メルコ、2011年3月期はデジタル家電関連が好調で約63億円の黒字

取締役管理本部長
松尾民男氏

4月28日 発表



 株式会社メルコホールディングスは28日、2011年3月期の連結決算を発表した。これにあわせて都内で会見を開き、同社 取締役管理本部長 松尾民男氏が概要を説明した。

 売上高は通期で、前年比5.8%増の1,237億4,900万円、営業利益は同42.4%増の107億4,300万円、純利益は同25.8%増の62億7,700万円だった。売上高は2008年3月期、2007年3月期に続いて3番目となった。

 四半期別に見ると、ほかの四半期が300億円弱か未満で推移しているのに対し、第3四半期が347億2,600万円と突出していた。松尾氏は「エコポイントが半分になるという駆け込み需要にあわせて、デジタルTVの販売が好調だった。この駆け込み需要を前に、東芝の液晶TV“レグザ”と、シャープの液晶TV“アクオス”は外付けHDDへの録画機能を付加した。これにより、液晶TVと外付けHDDを同時購入するユーザーが大幅に増えた。我々の外付けHDDはいち早く対応することで売上が非常に好調だった」と分析している。

 このTVの外付けHDD需要に関しては、7月に地デジへの移行が完全終了するも、外付けHDD録画に対応したTVは今後増え、販売比率も大幅に伸びるという。また、「録画コンテンツをBlu-ray Discなどに書き出しを行なわず、HDDのまま保存するユーザーが増えるので、外付けHDDへの需要はますます高まる。2007~2008年頃に、インターネットコンテンツの肥大化により、外付けHDDの需要が高まったが、今回はそれ以上にHDDへの需要が高まるだろう」と説明した。

決算概要四半期ごとの推移流動資産や流動負債など
各製品のシェア(BCN調べ)各製品のシェア(GfK調べ)

 一方、震災の影響があった第4四半期では、売上高が300億9,000万円と一見好調のように見えるが、予算比では未達となった。同社の売上高のうち、約7%を東北地域が占めるが、3月11日を境に「ほぼ0」となり、影響は大きい。また全国的に見ても、3月11日から3週間の集計で、過去の平均売上高を100ポイントとして換算した場合、売上は84.6ポイントと大幅に減少した。

 4月に入ってからは多少の復興が見られるものの、未だ低迷している。本来、決算と同時に2012年3月期の予算を発表するが、今回に関しては4月の動向を見ながら、5月中の早い時期に発表していくとの方針を固め、現時点では予算の目処が立っていないとした。

 製品別に見ると、メモリが前年同期比16.3%減の166億2,100万円、ストレージが同0.8%減の550億3,800万円、ネットワークが同28%増の274億1,400万円、デジタルホームが73.2%増の65億4,200万円、サプライが7.6%増の101億6,100万円だった。

 このうちメモリは、PCに初期搭載される量が増えたため、増設用としての需要が減った。DRAMの価格は多少の変動があったものの「既に1Gbitあたり2ドルを割って十分に安くなっており、これに例え大きな変動(2倍程度)が現れたとしても、もはや業績には影響を与えられる程ではない」という。

 ストレージやNASに関しては、先述した液晶TVの外付けHDD需要で、売上台数は前年比12%の増加となったが、価格下落によって販売金額ではほぼ同じ程度で推移した。

 ネットワーク製品に関しては、無線LANルーターの上位モデルが好調だったことに加えて、ドコモの3G回線に対応したバッテリ付き無線LANルーター「ポータブルWi-Fi」の投入で好調だった。このほか、HDD付きの単体TVチューナ/レコーダも、他社と比較するとシンプルで廉価だったため好調で、デジタルホーム分野の売上を牽引した。

製品別売上高の推移メモリ製品の動向ストレージ製品の動向
無線LANなどの製品の動向そのほかの製品

 地域別では、アジアオセアニア地域が前年比7.1%増の65億5,400万円と好調だったものの、北米が同36.6%減の28億9,800万円、欧州が同24.8%減の64億3,000万円と不調だった。「北米はメモリの撤退によるものとドルの為替相場によるものが大きいが、欧州に関してはドル建てで製品の価格付けを行なったため、他社との価格競争に負けて失敗した」としている。

 先述のように、今後に関して予算の目処は立っていないが、2011年3月期は研究開発費に30億円近くつぎこんでおり、2012年に関しても引き続き、外付けHDD事業に注力して拡大していきたいとした。

海外の売上高推移研究開発費などの諸費用バッファローが考えるデジタルライフ
HDDレコーダ製品が好調だった外部からNASにアクセスする機能外付けHDD市場の拡大
スマートフォン向けアクセサリの強化そのほかのデジタルホーム製品

(2011年 4月 28日)

[Reported by 劉 尭]