ニュース

マイクロソフト、アプリ開発アイデアソン「Digital Youth College in 広島」開催

 日本マイクロソフト株式会社は、広島工業大学、株式会社システムフレンドと共同で、2月8日、アプリ開発アイデアソン「Digital Youth College in 広島」を、広島県広島市の広島工業大学で開催した。

Digital Youth College in 広島が開催された広島工業大学
広島工業大学の新4号館が会場となった
Digital Youth College in 広島の会場入口

 日本マイクロソフトでは、次世代を担う若者のICT活用提案を通じて、国際競争力、IT技術力、プレゼンテーション能力、アイデア発想力を育てる場を提供し、実社会や世界で活躍できる人材を育成する「Digital Youth Project」を展開。そのプログラムの1つとして、アプリのアイデア発想力を学ぶためのワークショップとして、Digital Youth COLLEGEを開催している。

 Digital Youth Collegeは、2013年11月以降、これまで全国8カ所でを24回を開催。これまでに延べ708人の学生が参加。3月までにあと7回開催される予定だ。また、今回のシステムフレンドをはじめとするDigital Youth Collegeに関するパートナーは19社が参加している。

 広島工業大学で開催した「Digital Youth College in 広島」は、2013年12月に第1回目を開催。今回が2回目となる。グループや個人がそれぞれにアイデアを出し合い、それをまとめていく「アイデアソン」形式のワークショップとし、地元である広島市内に本社を持つシステムフレンドが講師となり、参加した12人の広島工業大学の学生が、アイデアをまとめ、プレゼンテーションを行なった。

 当初は午前10時からのスタートを予定していたが、雪による交通ダイヤの乱れの影響もあり、午前10時45分からスタートした。

広島工業大学 情報学部知的情報システム学科・松本慎平助教

 冒頭、挨拶した広島工業大学 情報学部知的情報システム学科・松本慎平助教は、「東京では、学生と社会人が交流し、社会人から学ぶといった場が多いが、広島ではそうした場が少ない。また、ITの最先端スキルを学ぶという場が頻繁にあるわけではない。広島においても、学生が社会人とふれあい、ITスキルを高める場を増やすきっかけをつくりたい。この結果、広島の中でIT人材を増やし、ここで雇用を生み、『平和とIT』の街として、広島を訴求できるようになる」などとした。また、「単に学ぶだけでなく、形を残していくことが大切。今回のDigital Youth College in 広島の目的でもある。アプリという『形』に残すことを、このセミナーの目的にしていく」と述べた。

 Digital Youth Projectの1つと位置づけられているウィンドウズ デジタル ライフスタイル コンソーシアム(WDLC)主催の学生対象アプリコンテスト「Digital Youth Award」の決勝大会が、2014年4月12日に、東京・お台場のヴィーナスフォート教会広場で開催される予定であり、その応募締め切りが2月28日に迫っている。

 今回のDigital Youth College in 広島では、広島の学生を対象にしたDigital Youth Awardへの出場支援の場とも位置づけており、アイデアソンを通じて創出したアイデアをもとに、開発したアプリで参加することも目指している。

 「Digital Youth Award」の入賞者は、Microsoftが世界規模で開催しているITコンテスト「Imagine Cup」の日本代表候補となる権利が付与されるほか、起業への投資支援を受けることができるなど、ITスキルを活かした就職や起業を望む学生にとって飛躍の場となっている。

Microsoft MVP Client Developmentでもある、システムフレンド システム開発部・西村誠部長代理

 講師を務めたシステムフレンド システム開発部・西村誠部長代理は、「Digital Youth Awardの開発テーマは、『だれかをハッピーにするタブレットアプリ』。そのテーマをもとにアイデアを出してもらった。Digital Youth College in 広島から、最低でも10本のアプリをDigital Youth Awardに応募したい。第1回目だけで5本のアプリを応募済みである。そして、広島からImagine Cupへの出場をぜひ目指してほしいと考えている。IT技術の修得だけでなく、アイデア発想力、プレゼンテーション能力の向上を含めて、経験値を積むことが大切である。これらのスキルを身につける場にしたいと考えており、全員がアイデアを考え、意見交換をし、プレゼンテーションすることにこだわった」とした。

