株式会社ナナオは、ちらつきを抑える「EyeCare調光方式」を採用したスタンダード液晶ディスプレイ「FlexScan」シリーズ5機種を8月22日より順次発売する。価格はオープンプライス。
通常の液晶のバックライトは、200Hz程度の周波数でバックライトをON/OFFする割合を調節することで見た目の明るさを変化させる「PWM調光方式」を採用している。この機構の利点は明るさの可変範囲が広く、デジタル制御のため設計や制御が容易な点だ。
一般的に人間が認識できるちらつきは40~50Hzが上限とされているが、中にはこの200Hzでもちらつきが気になる人はいるという。また、従来のCCFLバックライトであれば、残光時間が長いため光の変化が少ないが、最近のLEDバックライトでは残光時間が短く光の変化が大きいため、ちらつきが気になる人はより敏感になるという。
その一方で、LEDに流す電流を制御することで明るさを増減する「DC調光方式」もあり、こちらは原理上LEDのちらつきは発生しないが、回路構成が複雑となるほか、回路および素子の特性上、低い輝度に設定しにくく、また低輝度における色再現性の維持も難しいとされている。
そこでナナオは、高輝度時はDC調光方式でちらつきを抑え、低輝度時はPWM調光方式で約1cd/平方mの低輝度を実現するハイブリッド調光「EyeCare調光方式」を採用。両方式が持つメリットを活かし、目にやさしい表示が可能という。
第三者機関である北里大学医療衛生学部に協力を得て評価したところ、CFF、眼球球面収差、眼屈折度、調節近点、調節微動解析など数値評価においては有意差が見られなかったものの、アンケートによる調査ではDC調光のものが、ちらつきの感じおよび自覚的疲労度において最も少なかったという。
PWM調光の仕組み | 輝度を落とした時は、点灯時間を短くすることで見かけ上暗くする | 輝度を明るくするときは、点灯時間を長くすることで見かけ上明るくする |
この連続的な点滅がちらつきを感じる原因 | CCFLでは残光時間が長いためちらつきが少なく感じる | LEDでは残光時間が短く、輝度差が激しいためちらつきだと感じる |
DC調光の仕組み | それぞれの調光方式のメリットとデメリット | ナナオの「EyeCare調光方式」 |
通常200Hzは人間の目にはわかりにくいが、扇風機のように一定の周波数で高速に動くモノがあるとよくわかる。左は従来のPWM調光方式で、干渉縞が見える。一方右のDC調光方式では見えない(写真のシャッター速度はいずれも100分の1秒) |
アンケートによるちらつきを感じたかどうかの結果 | 疲労度に関するアンケート調査 | 見やすさなどに関するアンケート調査の結果 |
このほか、周囲の明るさに応じて輝度を自動調節する「Auto EcoView」、以前から搭載されている色温度と輝度の調整によりブルーライトを低減できるPaperモードや低い色温度のプリセットなどを備える。また、新たに2ポートのUSB 2.0 Hub機能を搭載し、ベゼルも従来機種からスリム化した。
ブルーライトの位置づけ | 液晶ディスプレイのブルーライト | 色温度を5,000Kに調節するだけでブルーライトが約6分の1に低下する |
USB 2.0 Hubの装備 | 上下左右のベゼルのスリム化 |
27型の「EV2735W-FS」を除く4モデルには、表示コンテンツを解析して輝度を最適化し、消費電力を抑える「EcoView Optimizer2」機能を備え、共通でインターフェイスにDVI-D、DisplayPort、ミニD-Sub15ピンの3系統を装備する。
●FlexScan EV2436W-FS「FlexScan EV2436W-FS」は1,920×1,200ドット(WUXGA)表示対応のIPSパネル採用モデル。8月22日発売で、直販価格は54,800円。
主な仕様は、解像度がWUXGA、最大表示色数が約1,677万色、中間色応答速度が6ms、輝度が300cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右ともに178度。
スタンドは上30度のチルト、右90度のピボット、左右344度のスイベル、158mmの昇降機能を備える。本体サイズは552.5×245.5×376~534mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約6.7kg。
●FlexScan EV2416W-TSFlexScan EV2416W-TS |
「FlexScan EV2416W-TS」はWUXGA表示対応のTNパネル採用モデル。8月22日発売で、直販価格は42,800円。
主な仕様は、解像度がWUXGA、最大表示色数が約1,677万色、応答速度が5ms、輝度が250cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下160度/左右170度。
スタンドは上25度のチルト、左右344度のスイベル、60mmの昇降機能を備える。本体サイズは552.5×200×408~468mm(同)、重量は約4.9kg。
●FlexScan EV2336W-FS
FlexScan EV2336W-FS |
「FlexScan EV2336W-FS」は1,920×1,080ドット(フルHD)表示対応のIPSパネル採用モデル。9月14日発売で、直販価格は37,800円。
主な仕様は、解像度がフルHD、最大表示色数が約1,677万色、中間色応答速度が6ms、輝度が250cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右ともに178度。
スタンドは上30度のチルト、右90度のピボット、左右344度のスイベル、179mmの昇降機能を備える。本体サイズは540×245.5×360~513.5mm(同)、重量は約6.3kg。
●FlexScan EV2316W-TS
FlexScan EV2316W-TS |
「FlexScan EV2316W-TS」はフルHD表示対応のTNパネル採用モデル。9月14日発売で、直販価格は32,800円。
主な仕様は、解像度がフルHD、最大表示色数が約1,677万色、応答速度が5ms、輝度が250cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下160度/左右170度。
スタンドは上25度のチルト、左右344度のスイベル、60mmの昇降機能を備える。本体サイズは540×200×387.5~447.5mm(同)、重量は約4.3kg。
●FlexScan EV2736W-FS
FlexScan EV2736W-FS |
「FlexScan EV2736W-FS」は2,560×1,440ドット表示対応IPSパネル採用モデル。10月31日発売で、直販価格は89,800円。
主な仕様は、解像度が2,560×1,440ドット、最大表示色数が約1,677万色、中間色応答速度が未確定、輝度が300cd/平方m、コントラスト比が1,000:1、視野角が上下/左右ともに178度。
インターフェイスはDVI-DとDisplayPortの2系統。スタンドは上30度のチルト、右90度のピボット、左右344度のスイベル、145mmの昇降機能を備える。本体サイズは640×245.5×399.5~544.5mm(同)、重量は約10kg。
(2012年 8月 7日)
[Reported by 劉 尭]