アップル、新型iMacとMagic Trackpadの説明会を開催

21.5型iMac

7月28日開催



 アップルは28日、7月27日に発表された新型の「iMac」と「Magic Trackpad」に関する説明会を開催した。両製品は同日よりすでに出荷が開始されている。なお、同時に発表された「Mac Pro」と「27型 LED Cinema Display」については出荷がそれぞれ8月、9月になることもあり、この日の説明会では触れられなかった。

 アップルによれば先日の決算発表のとおり、4月から6月の四半期は全世界で347万台のMac製品を発売。これは前年同期比で33%増にあたる。およそ350万台というこの数字は、同じ4月から6月の期間において日本国内で販売されたPC(コンシューマ用途からビジネス用途まですべてを含む)とほぼ同数ということで、会社としてはiPhoneやiPadなどが大きな注目を浴びるなか、Mac製品も堅実な伸びをしていることをあらためて強調した。

 また、4月から6月という期間はMacBookおよびMacBook Proが市場に投入された時期にあたるが、元来市場の成長率に比して高いという同社のポータブル製品のなかでも同製品群のそれは特に高く、GfKの調査によると市場の成長率に対して10倍の伸びを見せるヒット商品となっているという。また、6月に発表したMac miniについても、発売以来5年目にして初めて筐体のデザインを大きく変更するモデルチェンジとなったことを挙げて、こちらも同社が期待する以上の出荷台数で推移しているという見方を示した。iPhoneやiPadなど直感的な操作が行なえる同社製デバイスが一般へと普及していく過程で、あらためて同様な操作感を求めるかたちで消費者のMac製品へのニーズが高まっているとともに、Windowsからの乗り換え需要も高いと同社では分析している。

27型iMac

 アップルによれば前モデルが2009年10月に発表されたiMacは、その10月から2010年6月までの期間で、日本でもっとも売れたデスクトップコンピュータ製品であるという。BNCやGfKの調査結果や売り上げランキングなどを例に挙げて、今回の発表によって実質的なモデル末期となった6月期においても売り上げ1位を獲得するなど、他社から夏モデルが続々と登場した6月期においても優位にあったことを説明した。

 そのうえで今回のiMacのモデルチェンジとなるわけだが、特徴は全体的なパフォーマンスの向上とユーザーインターフェイス部分の2点に集約されている。iMacの基本である究極のオールインワンというスタンスは従来同様。21.5型で1,920×1,080ドット、27型で2,560×1,440ドットという解像度も従来モデルから継承する。外観は2009年10月に発表された前モデルとまったく変わらない。インターフェース部分も前モデルと同様だが、側面のSDメモリカードスロットが最大2TBのSDXC規格に対応するようになった。また、システムバスが1,066MHzから1,333MHzに向上している。

 前モデルでは下位製品にCore 2 Duo+NVIDIA GeForce 9400Mチップセット(ビデオ機能内蔵)を採用していたが、新モデルはすべてのモデルにデスクトップ向けのCore iシリーズを搭載。GPUはすべてディスクリートタイプとなり、ATI Radeon HD 4670/5670/5750がモデルに応じて搭載されている。スペック詳細は下記にまとめた。いずれも基本モデルとなり、オンラインのApple Storeや直営店、一部の量販店などではCTOによる各種カスタマイズが可能。

