PCAの30周年記念パーティーに見る、PC産業の30年の歴史

ピー・シー・エーの創立30周年記念パーティー

8月4日 開催



 会計ソフトメーカーのピー・シー・エー(以下、PCA)が、2010年8月1日に、創立30周年を迎えた。

 8月4日には、都内のホテルで、創立30周年記念パーティーが開かれ、業界関係者約400人が集まった。

 PCAの川島正夫取締役相談役は、1980年にPCAを設立した経緯や、1994年の株式店頭公開、2000年の東証2部上場などに触れながら、30年間に渡るPCAの成長について説明。また、水谷学社長は、「今後、PCAが取り組むのは、クラウド&ポストERP。2年前からサービスを開始したクラウドビジネスは、最も伸びている事業で、前年同月比で2.5倍の成長を遂げている。この成長を25倍、200倍と、さらに拡大していき、これから10年の柱に据えていく」と、新たな事業にも意欲を見せた。

 一方、来賓を代表して挨拶した大塚商会の大塚裕司社長は、「30年前はPCはおもちゃと言われた時代。それにも関わらず、20万円も、30万円もの価格で売られていた。いまはなぜ苦しい思いをしてPCを安く売っているのか。あの日に帰りたい」として会場を涌かせたあと、「PCがおもちゃと言われた時代に、本格的なパッケージとして基幹系ソフトを発売した斬新な挑戦はすばらしい。川島相談役の先見性を感じた」などと語った。

(手前から)ピー・シー・エーの川島正夫取締役相談役、水谷学社長、折登泰樹専務取締役ら幹部長年のライバルであり、ともに業界を成長させたオービック・ビジネス・コンサルタントの和田成史社長(左)もお祝いに駆けつけ、PCAの川島正夫取締役相談役とがっちり握手挨拶するPCAの川島正夫取締役相談役
PCAの水谷学社長来賓代表で挨拶した大塚商会の大塚裕司社長乾杯の音頭をとった藤沼亜起氏

 30周年という歴史を感じさせるように、PCの黎明期から活躍している業界関係者が会場に集い、昔話に花を咲かせていたのが今回のパーティーの特徴。というのも、会場には黎明期の懐かしいPCや、当時の同社の製品広告などを展示。さらに、折登泰樹専務取締役をはじめとする同社幹部が、30年間に渡る懐かしい映像を紹介したことで、自然とPC黎明期を振り返る雰囲気となっていたことが背景にある。

 参加者の間からは「PCAの30年を祝うとともに、PC業界全体を振り返る機会にもなった」という声が聞かれていた。

 PCAの成長の歴史とともに、会場に展示された懐かしいPCなども振り返ってみよう。

会場に展示された数々の歴史的製品シャープのMZ-80K2。1980年に発売された8bitパソコン。PCA最初の製品となるABC財務会計システムを開発したキーは会計専用機のような配列。当時200万円前後していた財務会計専用機が約半額となった
シャープのMZ-M80B。1981年に発売し、CPUにはZ80Aを搭載。型番のBにはビジネスの意味があり、PCAは高級財務会計システムなどの製品を同機向けに開発富士通のFM-7。1982年にFM-8の後継機として発売された。ザ・パソコン会計などを製品化したFM-7のキーボードにシールを貼って専用機のようにキーアサインしていた
名機と言われるNECのPC-9801VM2。1985年の発売初期のPC-9800シリーズでは8インチのフロッピーディスクが使用されていたフロッピーディスクの変遷。8インチFDはかなりの大きさだった
リコーのMr.マイツール。1986年に発売された。フロッピーディスクが3.5インチとなった製品日本IBMの5535M08。日本IBM初のラップトップとされる。PCAのザ・パソコン会計IIIなどが対応日立のB16-EXIII。1988年に発売した。40MBハードディスクを搭載。PCA会計などを発売
東芝のJ-3100GT041A。1990年に発売されたプラズマディスプレイ搭載PC。PCA会計IIなどを対応1991年に発売されたキヤノンのLBP-B406S。オフィスにもレーザープリンタが普及しはじめた
PCAは1980年8月1日に設立した。今年で30周年を迎えたPCAの設立当初のロゴマーク。PCAは「パーソナル・コンピュータ・オートメーション」の略称PCAでは、黎明期にマイコンMAS(マネジメント・アドバイザリー・サービス)研究会を発足し、マイコンにおけるソフトウェアの活用範囲を模索した
第1号製品はシャープ向けに製品を開発したが、シャープからは「これで会計ソフトを開発するのは無理」と言われたという逸話も
1984年に発売した「ザ・パソコン会計II」。日経パソコンのベストセラーソフトでベスト5に入った1985年には業務ソフトとしてナンバーワンになった1987年には「ザ・パソコン会計III」を発売。13,000社以上の導入実績を持つ
1988年にはPCA会計を発売。製品ラインアップも広がった1989年には3%の消費税導入にあわせて消費税対応版を発売。元号改訂ソフトも投入した1992年には、同社初のLAN対応版の商魂S LAN PACK、商管S LAN PACKを投入
同じく1992年にはOS/2対応版も発売しているほか、DOS/V版を発売新たな製品群となるPCA EXシリーズを1993年から発売。最初のEXシリーズは商魂EXだった1994年3月に日本証券業協会に株式を店頭登録
1994年の株式店頭公開にあわせて展開した企業広告。営業所展開を活発化。社員も大幅に増加した1994年には現在の千代田区富士見1丁目に本社を移転Windows 95の発売に先駆けてPCA会計Windows版を発売
続いて給与計算発売。この頃は石や貝を広告宣伝に活用。「いまでもエコのイメージで活用できそう」と川島俊夫常務取締役Windows 95対応ではブームに乗ってベストセラーとなった
1996年には低価格製品の「じまんシリーズ」も発売。それにあわせて「ポピュラー・コンフォタブル・アプリケーション」のメッセージも用意5%となった改正消費税に対応した製品を投入西暦2000年問題に対応したEX-Vシリーズを発売したのは1999年12月
マイクロソフトのSBSに対応した製品も投入。中小企業における財務会計ソフトの導入を加速した2000年には東京証券取引所市場第二部に上場
2000年以降は中村玉緒さんをキャラクターに採用。「2000年以降も会社を幸せにできまっか!」などの関西弁のユニークになキャッチフレーズYes,We canを彷彿とさせるようなYes! PCAのキャッチフレーズも
「社長ご決断を!」と中村玉緒さんが呼びかけるバージョンERPパッケージのDream 21を発売。さらにラインアップを拡大することになった
全国規模で戦略フォーラムを開催し、製品の強みを訴求する活動を行っている
2003年から発売した7シリーズ。ちなみにWindows 7に対応した現行製品は「PCA会計9 R7」などとなっている2005年からイメージキャラクターとなった金子絵里さん金子絵里さんは30周年にお祝いに会場に駆けつけた。「事務所でもPCA会計を使っている」とのこと
公益法人会計市場では圧倒的なシェアを誇っているPCA2008年からSaaSサービスを業界でいち早くスタートした
2009年2月らPCA for SaaSのイニシャルプラン0プランをスタートした。今後の事業の柱に育てると水谷社長は意気込んでいる

(2010年 8月 9日)

[Reported by 大河原 克行]