバーとブラックの2色展開で、500GBが9,480円、1TBが13,800円。WindowsおよびMacに対応するバックアップソフトが付属する。

 「Expantion Desktop Drive」は3.5インチHDDを採用。2TBが12,800円、3TBが14,800円、4TBが22,800円。「Expansion Portable Drive」は2.5インチHDDを採用する製品で、500GBが8,980円、1TBが11,800円、2TBが19,800円。

「Backup Plus Desktop Drive」
「Backup Plus Slim Portable Drive」
「Expantion Desktop Drive」
「Expansion Portable Drive」

個人向けのボリューム商材をSeagateブランドでカバー

エレコム取締役社長の葉田順治氏と、Seagateブランドグループ 営業・マーケティング担当副社長のピエール・ヴァン・デア・エルスト氏

 本契約締結に当たって開催された記者発表会では、エレコム取締役社長の葉田順治氏が挨拶。HDD事業は国内の周辺機器メーカーでも古くから行なっているが、2004年のロジテック買収などを経ても、なかなか思い通りにはいかなかったという。しかし、2010年に仏LaCieと提供。「日本とフランスと協業はうまくいかないことも多いが、我々とLaCieとは非常にうまくいき、1年前のシェアは10%だったが、直近では27%で2位というところまで来た」と、同社のHDD事業を総括。

 併せて、ロジテックの伊那工場でのデータリカバリやHDD修復、札幌のコールセンターなど、全て自社で蓄積したデータベースを持つことをアピール。また、神奈川県の相模原に3番目の倉庫を設けるなどサプライチェーンも強化。「Seagateとの提携を早期に成功させ、国内ナンバーワンになりたいと思っている」と意欲を見せた。

 発表会には、Seagate Technologyブランドグループ 営業・マーケティング担当副社長のピエール・ヴァン・デア・エルスト氏も同席。

 同氏はHDD事業の中で、外付けHDDの総容量が7年間で25倍になるなどのデータを示し、「外付けHDDが伸びている理由は家庭にある。ビデオや写真、音楽など大容量データが増えている」と指摘。さらに、SeagateではSSDへの投資を進めているとはしながらも、「NANDストレージは人類が必要としているデータ容量の15%にしかならない」と、引き続きHDD、とりわけ外付けHDDは引き続き重要なストレージであり続けるとした。

 エレコムとの協業については、「エレコムのマーケティング力、営業力、サポート力、サプライチェーン。そしてLaCieのデザイン力、ハイエンド製品。これにSeagateの製品が加わることで、エレコムは幅広い製品を提供できるようになる」と同社へ期待を寄せ、「日本で成功するには謙虚でなければならないと考えている。まずは製品を発売する9月に向かって努力する。がんまりましょう」と意気込みを語った。

2000年台半ばからのHDD出荷総容量の推移などのデータ。特に「Branded」で示される外付けHDDの伸びが飛躍的に伸びており、2013年第4四半期の実績では、2006年同期と比較して25倍の容量となった
SSDを始めとするNANDフラッシュストレージとHDDの容量比較
今回の提携は、2010年にスタートしたエレコムとLaCieの提携をより強化するもの、と説明
日本では謙虚に振る舞うとし、「Gambarimasho!」(がんばりましょう)と意気込みを見せた

 続いて、エレコム常務取締役 商品開発部長の梶浦幸二氏が、今回の提携内容などの詳細について説明を行なった。

 今回の提携は「Seagateは他国も含めて独占販売を行なっておらず、今回も独占契約ではないが、事実上の独占となる」と説明。ベアドライブなどはエレコムは取り扱わず、外付けの個人向けHDDを中心に取り扱いを行なう。そして、国内物流と販売、修理/サポートなど、販売代理店の役割をエレコムが担う格好となる。

 エレコムではすでにLaCieブランドの外付けHDDを取り扱っているが、LaCieは高付加価値製品、Seagateはボリューム商材という棲み分けをするという。市場においては、プロシューマ向けなどのハイエンド製品の割合は20%程度で、ここのセグメントにはこれまで通りLaCieブランドを展開。残りの80%は個人向けを中心としたものとなり、これまでにLaCieブランドの「rikiki」シリーズや「minimus」シリーズを展開してきたが、ここにSeagateブランドの製品を投入する。

 製品展開に当たっては、LaCieブランドで培った販売戦略をSeagateブランドにも適用。日本はTV録画の需要が非常に高いのが特徴であるといい、「4Kや著作権保護のSeeQVaultなどの技術もあり、録画先として外付けHDDの需要が高まる」と同社では分析。日本の主要メーカーのTV製品でSeagateブランド製品の動作検証も終えており、9月下旬のSeagateブランド製品発売と同時に、TV売り場に進出できる状態を整えているとしている。

 ちなみに、外付けHDDの国内シェアで、エレコムは現在2位にいるが「直近では40%というシェアを目標としている。1年以内に1位になれるのではないかと思っている」と順調さを強調。今回の提携はエレコムにとっては、先述の“80%”を攻めるための個人向け商材の強化に繋がる点をメリットに挙げている。

 一方、Seagateにとっては、これまでのOEM供給を中心とした売り方では国内でのブランド力向上が見込めないことや、技術情報が入手できないことを問題視。エレコムを通じた、同ブランド製品の展開によって、日本の特殊事情でもあるTV利用時のサポート情報の収集やブランド力強化が提携の目的にあるとする。さらに、LaCieブランドの製品が、エレコムとの独占販売契約直前からの売り上げが10倍へ伸びたこともあり、その販売力にも期待していると説明した。

エレコムはSeagate/LaCie製品の国内販売/物流、サポート/修理などを請け負う
ハイエンド向け製品は引き続きLaCieブランドで展開し、販売数量の多いコンシューマ向けにSeagateブランドを展開
2013年4月には1桁だったシェアが、2014年6月には25%へ拡大。容量別シェアも上位を占めており、1年以内に国内シェア1位を目指すと言う
LaCie製品の販売では、独占販売契約前のLaCieの販売ピーク時と比較して6倍、契約直前と比較して10倍に売り上げを伸ばした
HDDを製造/販売するWD、東芝との3強時代を迎え、エレコムとの提携によりブランド力や技術情報収集の強化を目指す

(多和田 新也)