【表1】iMacのスペック
2010年7月27日モデル(※新モデルの色付き部分はCTOによる変更が可能な項目)
CPU Core i3 3.06GHz Core i3 3.2GHz Core i3 3.2GHz Core i5 2.8GHz
メモリバス 1,333MHz 1,333MHz 1,333MHz 1,333MHz
標準メモリ 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2)
標準HDD 500GB 1TB 1TB 1TB
GPU(メモリ) ATI Radeon HD 4670(256MB) ATI Radeon HD 5670(512MB) ATI Radeon HD 5670(512MB) ATI Radeon HD 5750(1GB)
液晶パネル 21.5インチ(1,920×1,080) 21.5インチ(1,920×1,080) 27インチ(2,560×1,440) 27インチ(2,560×1,440)
AppleStore価格 118,800円 148,800円 168,800円 198,800円
2009年10月21日モデル
CPU Core 2 Duo 3.06GHz Core 2 Duo 3.06GHz Core 2 Duo 3.06GHz Core i5 2.66GHz(i5-750)
メモリバス 1,066MHz 1,066MHz 1,066MHz 1,066MHz
標準メモリ 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2) 4GB(2GB×2)
標準HDD 500GB 1TB 1TB 1TB
GPU(メモリ) NVIDIA GeForce 9400M NVIDIA GeForce 9400M NVIDIA GeForce 9400M ATI Radeon HD 4850(512MB)
液晶パネル 21.5インチ(1,920×1,080) 21.5インチ(1,920×1,080) 27インチ(2,560×1,440) 27インチ(2,560×1,440)
AppleStore価格 118,800円 148,800円 168,800円 198,800円

 製品担当者によれば、従来のCore 2 Duoモデルに比べてCore i3搭載のモデルでは(GPU機能やシステムバスの向上なども加えた総合性能で)最大50%のパフォーマンスアップを実現。118,800円からという廉価な下位モデルでも十分なパフォーマンスが得られるうえ、最上位のクアッドコア搭載モデルでも、標準構成なら20万円を切るという満足できるコストパフォーマンスになっているとした。

 27型モデルでは標準搭載のHDDとは別にSSDを追加できるのも新モデルの特徴の1つだ。HDDのみ、SSDのみの構成のほか、HDD+SSDという構成も選択できる。この場合、SSD側にシステムやアプリケーションを入れておくことで、より高速な活用ができると説明された。また全モデルにわたってメモリスロットを4つ搭載しているため、2GBのDDR3 SDRAMを4枚使うことで安価に8GBの構成にすることもできるとしている。

 なおMacBook Proに搭載された統合グラフィックスとディスクリートグラフィックスの切り替え機能だが、これはiMacには搭載されない。いずれのモデルのCPUにもGPU機能は内蔵されてはいるものの、実際に使われているのは常時ディスクリート側のRadeonとなる。この点については、デスクトップという環境の特性とパフォーマンスを優先した結果の判断とのことだ。

●新入力デバイス「Magic Trackpad」
環境光によって印象がかわるものの、ベースはApple Wireless Keyboardと同じアルミの質感。平板ではあるが、トラックパッド全体は上部を支点に押し込むことができ、実際のクリック感もある。

 iMacをはじめとするデスクトップ製品におけるユーザーインターフェイスの向上という点でピックアップされたのが同時に発表された「Magic Trackpad」である。MacBookやMacBook Proなど、ポータブル製品に搭載されているトラックパッドによるジェスチャー操作のすべてをデスクトップ製品で実現する入力デバイスだ。ただし、iMacにはMagic Mouseが標準で同梱され、Magic Trackpadはオプション扱いとなる点には注意が必要。なお、Magic Trackpadはデスクトップ製品だけでなく、ポータブル製品にも利用できるので、液晶を閉じたいわゆるリッドクローズドモードでMacBookなどを利用する際にも、各種ジェスチャー操作が利用できることにもなる。

 Magic Trackpadのトラックパッド面積は、ポータブル製品に搭載されているものに比べて80%大きい。また、現行のApple Wireless Keyboardに合わせたデザインおよびサイズとなっているので、一緒に利用したときのバランスがいい。Bluetooth接続のため、Wireless Keyboardの利用と合わせてデスクトップ周りがスッキリするのではないかと製品担当者はコメントした。

 このサイズを実現したことで、従来のマウスに比べて、手を動かす範囲は少なくて済み、マウスより狭いスペースで利用が可能だ。前モデルでは同時にMagic Mouseを発表してデスクトップにおける1つのユーザーインターフェイスの提案をしたが、今回はさらにそのMagic Mouseや他のMouseを使ってるユーザーを含めて新たな提案をしたいとしている。