 午前11時からは、12月に開催した第1回目のDigital Youth College in 広島において出されたアイデアを、5つのグループや個人が、それぞれがプレゼンテーション。幅広い角度から意見収集を可能にするアプリや、しゃべり方の抑揚などのデータをもとにプレゼンテーション方法を自己学習できるアプリなどが紹介された。

 午前11時30分過ぎからは、第1回目とは異なる学生同士がグループを組み、タブレットアプリの新たなアイデアの創出に取り組んだ。アイデアの意見交換には、システムフレンドの西村部長代理や、広島工業大学の松本助教も積極的に参加。昼食を挟んで、午後1時30分から、それぞれのチームが複数のアプリのアイデアを発表した。

 参加した学生たちは、アイデア創出や物語制作を支援するアプリ、自ら制作できる虫図鑑アプリ、ギターの練習アプリ、購入した書籍を記憶するアプリなどを提案。その中に独自のアイデアを盛り込んでいた。

 プレゼンテーションが終わると、システムフレンドの西村部長代理が、学生に質問したり、アイデアのヒントを与えたほか、プレゼンテーションのコツなどについても伝授した。

 その後、改めてアイデアを煮詰める作業をグループごとに行なうとともに、最終プレゼンテーションを行なえるように資料を作成した。

 午後3時からは、ぞれぞれのグループがプレゼンテーションを行なった。

参加者によるプレゼンテーションの様子
中には白板を利用して説明する参加者も
学生たちがグループごとにアイデアを煮詰めていった

 プレゼンテーションにおいては、Digital Youth Awardでの説明を意識し、あえてプレゼンテーション時間を設定したり、聴講者に対してアピールするポイントを設定することなどについても学ぶ場とした。

 午後4時40分までの長時間のアイデアソンとなったが、広島工業大学の松本助教は、「アイデアを出すためには、政府戦略や論文、既存製品の調査など、周りを見ることが大切。自分がいいと思うものが良いものは限らないということも知っておくべき。そして、誰に対して、なにをどこまで提供するのかといったように、目的を明確にする必要がある」と説明し、Digital Youth College in 広島を終了した。

 なお、「Digital Youth Award」は、昨年、第1回目が開催され、延べ500人以上の学生が参加。5回のワークショップを通じて、1,000以上の新しいWindowsストアアプリが考案、開発されたという実績がある。

 今年のDigital Youth Awardでは、アプリ部門とアイデア部門が用意され、グランプリには賞金10万円、準グランプリには、賞金5万円が授与される。応募資格は、専門学校、専修学校、高等専門学校、大学に登録している16歳から29歳までの学生。審査基準は、「だれかをハッピーにしているか?」。「発想に独創性や斬新さがあるか?」、「説得力を持っているか?」といった点となり、アプリ部門では、「技術的に優れているか?」、「ユーザーエクスペリエンスが優れているか?」という点が加味されるほか、アイデア部門では、「アイデアの実現性があるか?」、「タブレットPCならではの特性を活かしているか?」という点が審査に加味されるという。

 また、Imagine Cupは、Microsoftが主催する学生のための技術コンテストであり、ビル・ゲイツ氏の「学生達に自分のアイデアや技術を発表する場を提供したい」という想いをもとに、2003年から開始しており、今年12回目。これまでに、190か国165万人以上もの学生が参加。昨年は国際大会がモスクワ・サンクトペテルブルグで開催され、日本からもイノベーション部門に代表チームが参加したが入賞には至らなかった。

Digital Youth Projectの概要
Digital Youth Awardへのプロセス

(大河原 克行)