キヤノンMJ、タイ洪水の影響でプリンタ主力機種の供給に懸念
〜第3四半期連結業績は減収増益に

決算発表会が行なわれた品川のキヤノンSタワー

10月24日 発表



 キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は10月24日、2011年度第3四半期(2011年1月〜9月)の連結業績を発表した。

 その席上、年末商戦に向けてタイでの洪水がインクジェットプリンタの供給に大きな影響が出る可能性があることを明らかにした。

 キヤノンMJの柴崎洋取締役常務執行役員は、「タイ洪水により、コンスーマイメージングセグメントに影響がある。インクジェットプリンタを生産しているタイ工場が浸水地域にあり、生産が不可能な状況。稼働直前となっていたタイの新工場での生産や、ベトナム工場での振り替え生産の準備を進めている」としたほか、「一眼レフカメラ、コンパクトカメラの生産拠点はタイにはないが、部品メーカーの一部が影響を受けている。キヤノンと緊密に連携をとりながら、情報収集と対応に務める」とした。

 また、コンスーマイメージングカンパニープレジデントの佐々木統取締役専務執行役員は、「インクジェットプリンタでは、すべての機種が、タイの新工場およびベトナム工場に生産移管できるとは考えていない。長い時間がかからずに生産を復旧できる機種と、数カ月かかっても生産が難しい機種がある。主力機種となる“PIXUS MG6230”も生産が難しい機種に含まれる可能性がある。いずれにしろ影響を受けるのは明確であり、すでに量販店に対して、年末に向けて製品供給に影響が出ることを伝えている」とした。

主力インクジェット複合機のPIXUS MG6230
主要製品の発売状況

 一方でデジカルカメラについては、「東日本大震災のときほどの影響はなく、数多くの部品が足りなくなるという状況ではない。まだ状況は明確ではないが、機種ごとに生産するもの、しないものを決める必要が出てくるかもしれない」などとし、「キヤノンからの情報を待っている状況であり、今週中には量販店に対してもなんらかの情報を提供できる」とした。

 だが、「タイ洪水の影響が現時点ではどの程度影響するのか、確定が難しいため、現時点では業績の修正は行なわない」(柴崎取締役常務執行役員)という。

 第4四半期のインクジェットプリンタの出荷台数見込みは前年同期比4%増。デジタルカメラは同6%増。そのうちデジタル一眼レフカメラが11%増、コンパクトデジカメが4%増。デジタルビデオカメラが6%増を見込む。

 また、通期では、インクジェットプリンタの出荷台数見込みは前年同期比2%増。デジタルカメラは同14%減。そのうちデジタル一眼レフカメラが6%減、コンパクトデジカメが17%減。デジタルビデオカメラが9%減を見込んでいる。

 第4四半期のコンスーマイメージング事業の売上高のうち、インクジェットプリンタ本体の売上高は約20%、インクジェットカートリッジが約25%を占めるという。


●2011年度第3四半期の業績

 2011年度第3四半期(2011年1月〜9月連結)のプリンタおよびデジタルカメラなどのコンスーマイメージング事業は、売上高は前年同期比16.4%減の1,208億円、営業利益は19.0%減の34億円となった。

 第3四半期単独(2011年7〜9月)では、製品の供給遅れはほぼ解消したものの、市況の低迷により減収。だがインクジェットプリンタの売り上げ増加や販売費の抑制により、前年同期の2億円赤字から、18億円の黒字転換と大幅な増益となった。

 第3四半期単独でインクジェットプリンタの出荷台数は前年同期比6%増。デジタルカメラは同13%減。そのうちデジタル一眼レフカメラが11%減、コンパクトデジカメが13%減。また、デジタルビデオカメラが11%減となった。

 「インクジェットプリンタは、9月にMG6230を投入したこと、従来機のM6130の販売に注力したことがプラスに影響した。一眼レフカメラは、7月までの製品不足が影響。前年同期にはEOS 60Dを発売した反動もあり、第3四半期の出荷台数は減少した。交換レンズは上位モデルが好調。またコンパクトデジカメは、IXY 600Fが好調に立ち上がったが、市場全体が低迷している」という。

EOS 60D IXY 600F

 全社連結売上高は前年同期比8.3%減の4,504億1,400万円、営業利益は21.6%増の25億8,000万円、経常利益は23.9%増の44億3,400万円、当期純利益は708.8%増の23億9,500万円となった。

セグメント別の業績

 オフィスMFP(複合機)やデジタルカメラなどの商品供給の回復に加え、販売費および一般管理費の削減により、業績は徐々に改善へと向かったものの、震災後の大幅な減収が影響。減収増益となった。

 コンスーマイメージング事業以外のセグメントの業績は、ビジネスソリューション事業の売上高が前年同期比6.6%減の2,406億円、営業利益が5.6%増の19億円。ITソリューション事業の売上高が8.8%減の930億円、営業損失が前年同期から6億円改善したものの26億円の赤字。産業機器事業の売上高が72.3%増の162億円、営業利益が1億円増となりブレイクイーブンとなった。

 第4四半期(10月〜12月)は、年末商戦を迎えるコンスーマ機器を中心に販売活動を推進。オフィスMFPなどのビジネス機器に加え、震災以降に重要性が再認識されているBCP(事業継続計画)を切り口としたITソリューション事業の拡大を見込んでいる。また、売上拡大および来年以降の収益拡大のために、広告宣伝や販売促進活動を積極的に行なっていくとした。

 なお、通期見通しである連結売上高の6,530億円(前年比3.1%減)、営業利益の63億円(前年比18.6%減)、経常利益の82億円(前年比13.5%減)、当期純利益の36億円(前年比3.3%減)には変更がない。コンスーマイメージング事業では前年比10.2%減の1,920億円、営業利益は28.6%減の70億円と減収減益を見込んでいる。「コンスーマイメージング事業は、年間では震災の影響を大きく受けている」とした。

 なお、ミラーレス一眼カメラについては、「大きなジャンルとなってきており、それに対して、手を打たなくてはいけないと考えている」(佐々木取締役専務執行役員)とした。


(2011年 10月 25日)

[Reported by 大河原 克行]