 機能的にはすでにMacBookなどに搭載されているトラックパッドとまったく同一で、タップによるクリック。2本指によるスクロール。モーメンタム(慣性)スクロール。ピンチイン、ピンチアウト、回転。3本指を使ったスワイプやドラッグ。4本指でのアプリケーション切り替え、エクスポゼなどが実現できる。4本指操作ができることからわかるとおり、マルチタッチは4点を同時認識する。MacBookなどと同様、右クリックのエリアも設定可能だ。なお写真からは分かりにくいが、上部を支点としてトラックパッド表面は物理的に押し下げることが可能。つまりクリック操作はタップだけでなく、実際に指先に力を加えてのクリック感が伴う操作も行なえる。短時間だが操作した感触では、クリック時に沈み込むストロークは、MacBookのそれよりもやや深めという印象だ。

Apple Wireless Keyboardと並べてみたところ。サイズがぴったりと合っている Apple Wireless KeyboardとMagic Trackpadの右側面比較 Apple Wireless KeyboardとMagic Trackpadの左側面比較
「Magic Trackpad」の右側面。電源スイッチはこちら側にある 「Magic Trackpad」の右側面。電池蓋はコインのようなもので開閉。単3電池2本で駆動する 「Magic Trackpad」の裏面。アップルのロゴマークは裏面にある。滑り止めの足は四カ所

 なお、日本時間28日よりソフトウェア・アップデートを通じて「Magic TrackpadおよびMulti-Touch Update 1.0」の配布が始まっており、このアップデートを適用することで、既存の製品でもMagic Trackpadが利用できるようになるほか、2010年4月に発表されたMacBookおよびMacBook Pro以前のポータブル製品搭載のトラックパッドでも、モメンタムスクロールや3本の指を使ったジェスチャー機能が利用できるようになる。対象製品はおおまかに2008年後半以降に発表されたポータブル製品。モデルによっては一部機能(モーメンタムスクロール)のみの対応になる。詳細は同社のサイトで確認が可能。アップデートはBootCampを利用したWindowsの32bitおよび64bit向けにも提供されるが、Windows環境ではすべてのジェスチャーに対応しているわけでない。

ソフトウェア・アップデートにより従来モデルでもMagic Trackpadが利用できるようになる 更新されたシステム環境設定パネル。右下に「Bluetoothトラックパッドを設定」という項目が加わっている。実際に接続した場合、左下にバッテリの残量表示も行なわれる

 また同社では環境に配慮した製品づくりについて今回の説明会でもコメントした。アルミパーツを中心に構成されるiMacのリサイクル率の高さをはじめ、製造工程や製品における有害物質の排除、エネルギースター5.0への準拠などが改めて説明された。そのうえで、新しい取り組みとしてワイヤレス製品向けに「Apple Battery Charger」の発売を発表した。これは、充電器に加えて単3充電池を6本同梱したパッケージとなる。

 6本という本数は、Wireless Keyboardに2本、マウスあるいはMagic Trackpadに2本、そしてそれらの交換待機用に2本という構成が想定されているとのこと。ちなみに2007年に発表されたApple Wireless Keyboardの初期製品は単3電池3本による駆動なので少々構成に困る部分もあるのだが、旧製品については特に説明会では言及されなかった。

 充電器と充電池の仕様については明らかにされてない部分が多い。アップルによれば電池は数百回の繰り返し利用が可能で、耐用年数は最大で10年間とのこと。自己放電率も低く、1年の放置後でもフル充電時の約80%を保持しているという。また、充電器の待機時消費電力も、充電完了後は一般的な他社製充電器に比べて10分の1にあたる30mWに抑えたとしている。ただし、ニッケル水素電池であることは間違いないが、電池単体の出力電圧や電池容量などは現時点で明らかにしていない。また充電器の性能についても、フル充電までに要する時間などは不明のまま。これらは質問にものぼったが、いずれも後日公表とされた。同製品の出荷は8月を予定している。

 なお本日から出荷されているMagic Trackpad、および現行のApple Wireless Keyboard、Magic Mouseなどの同梱電池は従来どおりのアルカリ乾電池。「Apple Battery Charger」の利用は、こうした同梱品を使い切ってから交換するというのが現時点でとりうるベターなエコ手段となる。

(2010年 7月 28日)

[Reported by 矢作 晃]