ソニー、VAIO新製品発表会でタッチ機能による新市場開拓をアピール

10月1日 開催



 ソニーは1日、タブレット形状でも使用できるモバイルPC「VAIO Duo 11」、画面の角度を自由に調整できる液晶一体型PC「VAIO Tap 20」などWindows 8を搭載したVAIO秋冬モデル全6機種22モデルの発表会を開催した。

 ソニー株式会社業務執行役員SVP VAIO & Mobile事業本部・赤羽良介本部長は新製品発売の背景を次のように説明した。

 「タブレット市場は大きく伸張し、ノートPCも継続した成長を続けている。ノートPCの中にタブレットとのハイブリッドモデルを含んでいるが、このハイブリッドモデルがノートPC市場を牽引するとソニーでは考えている。思い切ってこのハイブリッドモデルに取り組むことで市場をリードする」。

ソニー赤羽良介氏ノートPC、タブレット市場台数推移
タッチ対応モデルの強化タッチ操作を活かす新コンセプトモデルを投入

 今回の新製品では、Windows 8の特性をアピールするためにタッチ対応モデルを強化し、5機種と幅広い製品を用意。さらにタッチ機能をフルに活かす新コンセプトモデルとして「VAIO Duo 11」、「VAIO Tap 20」を投入した。

 Duo 11は液晶部をスライドさせることで、タブレット、キーボードの両方で利用することができる薄型、軽量筐体にCore i5-3317U、SSD 128GBなどを搭載し、デジタイザーを付属した。

 「(ノートPCと違い)タブレットでは写真を撮ることが実に普通に出来る。さらに本製品ではスタイラスペンで画像の切り取り、切り取った画像の修正や補修が簡単にできる。画像処理はソニーのアルゴリズムを使っている。ペンとPCという組み合わせには大きな潜在需要があり、紙と同じように自由で創造的な体験ができる。しかも紙では実現できない修正ができるといったメリットもある」(赤羽本部長)とタブレットでペンを搭載したことで新しい利用シーンを提案するとしている。

「VAIO Duo 11」スライダーハイブリッドPC主要スペックペンでの操作に対応
Duo 11で写真を撮り、ペンで写真を加工し、PowerPointへ貼り付け

 Tap 20は可変式のフリースタイルスタンドを採用。10点マルチタッチの20型液晶は、テーブルの上に水平に置いて複数人数でゲームをプレイするといった使い方ができる。「IFA 2012の会場で、ブースに置かれたTap 20を使い、2人の女性が1つのゲームを楽しむ場面を実際に見かけた」(赤羽本部長)。

 家の中を持って移動させるためにバッテリを搭載し、家族が集まる場所に持ち込んで利用することができる。

 他の機器やサービスとの連携としては、「nasne」と接続することでTV番組の視聴、録画に対応。XperiaからVAIOにコンテンツを転送する際には、NFC搭載によりワイヤレスでワンタッチで簡単に接続できる。

「Tap 20」可変式フリースタイルスタンド採用10点マルチタッチ、20型液晶を採用家庭内移動に対応するためにバッテリを搭載
nasneとの連携によりTVの録画、再生を可能にNFC搭載によりワンタッチで簡単接続

 ソニーにはAndroid搭載のタブレットがあるが、「エンターテインメント性の追求という点では共通するものの、今回の新製品は生産性、管理性といった付加要素を持っている」(赤羽本部長)という点に違いがあるとしている。

 また、今回のラインナップには「VAIO Zシリーズ」が入っていないが。これは「Windows 8との組み合わせということで、技術的なチャレンジを行なったが、その結果、今回はZシリーズはリリースしないという結論となった。今後も技術的チャレンジは続けていく」と今後の製品投入への含みを持たせた。

 Windows RT搭載モデルのVAIOについても、「新しいものへの挑戦は続けていく」と発売の可能性を示唆した。

 ソニーマーケティング株式会社のITマーケティング部下野裕統括部長は、「今年度のPC出荷台数は760万台となると予測しているが、上半期は前年割れとなった。主に2つの理由があり、1つは昨年の同時期に地デジ搭載PCの売上が好調だったこと、もう1つはWindows 8発売前の若干の買い控えがあった。下期こそ当社が注力すべき時期で、TV CM、Webでのアピールなど例年にはない大プロモーション活動を展開する」と説明している。

 なお、ソニーでは今年度は全世界で1,000万台出荷を目標としていたが、920万台と下方修正しているが、「勝負は秋以降。タッチモデルを軸に出荷台数を伸ばしたい」(赤羽本部長)と全世界市場でもタッチモデルを注力する方針を強調した。

 会見には日本マイクロソフトのコンシューマ&パートナーグループ担当執行役常務香山春明氏も登場。「ソニーの製品はスタイリッシュで画期的なデザインにより、PC市場の裾野を広げる役割を果たしてきた。今回の新しい利用シナリオを生む新製品も市場の裾野を広げることになると期待している」と賛同のコメントを述べた。

日本マイクロソフト香山春明氏ソニーマーケティング下野裕氏
国内コンシューマPC出荷台数推移各カテゴリにタッチモデルを展開

(2012年 10月 1日)

[Reported by 三浦 優子]