マイクロソフト、Windows 7 RCの主要機能を解説【全般編】
〜使いやすさ、パフォーマンス、信頼性と互換性を強化

5月20日 開催



 マイクロソフト株式会社は20日、都内で報道関係者向けにWindows 7製品候補(RC)版の主要な機能、特徴についての包括的説明会を開催した。その一部は過去の記事でも取り上げているが、その内容について、全般編、コンシューマ向け機能編、法人向け機能編の3部に分けて紹介したい。

 なお、ここで説明するのは現状のRC版についてであり、製品版では微妙な変更等が加えられる可能性はある。また、一部の画面写真に英語が混じっているが、それらは製品版では完全に日本語化される予定。

 RCのシステム要件は、1GHz以上の32bitか64bit CPU、メモリが1GB(32bit)か2GB(64bit)、HDD空き容量が16GB(32bit)か20GB(64bit)、GPUがWDDM 1.0以上のドライバが用意されているDirectX 9対応のものとなっている。

 Windows 7のメインとなるエディションは、全機能が入ったUltimate、ドメイン参加、暗号化、ネットワークバックアップ機能などがあるProfessional、一般ユーザー向けのHome Premiumとなる。これ以外に、ネットブックなどを対象にしたStarter、Professionalよりも法人向け機能を充実させたEnterprise(ボリュームライセンスでのみ提供)、新興市場向けのHome Basicがある。このうちRCではUltimateのみが用意されている。現在のところ、Home Premiumなど他のエディションの評価版を出す予定はないという。

●強化ポイント1:使いやすさ

 Windows 7の基本機能の強化ポイントとしては、大きく「使いやすさ」、「パフォーマンス」、「信頼性と互換性」の3つが上げられる。

 まず、使いやすさについて、ユーザーインターフェイスの新機能を見てみよう。普通、デスクトップにはよく使うファイルやショートカット、ガジェットなどが配置され、各アプリケーションのウィンドウはその上に重ねて展開される。この時、タスクバーの右端にマウスカーソルを持って行くと、各ウィンドウがうっすらと端だけを残して透明化され、その状態でマウスをクリックするとデスクトップの表示・元の画面の表示が切り替えられる。

 各ウィンドウは、枠の上の部分をドラッグして、画面一番上でボタンを放すと最大化、右端・左端に持って行ってボタンを放すと、画面の右半分あるいは左半分の大きさに自動調整される。また、枠の上の部分をクリックしたまま、ウィンドウを小さく揺らすようにドラッグすると、それ以外のウィンドウが最小化される。なお、Vistaにあったサイドバーはなくなり、7では従来のサイドバーガジェットをデスクトップ上に自由に配置できるようになっている。

 ちなみに、デスクトップのテーマはかなり数が増えており、その中に「日本」というものもあるが、その壁紙は同社が社内公募して選出したものだという。

Windows 7の画面 タスクバー右端にマウスカーソルを置くと、ウィンドウが枠を残して透明化され クリックすると全ウィンドウが最小化される
各ウィンドウの枠の上をドラッグしたまま、ウィンドウを揺さぶると、ほかのウィンドウが最小化される 左右の端までドラッグすると、ウィンドウのサイズがちょうど画面の半分になる

 タスクバーもVistaから大きく様変わりした。原則として、複数のウィンドウを開いても、タスクバー上のアイコンはアプリケーションごとに1つに集約。また、プログレスバーが表示される状態では、アイコンにも緑色で進捗のメーターが表示される。

 アイコン上にカーソルを置くと、各ウィンドウのサムネールが表示されるのはVistaと同じだが、サムネール上にカーソルを持って行くと、等倍サイズでそのウィンドウのみが表示。また、サムネール右上のボタンを押すと、その画面を閉じられる。

 より目立った新機能として「ジャンプリスト」が搭載。タスクバー上のアイコンを右クリックするとジャンプリストが表示され、そこに最近使ったファイルの一覧が表示される。これにより、従来より少ないマウス操作でファイルを開いたり、閉じたりできる。こういった配慮は7の随所に見られる。

 これ以外に、ある程度アプリケーション側の対応も必要だが、ジャンプリスト上に、各アプリケーションやファイルに即座にアクセスできるよう、そのショートカットを固定したり、よく使う機能を表示させることもできる。

