AMD、業界初の40nmプロセス採用GPU「ATI Radeon HD 4770」
~4870の2倍のワット性能を実現

ATI Radeon HD 4770

4月28日 発表



 米AMDは28日、業界初の40nmプロセス技術を採用したパフォーマンスGPU「ATI Radeon HD 4770」を発表した。搭載カードの実売価格は109ドル前後。

米AMDのズビカ・グリーンスタイン氏

 事前説明会で新GPUについて解説した同社グラフィックプロダクト・グループ デスクトップ・グラフィックス部門プロダクトマーケティング・マネージャーのズビカ・グリーンスタイン氏は「この40nmというのはGPU業界だけでなく、CPU業界を含めても最先端のもの」であることを強調した。

 コードネーム「RV740」として知られるこのGPUのベースのアーキテクチャは、Radeon HD 4850で、SP数は640基、テクスチャユニット数は32基と、ちょうど2割分削減。ただし、コアクロックは625MHzから750MHzに、メモリもGDDR3からGDDR5に変更することでクロック(データレート)は、2,000MHzから3,200MHzに向上。ただし、メモリインターフェイスは128bitとなっている。メモリ容量は512MB。

 このほか、バックエンド部分は、ROP数16基、Zフィルレート64と同じスペックを持つ。これにより、演算性能は960GFLOPSと4850と同レベルに達している。トランジスタ数は8億2,600万で、最大消費電力は80W。性能(GFLOPS)を消費電力で割った、電力あたりの性能は、Radeon HD 4870に比べ2倍と、最新プロセスの成果が現われている。

 リファレンスのカード厚はデュアルスロットとなるが、シングルスロットも可能で、判断はカードメーカーに任されているという。ちなみに、シングルスロット仕様では、カード全体をヒートシンクで覆う必要があるため、背の低い(=高価な)パーツを使う必要があり、価格が上がる可能性があるという。

 競合となるのは、GeForce 9800 GTだが、グリーンスタイン氏によると、各種ゲームでの性能は、Radeon HD 4770の方がおおむね3割高いという。また、GeForce 9800 GTは2007年のGeForce 8800 GTからシールを貼り替えただけの製品だが、「Radeon HD 4770は、世界初の40nmで、DirectX 10.1としては第3世代、GDDR5としては第2世代の新しいアーキテクチャに進化している」点や、「DirectX 10.1に対応することにより、対応ゲームでの性能と画質が向上する」点をアピールした。

 なお、新製品の登場により、Radeon HD 4830は終息となり、同社GPUのラインナップは上から、Radeon HD 4870 X2、4890、4870、4850、4770となる。

業界初の40nmプロセスを採用Radeon HD 4770の主な仕様ブロックダイヤグラム
ワット性能は4870の2倍Radeon HD 4770とGeForce 9800 GTの性能比較

(2009年 4月 28日)

[Reported by 若杉 紀彦]