富士通は20日、同社が開催している製品デザインコンテスト「FUJITSUデザインアワード 2011」の授賞式を開催した。
FUJITSUデザインアワードは、次世代コンピューティング製品に関する製品のデザインを公募するコンテストで、募集のテーマは「-A LIFE with Future Computing- 次世代コンピューティングが拓く新しい暮らしのデザインコンペティション」。
応募部門は、2013年の富士通ノートPCのプロダクトデザインを考える「LIFEBOOK部門」と、2020年の新しい生活スタイルのデザインを考える「LIFE-DESIGN部門」の2種類。いずれも富士通が掲げる“ヒューマンセントリック”を起点とし、LIFEBOOK部門では“いつもあなたのLIFE(生活)のそばにいる”をテーマに、LIFE-DESIGN部門では10年後の利用シーンとサービスコンセプトを考え、暮らしを豊かにするデザインをテーマとした。
今回のコンテストの概要 | 各国からの応募者数 | LIFEBOOK部門とLIFE-DESIGN部門のテーマ |
今回のエントリーは約100カ国の3,354人、応募作品数は1,076点となった。うち最多は中国で550人、日本は146人となった。審査員特別賞として1,000ユーロが7作品、準グランプリとして10,000ユーロが2作品、グランプリとして30,000ユーロが1作品に与えられた。
今回のコンテストの審査員 | 審査員特別賞の7作品 |
準グランプリに選ばれた2作品は、LIFEBOOK部門ではドイツのデザイナー、Philipp Schaake氏がデザインした「Crowd」、LIFE-DESING部門では同じくドイツのデザイナー、Raphael Lang氏/Chan Wing Tak氏/Yu Lin Hou氏がデザインした「Integral Cord」。
Crowdは、クラウドサービスを使うことを前提とした2画面方式のクラムシェル型のPC。本体を閉じていても時間などの情報がわかるよう、天板にディスプレイを備える。また、下側の液晶をソフトウェアキーボードとして使ったり、ナチュラルUIを配置して操作可能。さらに特徴的なのは上部の液晶と下部の液晶が分離できる点で、下側の液晶だけをスレートPCとして利用できるようにするコンセプトだ。
受賞会場に展示されたCrowdのモックアップ | 天板にもディスプレイを備える | Crowdの概要 |
下の画面にソフトウェアキーボードを表示させ、普通のノートPCのように使えるスタイル | 2画面にわたって情報を表示するスタイル | 下部だけを取り外してスレートPCとして利用できる |
一方Integral Cordは、ベルトのような形をしたプロジェクタ兼3Dスキャナ。ベルトの中にRGBの投影素子とカメラセンサーを並べて配置し、任意の形に置いたサーフェイス上に画像を投影することでディスプレイとして利用することができるほか、内蔵カメラにより物体を立体的にスキャンできるコンセプトだ。
Integral Cordのモックアップ | Integral Cordの概要 | 両端を繋げることで動作する。複数本繋げることもでき、より大きなディスプレイとして利用できる |
コードの中を摘んで閉じると新しいディスプレイができるイメージ | 立体物をスキャンできる |
そしてグランプリに輝いた作品は、LIFE-DESING部門でリトアニアのデザイナーEgle Ugintaite氏がデザインした“杖”「The Aid」だった。高齢者の利用を前提としたもので、通信モジュールを内蔵。利用例として、遠隔から目的地を入れると、ヘッドセットと連携して音声案内を行なったり、心拍数や血圧、SOS信号などをリアルタイムに介護施設や病院へ送るといったコンセプトビデオを紹介した。
The Aidのモックアップ | The Aidの概要 | 音声でナビゲートする機能 |
心拍数などの身体状況もリアルタイムにモニタリングする | SOS信号を発信できる | グランプリを受賞したEgle Ugintaite氏 |
授賞式には、富士通株式会社執行役員常務の大谷信雄氏が出席し、「世界各国からの参加で注目されたアワードとなり、成功した」とアピールした。
大谷信雄氏 | 加藤公敬氏 |
また、富士通デザイン株式会社 代表取締役社長の加藤公敬氏は、応募作品の傾向を分析し、「LIFEBOOK部門では多用な利用シーンの提案と、操作スタイルの追求、他機器との連携などに着目した作品が多く、LIFE-DESING部門ではスタンドアロンの機器から社会インフラ、パーソナルからソーシャルへの進化を象徴する作品が多かった。その中でも、The Aidは、デバイス機器の社会インフラ化、そしてパーソナルデバイスのソーシャル化をもっともよく象徴できるデザインであり、高く評価した」と述べた。
LIFEBOOK部門の作品の傾向 | LIFE-DESIGN部門の作品の傾向 |
(2011年 5月 20日)
[Reported by 劉 尭]