レノボ・ジャパンは、2011年1月4日付けで業務を開始していた新たな大和研究所の内部の様子を初めて外部に公開した。
大和研究所は、日本IBM時代に、PC事業の研究開発研究拠点として神奈川県大和市に設置され、ThinkPadの開発などで実績を持つ。
新たな拠点は、神奈川県横浜市のみなとみらい地区の「みなとみらいセンタービル」。最上階の21階と20階をオフィスとして使用するほか、2階部分に試験設備などを導入。みなとみらい線のみなとみらい駅に直結している。
レノボグループの「イノベーション・トライアングル」と呼ばれる研究開発拠点の1つで、米ノースカロライナのラーレイ、中国・北京とともに、製品開発の重要拠点と位置づけられている。
レノボ・ジャパンの取締役副社長であり、レノボの製品グループ チーフ・デベロップメント・オフィサーである内藤在正氏は、「レノボとして、自ら運営をコントロールできるサイトが欲しかったこと、また、2011年3月で賃貸契約が終了することから、約2年前から場所を探していた」ことを、みなとみらいへ移転した理由に挙げる。
日本IBMの大和事業所内に設置していた研究開発拠点は、土地の所有者から賃貸している部分と、日本IBMから賃貸している部分とがあり、いずれもレノボ・ジャパン発足から5年間の契約になっていたという。
「世界との距離感を感じられるみなとみらいという立地と、試験設備を導入しても問題がないほどに床が堅牢であり、天井高があるなど、設備導入に適しているビルであることから、この場所に決めた。エンジニアが設計、開発する際に、すぐに検証が必要な試験施設は優先的に配備した。例えば、電波暗室は、かつての大和研究所ほどの大規模なものは設置できなかったが、最も必要とされる規模のものを導入しており、それ以上の大きさの施設が必要になった場合には外部の試験サイトを利用するようにした。ThinkPadの品質を維持するために、必要なものはすべて揃っている」と語る。
もともと商業施設用に用意された同ビル2階フロアを、試験設備を導入した研究拠点として利用できるのも、ビルオーナー側の理解とともに、振動試験施設は駐車場部分の上に配置するなどの工夫を凝らしたことが見逃せない。
みなとみらいに移転しても、「大和」の名前を冠としている点でも、開発体制と、それを支える試験設備が、「大和」研究所を、踏襲している自信を示しているともいえよう。
内藤副社長は、「社内には横浜研究所にしようという声もあった。だが、世界中の営業担当者が『YAMATO LABO』(大和ラボ)という名前を、長年に渡り使用しているため、変えて欲しくないという声があったこと、ODMをはじめとするパートナーからも大和の名前に対する思い入れが強い、という声があったことで、みなとみらいに移転しても、大和研究所の名称にした」と語る。
過去20年に渡る大和研究所としてのDNAを、そのまま継いだ拠点が新たな大和研究所といえるだろう。
すでに1月から業務を開始しているが、試験設備の導入が完了したのは4月になってからだ。そのため、同社社員全員に内部が公開されているわけではなく、大和研究所の試験設備が外部に公開されるのは本誌が初めてとなる。
では、新たな大和研究所の内部の様子を見てみよう。
みなとみらい地区にある「みなとみらいセンタービル」。最上階の21階と20階をオフィスとして使用するほか、2階部分に試験設備などを導入 |
【動画】ThinkPad X220 Tabletによるディスプレイの回転試験の様子 |
(2011年 4月 13日)
[Reported by 大河原 克行]