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インテル、自動車向けなど産業分野のIoT促進に注力

~IoT部門のトップが来日

米Intel副社長兼IoTソリューションズ事業本部長のダグ・デイビス氏
4月17日 実施

 インテル株式会社は17日、同社のIoT(Internet of Things)事業に関する報道関係者向け説明会を開催。米Intel副社長兼IoTソリューションズ事業本部長のダグ・デイビス氏が来日し、現況を説明した。

 デイビス氏は、Intelが2013年(昨年)10月に起ち上げたIoT部門のトップ。IoTはIntelが掲げる「コンピューティング技術の革新を通じて人々の絆を深め、より豊かな生活を実現します」というビジョンを実現できるものであり、今後、駐車メーカーや車載システムを含めた“非パーソナル”なものを含めてインターネットへ接続するデバイスが増加。大きなビジネスチャンスになるとした。インターネット接続デバイス数は以前から語られている通り、2020年に500億台と試算されており、2015年に150億台という数字へ到達する段階に来ているという。

 ちなみに、IoTについてIntelでは「デバイスがインターネットに接続し、高度化するコンピュータ機能を統合し、データ解析によって意味のある情報を抽出」することであると定義。そして、エンドポイントのデバイスに使われるプロセッサをムーアの法則に基づいて小型化/高性能化を進め、インターネットに接続するためのコスト効率を高め、データを収集して解析/分析するデータセンターやクラウドへ製品や技術を提供することが、IoT推進の原動力になるとしている。

 また、個人がデバイスを使うことで生まれるデータを収集、抽出することで、収益を生み出す新しいサービスが可能となり、ここに商機があると認識されることで、さらに良質なデータ、サービスが生まれていく、といったサイクルが生まれることもIoTが伸びることで作られていく構図であるとした。

インターネット接続デバイスは2020年に500億台に達するとの予測
IntelよるIoTの定義と、牽引するために必要な3つの要素
IoTが普及することで生まれる好循環

 こうした将来性のあるIoTに対してIntelでは、エンドポイントであるデバイスからデータセンター、クラウドまで、半導体チップやソリューションを幅広く提供していることを強味としてアピール。この中には、構造化された形でデータ定義を行なってアクセスできるAPIの管理機能や、それを収益に結びつけるためのソリューションや、さまざまなプロトコルのデバイスをインターネットへ接続するためのゲートウェイ、セキュリティを高めるためのソリューションなどが含まれる。

 特に注力している分野として示されたのは自動車産業だ。製造分野や小売り分野、医療分野を含め、産業用コンピュータは今後「IoTの波に乗れる」分野としている。

 自動車産業向けの取り組みとしては、自動車に求められる要件を満たす半導体製品の提供のほか、自動車メーカーと共同で知見を集約するための製品開発センターの設立、Intelラボでの技術開発、1億ドルの「コネクテッド・カー基金」の設立、OSの最適化やアプリケーション機能の実装に関するソフトウェアメーカーとの協力、という5点が挙げられた。

 また、今後は、より自律的な自動車を生み出すため、各種センサー情報を統合して処理する高性能な分析能力をプロセッサに持たせることや、「RealSense」と呼ばれる画像解析による操作が可能なアプリケーションなどを通じて、走行体験の改善を図っていくとしている。

 そして、デイビス氏は「製造、小売りなどさまざまな産業に対しても同じように投資を行ない、エンド・トゥ・エンドのソリューションを作れるよう支援していく」と、技術開発と各分野におけるアプリケーション開発に対する支援を継続的に行なっていく姿勢を強調した。

Intelが提供するIoT向けの製品、ソリューション
中国で開催されたIDFで発表した、APIの統合管理機能の「Mashery」と、それを収益へ結びつけるための「Aepona」。そして、さまざまなデバイスをインターネット接続する「Expressway Service Gateway」
モバイルデバイスからインフラ、データセンターまで、エンド・トゥ・エンドで製品、サービスを提供する
製造、自動車、小売りを新しいIoTのターゲット分野としている
自動車産業向けのIoTへの取り組み
さらに先進的な自動車を成功させるために提供する技術

(多和田 新也)