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Intel、世界最大規模のニューロモーフィック・システムを構築

Hala Point

 米Intelは17日(現地時間)、最新のIntel 3製造プロセスを採用した「Loihi 2」プロセッサを搭載した、世界最大規模となるニューロモーフィック・システムの構築「Hala Point」の構築を完了したと発表した。最初にサンディア国立研究所に導入される予定となっている。

 Hala Pointは、人間の脳に着想を得たコンピューティング原理「スパーキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)」を取り入れたというLoihi 2プロセッサを採用し、桁違いの電力効率と性能を向上を達成。ニューロン間はメモリを介さずに相互に直接通信するため、全体の消費電力を削減できたという。

 具体的には、電子レンジほどのサイズである6ラックユニットのデータセンター向けシャーシに、1,152基のLoihi 2プロセッサを内蔵。140,544個を超えるニューロモーフィック・プロセッシング・コアに分散された11億5,000万ニューロンを、1,280億のシナプスで結合しつつ、消費電力を最大でも2,600Wに抑えた。さらに補助演算用に、2,300基を超えるx86プロセッサも組み込まれている。

 最大容量である11億5,000万ニューロン時は、人間の脳の20倍高速、より低容量の際は最大200倍高速に実行可能。このニューロン容量は、フクロウの脳やオマキザルの皮質とほぼ同等だとしている。

 Hala Pointでは、処理、メモリ、通信チャネルを1つの超並列化ファブリックに統合。システム全体におけるメモリ帯域幅は16PB/s、コア間通信帯域幅は3.5PB/s、チップ間通信帯域幅は5TB/sに達する。これにより、8bitのシナプス演算を1秒間に380兆回以上、ニューロン演算を1秒間に240兆回以上処理できるという。

 従来のCPU/GPUアーキテクチャと比較し、消費電力を100分の1に抑えながら約50倍高速にAI推論が可能で、最適化問題を解決できる。最大10:1のスパース性接続とイベント駆動型アクティビティの利用により、入力データの一括収集は不要となり、ディープ・ニューラル・ネットワークで約15TOPS/Wという電力効率を実現。まだ研究段階ではあるが、継続学習能力を備えた未来のニューロモフィックLLMなら1時間にGW(ギガワット)単位の省エネ性も実現可能となるとしている。