メルコホールディングス、上半期は増収増益
~TV用USB HDDや無線LANが寄与

取締役管理本部長
松尾民男氏

11月1日 開催



 バッファローやCFD販売の親会社であるメルコホールディングスが、2011年第2四半期の決算説明会を開催した。

 期初から第2四半期までの半期(2010年4月1日~9月30日)の累計は、売上高が589億3,300万円(対前年9.2%増)、営業利益が47億5,600万円(同203.9%増)、経常利益が48億2,200万円(同191.9%増)、当期利益が29億1,500万円(同185.8%増)と、対前年で増収増益となった。

 発表にあたった取締役管理本部長の松尾民男氏は、「昨年に比べ大きく改善されたが、期初に設定した目標の600億円には届かなかった」とまとめた。

 地域別では、欧州市場が需要の低迷や為替の上昇による価格高騰などで、売上が31億2,300万円(同26.5%減)と低迷した。北米も売上が低迷しているが、経費削減などで黒字化した。海外部門全体での売上は、昨年比で20.3%の減少となっており、予算未達の主因となっている。

海外の売上。北米と欧州が不振部門別の売上。ストレージ/ネットワークメモリ部門。2007年と比較したグラフを見ると市場の縮小ぶりがわかる
ストレージ・NAS部門。外付けHDDが異例な伸びを見せているブロードバンド部門。無線LANルーターが2006年の2倍になっているサプライは対前年で22.5%増

 製品部門別では、メモリが不振で、DRAMとUSBメモリ需要が低迷した。DRAMは、DDR2からDDR3への移行により、単価が上昇して売上額は伸びている。しかし、USBメモリは需要が一巡し、台数/売上高とも前年割れとなっている。しかし、一時ほどの価格低下はなく、部門全体では安定した収益を上げているという。

 ストレージ・NAS部門とブロードバンド部門は、いずれも好調で、録画機能付きTVの普及による外付けHDDと無線LAN機器の市場拡大が寄与したという。無線LANについては、IEEE 802.11n規格への移行需要や、この規格が長期化したことによる原価低下なども寄与した。ストレージ部門では、市場に参加しているプレーヤーが減少し、無用な過当競争が起こりにくくなったことも影響したという。

 また、サプライ部門では、マウスやアナログTV用地上デジタルチューナなどが好調で、チューナは市場シェアでもトップに浮上したという。今期の実績として、モバイル対応無線LANルーター「ポータブルWi-Fi」や、iPhoneなどに対応したNASのWebアクセスアプリ「WebAccess i」などが紹介された。ポータブルWi-Fiについては、数億円程度の売上があり、後期も同程度の売上を想定しているという。

 松尾氏は、「デジタル家電の周辺機器市場が本格的に拡大しており、売上に寄与している。デジタルホーム向けに製品提案を進めるため、研究開発費を増額し、市場を育てていきたい」と述べた。通期の売上高は1,290億円、営業利益は93億円を想定している。

通期業績。為替は1ドル85円を想定。輸入が多いため、円高は利益増となるため、あえて円安に設定している抑えめの設備投資に比べ、研究開発費は増やしている通期の部門別売上高。来期も増収を見込んでいる
デジタルホームは、業績向上のカギとなっているポータブルWi-Fiは絶好調アナログTV用に録画機能を持つチューナを開発した
NASやルーターで共有したHDDなどをiPhone/iPadからアクセスするソフトを無償公開外付けHDDに対応した録画装置は、これからも増加すると見込んでいる女性向けのアクセサリ類にも力を入れている

(2010年 11月 1日)

[Reported by 伊達 浩二]