25周年を記念した荒木飛呂彦「ジョジョ展」が開催
~ジョジョの世界を体験できるARやGoogle+との連動企画も

会期:10月6日~11月4日
会場:六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリー



 10月6日から11月4日にかけて、東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて、漫画家荒木飛呂彦氏の原画展「荒木飛呂彦 原画展 ジョジョ展」が開催される。10月5日に一般公開に向けてプレス向け内覧会が開催されたので、その模様をお伝えする。

●ジョジョ25周年を記念して開催。土日祝日チケットはすでに完売
森アーツセンターギャラリー

 「荒木飛呂彦 原画展 ジョジョ展」は、荒木飛呂彦氏の画業30周年と、コミック「ジョジョの奇妙な冒険」連載25周年を記念して開催されるもの。「ジョジョの奇妙な冒険」第1部から、第8部となる「ジョジョリオン」までの原画に加え、ジョジョシリーズ以前の作品や、本展用に書き下ろしたイラスト200展以上を展示。さらに作品の世界観を体感できる立体造形物や企画なども用意する。

 開館時間は10時から22時で、会期中は無休。イベントは日時指定での入館となっており、10時、12時、14時、16時、18時の5回に分けて入場できる仕組み。退館の時間は決められていないが、チケットごと決められた時間以外では入館できない。

 入館料は一般/大学生が当日2,000円、前売1,800円、中学/高校生が当日1,500円、前売1,300円、小学生が当日800円、前売600円。なお、すでに期間内の土日祝日はチケットが完売し、今から購入できるのは平日分のみと非常に人気のイベントになっている。

 これに先立つ7月28日から8月14日には、第4部に登場する架空の都市「杜王町」のモデルであり、荒木氏の出身地でもある仙台市で「荒木飛呂彦 原画展 ジョジョ展 in S市杜王町」が開催された。こちらは荒木氏の原画100点などが公開されたが、東京では一部を除いて異なる独自の内容となっており、原画の点数も200点と倍近い展示数になっている。

 なお、プレス向け内覧会はWebメディアの場合、掲載画像は5点までという制限が課されているほか、写真掲載が許可されていない作品は内覧会でも展示されていなかった。そのため今回は原画ではなく参加者が体験できる企画や等身大フィギュアを中心に画像を掲載する。すでに土日祝日が売り切れとなってはいるが、荒木氏が自ら描いた原画を見る機会は非常に限られているので、ぜひ足を運んで鑑賞して欲しい。

●ジョジョの世界観を再現した展示会場。スタンドを体験できるAR企画も

 会場はジョジョの前の作品である「魔少年ビーティー」、「バオー来訪者」、「ゴージャス☆アイリン」の原画で構成されているプロローグからスタートし、ジョジョ第1部から第8部までの作品を時系列で構成。また、第4部に登場する漫画家の岸辺露伴については、自宅を再現した「漫画家のうちへ遊びに行こう」という専用のコーナー、そして荒木飛呂彦氏のインタビュー動画を上映するエピローグコーナーも設けられている。

 展示品はジョジョ以前の初期作品やジョジョの第1部から第8部に加え、岸部露伴とグッチがコラボレーションした「岸部露伴 グッチへ行く」、演歌歌手石川さゆりさんのアルバム「X-Cross-(クロス)」で荒木氏が手がけたジャケットなど幅広い内容を展示。また、ジョジョ展のために書き下ろされた9点の新作原画も展示されており、このうち8点はジョジョのキャラクターが日本の風景とともに描かれ、「ジョジョ日本八景」と名付けられている。ジョジョ日本八景のうち5点は今回初公開だが、プレス向け内覧会では展示されていなかった。

【ジョジョ展のために荒木飛呂彦氏が描き下ろした9作品】
・フィレンツェの徐倫、ブチャラティ
・松島の定助
・七夕の仗助
・富士とたんぽぽ(空条承太郎とイギー)
・酒樽とジョナサン※
・こけしとジョセフ・ジョースター※
・はやぶさとジョルノ一行※
・桜と徐倫※
・東京タワーとジャイロ&ジョニイ※