Windows 7のタスクバー。アイコンの周りに白っぽい縁が表示されているのは、そのアプリケーションが起動されているという意味 アイコンにカーソルを置くとサムネール一覧が表示。さらにサムネールにマウスオーバーすると、そのウィンドウだけが等倍表示される プログレスバーが表示されているときは、タスクバーのアイコンにもメーターが表示される
アイコンを右クリックするとジャンプリストが表示 Internet Explorer 8のように、ジャンプリスト対応アプリケーションの場合、タスクなどのメニューも表示される

 通知領域は、多数のアプリケーションをインストールすると通知アイコンが増え、煩雑になりがちだが、7ではデフォルトでスピーカー、ネットワーク、バッテリ、重要なメッセージの4つのみが表示される。そのほかのアプリケーションのものも含め、各アイコンについては、アイコンと通知を表示、両方を非表示、通知のみを表示のオプションを指定できる。

 また、セキュリティやメンテナンス、トラブルシューティングなどに関する通知は、「アクションセンター」に集約して表示されるようになった。

簡素化された通知領域。ちなみに本文では触れていないが時計のところに年月日も出るようになった 通知領域について、アイコンと通知を区別して表示の設定ができる セキュリティなど重要な情報はアクションセンターに集約

 「Windowsエクスプローラー」もいくつか大きな変更が加えられている。従来、各種ドキュメントやメディアファイルは、それぞれ物理フォルダに分別して保存していたが、7では「ライブラリ」で管理するようになった。

 ライブラリには「ドキュメント」、「ピクチャ」、「ビデオ」、「ミュージック」といったフォルダがあるが、これらは物理フォルダではなく、仮想的なフォルダとなっている。各種ファイルの管理にあたっては、それらが存在する物理フォルダをライブラリに登録する。ライブラリでは、フォルダ別以外に、写真なら撮影日別、作成者別、タグ別などでソートすることもできるので、例えば家庭内の複数のPCにファイルが散在していても、「娘」といったタグに合致する写真をライブラリ内で一括表示することもできる。

 検索機能も強化され、検索結果にヒットしたキーワードがハイライト表示されるようになった。また、ローカルファイルだけでなく、Live Searchなど指定した検索プロバイダを使ってのネット検索もWindowsエクスプローラーでできるようになった。

Windowsエクスプローラー ライブラリは仮想フォルダで、違う場所にあるデータも一元的に表示できる ファイルの追加はこのようにフォルダを追加してやる
データは条件に基づいてソートできる 検索結果はキーワードがハイライト表示されるようになった これはVistaにもあるが、プレビューペインを使ってアプリケーションを起動することなくプレビューできる
検索場所にインターネット検索プロバイダを指定すると、Windowsエクスプローラーからもインターネット検索ができる 当然こちらもプレビュー可能 アイコンをダブルクリックするとInternet Explorerが起動する

●強化ポイント2:パフォーマンス

 すでに過去の記事でもお伝えしている通り、Windows 7はWindows Vistaのカーネルをベースとしているが、性能面でさまざま改良が施され、速く、軽くなっている。

 具体的には、ディスクI/Oやレジストリアクセスの高速化により、起動、終了、スリープなどからの復帰時間を短縮。「トリガースタートサービス」の実装により、必要になるまでサービスの読み込みを行なわないことでも起動を高速化。また、ユーザーが開始してない処理はバックグラウンドで実行したり、デバイス装着後の認識やドライバインストールを高速化するといった形で、ユーザーに重い、遅いと感じさせない仕組みも導入している。

 同社が検証した結果によると、Windows 7/Vista/XPについて、起動時間はそれぞれ29.19秒、40.17秒、32.93秒、終了時間はそれぞれ11.19秒、12.17秒、14.32秒、100MBのファイルのネットワークコピー時間はそれぞれ9.56秒、9.52秒、11秒、100ページのPDFを開くのにかかる時間はそれぞれ0.24秒、0.42秒、0.44秒だったという。

パフォーマンス改善の仕組み マイクロソフトによるベンチマーク結果

 APIレベルでは、2Dグラフィック用のDirect2D、テキスト用のDirectWrite、イメージ処理/表示用のWindows Imaging Componentなどが追加。Windows 7の基本コンポーネントはDirect2Dに対応しており、従来のGDI/GDI+よりかなり高速な描画が可能となっている。デモアプリケーションでは、GDIでは80fps程度だったものが、Direct2Dでは355fps程度にまで高速化されていた。

