NECとレノボは4日、両社合弁による国内最大のPC事業グループ「NECレノボ・ジャパングループ」が発足したことを発表し、都内で記者説明会を開催した。
NECレノボ・ジャパングループは、7月1日に設立したLenovo NEC Holdings B.V.と、その100%子会社となるNECパーソナルコンピュータ株式会社と、レノボ・ジャパン株式会社の3社で構成される。説明会にはLenovo NEC Holdings B.V.会長兼レノボ・ジャパン株式会社代表取締役社長のロードリック・ラピン氏と、Lenovo NEC Holdings B.V.社長兼NECパーソナルコンピュータ株式会社代表取締役執行役員社長の高須英世氏が参加した。
ロードリック・ラピン氏 | 高須英世氏 |
同グループの発足については1月の発表会で説明された通りで、NECの持つ国内の強固なブランド力、日本市場に最適化された付加価値技術と商品、日本全国をカバーする販売/サービスサポート網と、レノボの持つ世界160カ国以上でビジネス展開することによる調達力、革新的製品開発力、市場を上回る成長率という強みを融合させつつも、従来のブランド、販売体制、生産体制についてはこれまで通りのものを継続していく。
この点については、ラピン氏、高須氏ともに今説明会でも再三強調した。具体的にはレノボの開発拠点であるみなとみらいの大和研究所、NECの開発生産拠点である米沢事業場はそのまま維持。NECパーソナルコンピュータ(元NECパーソナルプロダクツのPC事業)から見た場合、商品企画/開発→調達→生産→販売→サービス/サポートを同社が一貫して行なうことに変わりはない。ただし、商品企画/開発、調達、サービス/サポートの面でレノボと連携を図る。これによりこれまでの品質を保ちつつ、製品力を強化する。
これまでの両社のパートナーとの関係もこれまで通り活用する。例えば高輝度液晶や、Blu-ray Discドライブ、TVボードなどは日本市場に特化した先端部材であるため、従来のパートナーから調達する。一方で、HDDやCPUなどワールドワイドで調達できる部材については、レノボのスケールメリットを最大限活用していく。
NECレノボ・ジャパングループの概要 | 開発、生産、販売の流れに変更はないが、要所で両社の持つ強みを活かす |
部材調達を初めとする連携によって削減されるコストに関して高須氏は、グループ発足前までは、独占禁止法の制限によってお互いの数字を知ることができなかったので、まだ数字は見えていないが、まずはその利益を研究開発に回し、より満足してもらえる製品を作り、顧客満足度を改善したいと語った。次いで、これまでNEC本体としては行ないにくかった、低価格化についても対応していきたいと述べ、価格競争にも前向きな姿勢を示した。
合弁に基づく具体策として、レノボのコンシューマ向け電話対応業務をこの10月からNECパーソナルコンピュータへ委託するとともに、NECのコンシューマ向けサポートセンターである121コンタクトセンターの使い方相談について、これまで購入から2年目以降は有償であったものを、2012年1月からは無償化することを発表した。これは、過去のNEC製品のユーザーについても適用される。法人ユーザーについては、両社別々で従来の窓口で対応を行なう。
合併により、国内でのNECレノボのシェアは18%で2位の富士通を大きく上回る25%に達する(2010年実績)。今後について高須氏は、「圧倒的ナンバーワン」と言えるだけの数値として、「向こう3年で30%」を目指したいとの意気込みを語った。
世界市場でのシェアは3位のAcerに1%差で4位となる。これについてラピン氏は、スクラッチリペアに代表される、NECが持つ日本発の独自技術を、世界展開しレノボのワールドワイドの製品へと適用し、シェアを引き上げていきたいと述べたほか、クラウドや携帯電話などPC以外の分野でも協業を行なっていきたいとした。
サポート体制の改善と連携 | 合併後のシェア。さらなる拡大を目指す |
また、説明会にはインテル株式会社取締役副社長の宗像義恵氏と、日本マイクロソフト株式会社代表執行役社長の樋口泰行氏も列席し、新会社の発足について祝辞と、両社のシナジーを活かした新製品に期待を寄せた。
インテル宗像義恵氏 | 日本マイクロソフト樋口泰行氏 | ラピン氏と高須氏の握手 |
(2011年 7月 4日)
[Reported by 若杉 紀彦]