※が今回初公開の作品

ブチャラティの等身大フィギュア。隣の「スティッキィ・フィンガーズ」は裏から顔を出せるようになっている

 シリーズに登場するキャラクターの等身大フィギュアも多数展示。「荒木飛呂彦 原画展 ジョジョ展 in S市杜王町」でも展示された岸部露伴や東方仗助に加え、初公開となる空条承太郎のフィギュアも展示されている。ほかにも壁に埋め込まれた状態のサンタナ、スタンド「スティッキィ・フィンガーズ」を発動しているブチャラティなど、作品の世界観を忠実に再現した形で展示され、フィギュアだけでなく第2部に登場する「エイジャの赤石」、シリーズを通じて重要な役割を果たす「弓と矢」といったアイテムも展示されている。

 AR企画「ジョジョの奇妙なAR展示」は、その名の通り「拡張現実(Augmented Reality、AR)」と呼ばれる技術を利用して参加者がジョジョの世界を体験できる企画。

 「ジョジョの奇妙な杜王町MAP」では、貸し出されるiPadの専用アプリを立ち上げた上で、会場中央に用意された杜王町の地図上にかざすと、iPadの画面に杜王町の建物が表示され、その場所にまつわるエピソードが楽しめる。事前にiOSアプリ「荒木飛呂彦原画展 ジョジョ展 公式アプリ」をインストールしておくことで、自分のiPhoneやiPadで楽しむこともできる。

 「ARオラオラ体験」は、会場に設置された空条承太郎とディオの等身大フィギュアにiPadをかざすと、スタンド「スタープラチナ」と「ザ・ワールド」が殴り合っている様子が見ることができる。

 「ジョジョの奇妙なスタンド体験」は、Kinectを利用して好きなポーズを取り、自分がスタンドを出しているような記念写真を撮ることができる企画。カメラの前に立つと自分が「弓と矢」に打ち抜かれてスタンドが発動し、「スタープラチナ・ザ・ワールド」のかけ声でポーズを撮ると写真が撮影される。スタンドの種類は全17種で、撮影された写真はすべてGoogle+上にアップロードされる。なお、自分の画像はコミック風にアレンジして撮影されるため、Google+上にアップロードされても本人以外には特定しにくいようになっている。

杜王町のストーリーを楽しめる「ジョジョの奇妙な杜王町MAP」。スタッフの髪型は「もちろん意識してます!」とのこと等身大フィギュアにiPadを向けると……好きなポーズでスタンドと記念撮影できる「ジョジョの奇妙なスタンド体験」

●イベント限定のスタンドを操ってジョジョ展をバーチャル体験
ジョジョ展のために考案されたスタンド「リモートロマンス」

 インタラクティブメディアパートナーであるGoogleと協力し、荒木氏がこのイベントのために考案したというスタンド「リモートロマンス」を使った企画もある。Google+のビデオチャット「ハングアウト」を利用し、ライブ配信されるジョジョ展の模様を自由に操作して展示をバーチャル体験できる。

 リモートロマンスは、2006年死刑にされた伝説のハッカー「ディキシー・フラットライン」の死後、スタンド能力だけがネットワーク上に残ったという設定。ネットワークに存在するスタンドのため本体は持たず、特定のサーバーへアクセスした人間を本体にするという、ジョジョ第3部「スターダストクルセイダース」に登場するエジプト9栄神のスタンド「アヌビス神」に近い設定となっている。

 リモートロマンスは、会期中の10月6日、10月7日および毎週火曜日と水曜日の22時30分から24時という30分限定で実施。火曜日は会場内のプロローグと第1部から第4部までの展示エリア、毎週水曜日は第5部から第8部までの展示エリアで行なわれ、最終日には全エリアを開放する特別企画が予定されている。

 リモートロマンスの本体としてスタンド能力を得るためには、Google+にユーザー登録し、リモートロマンスを任意のサークルに登録するという設定が必要。時間になるとGoogle+にハングアウトの招待通知が行なわれ、9人までの参加枠に入れるとリモートロマンスを発動できるようになる。

 リモートロマンスの本体となったユーザーは、リアルタイムに配信される映像を利用してバーチャルに会場内を移動し、原画を鑑賞することが可能。1ユーザーごとのスタンド能力持続可能時間は4分で、1回のハングアウトで1度だけ発動でき、リモートロマンスを操作して会場内を見渡したり、原画に近づいて鑑賞することも可能だ。

 Google+では初となるジョジョの公式ファンページも開設。ジョジョを題材にしたお題に答える「ジョジョロワイヤル」、ハングアウトでジョジョに登場するキャラクターの髪型やスタンドなどをビデオチャットに合成できるアプリ「JOJO EFFECTS」といった企画が展開されている。

(2012年 10月 5日)

[Reported by 甲斐 祐樹]