【動画】サンプルアプリケーションを使ったGDIによる描画のデモ 【動画】こちらはDirect2Dによる描画のデモ

 もう1つ性能面では、デスクトップの表示を管理する「Desktop Windows Manager」により、ウィンドウあたりのメモリ消費量を5割削減したのに加え、ウィンドウ数を増やしてもメモリ消費量が増えなくなった。これにより、OSが重くなるのを防いでいる。なお、これにはビデオドライバがWDDM 1.1に対応している必要がある。

 省電力の面でも改善は少なくない。あらたにプロセッサの電力管理が強化。また、Bluetoothデバイスが接続されていない、Ehternetケーブルが接続されていないといった時に、そのコントローラの電力を落とす機能も追加されている。CODECやMedia Playerの改良にも起因するが、DVD再生時のバッテリ駆動時間はVistaに比べ10〜15%程度延びるという。

ウィンドウ表示に伴うメモリ消費量が激減 省電力性も向上した

●強化ポイント3:信頼性と互換性
7ではUACの通知のタイミングを変更可能になった。またデフォルトでユーザーの操作による変更では通知が出なくなった

 最後のポイントは信頼性と互換性。信頼性は大きくセキュリティと堅牢性の2つの点がある。セキュリティ面ではVistaで不評だった「ユーザーアカウント制御(UAC)」によるシステムからの干渉が緩和されている。

 VistaではUACはオンかオフの2段階だったが、7ではこの間に2つのレベルが設けられた。上から2番目のレベルでは、プログラムがPCに変更を加えようとするとVista同様、警告が出るが、ユーザーが変更した場合は出さない。7ではこれがデフォルトになっている。もう1つ下のレベルでは、プログラムがPCに変更を加えようとすると警告が出るが、画面は暗転しないので、そのままほかの作業を行なうことができる。これらはセキュリティ向上のための変更ではないが、ユーザーの希望を最優先させたというWindows 7の方針を良く表わしている。

 堅牢性向上のため、7には高度な自動修復機能が搭載されている。一例として、自分のPCに間違ったIPアドレスやDNSなどを指定して、インターネットに接続できなくなった場合、Internet Explorerの「接続の問題を診断」ボタンを押すと、ネットワークの診断が開始。これはVistaでも同じだが、7では診断終了後に、OSが提示した解決策を使って修復を実行させることができる。これを利用すると、OSが自動的にIPアドレスの設定を正しいものに設定してくれる。

例えばPCのIPアドレスの設定を間違えると インターネットにはつながらなくなるが、ここで「接続の問題を診断」ボタンを押すと トラブルシューティングのウィザードが起動し、原因を特定
さらにここからその問題の解決を自動実行できる トラブルシューティングを完了すると ネットに接続できるようになった

 アプリケーションクラッシュの原因の15%を占めるというヒープの破損に対し、影響を最小限にしてクラッシュを回避する「フォールトトレラントヒープ」機能も新たに搭載された。デモでは、強制的にヒープによるアプリケーションクラッシュを発生させたが、数回繰り返すと、自動的に問題が解消され、アプリケーションが起動するようになった。

アプリケーションがクラッシュするとその原因が調査され ヒープが原因だった場合、アプリケーションには変更を加えず、問題を回避できるようになる

 互換性の確保にあたっては、まずWindows 7を導入するための事前チェック環境の提供している。具体的には、Upgrade Advisor、Application Compatibility Factory、転送ツールなどで、Upgrade Advisorは既存PCのハードウェアおよびソフトウェアがWindows 7に対応しているかどうかを判定する。転送ツールは、既存のPCにWindows 7を入れる前に、ユーザーが作成したファイルやアカウント情報などを別PCや外付けHDDなどに保存できる。

 バージョンチェックでアプリケーションが動作しない場合、Vistaでは互換モードを使うことで回避できるものがある。7についてはこれも自動修復機能を利用し、アイコンの右クリックから「互換性のトラブルシューティング」を選択することで、問題の原因を判断し、互換モードでの利用を自動設定することができる。

このようにバージョンチェックが理由でアプリケーションが起動できない場合 Vistaではプロパティから互換モードを使うことで対応できたが
7では右クリックから「互換性のトラブルシューティング」を選ぶと その作業が自動化される

 互換モードなどでも動作しないソフトウェアについては、Professional以上のエディションに搭載される「Windows XP Mode」を使うことで解決できる場合もある。XP Modeは基本的に「Windows Virtual PC」の機能をそのまま使ったものだが、ユーザーがXP用アプリケーションを7上でシームレスに利用できる。なお、XP ModeはOSとは別にダウンロードする必要があり、利用には仮想化に対応したCPUが必要となる。

(2009522日)

[Reported by 若杉 紀彦]

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