ニュース

NVIDIAの最新ドライバでFermi世代のGPUがDirectX 12対応に

~3年越しに公約を果たす

GeForce GTX 560 Ti

 NVIDIAが2017年6月27日にリリースした最新ドライバ「GeForce Game Ready Driver 384.76」で、古いFermi世代のGPUがDirectX 12に対応したことが明らかとなった。

 Fermiは2010年3月に発表したNVIDIA初のDirectX 11対応GPUで、最初はハイエンドのGeForce GTX 480とGTX 470が投入された。同年11月にリファイン版のGTX 500シリーズも発売されている。

 一方、MicrosoftはWindows 10の発売に合わせて、新しいグラフィックスAPIとしてDirectX 12を2014年3月に発表し、2015年7月に投入した。NVIDIAは2014年の発表時点で、FermiをDirectX 12に対応させるとしていたのだが、実はこれまで対応がなされてこなかったのである。

 確認のため、編集部で唯一残っているFermi世代のGPU、「GeForce GTX 560 Ti」でテストしてみた。

 まずDirectX診断ツールを実施したところ、2017年6月7日リリースの382.53ではDirect3D DDIは「11」としてレポートされるのだが、384.76では確かに「12」としてレポートされることが確認できた。

Windows 10 Creators Updateのインボックスドライバとみられる376.53。Direct3D DDIは11.4と表示されている
2017年6月7日付けの382.53では、Direct3D DDIは11と表示される
384.76でDirect3D DDIは12となった

 Futuremarkが配布している3Dベンチマークソフトの定番「3DMark」も試してみた。382.53ではDirectX 12専用のベンチマーク「Time Spy」がエラーで実行できず、「API Overhead feature test」もDirectX 11のテストしか実行できない。一方、384.76ではちゃんとTime SpyとAPI Overhead feature testのDirectX 12テストが実行できるようになり、スコアを残すことができた。

382.53ではDirectX 12専用のTime SpyやAPI Overhead feature testのDirectX 12テストができない
384.76ではDirectX 12用のテストが実施できた

 加えて、Windowsストアアプリとして配布されているDirectX 12専用のレーシングゲーム「Forza Motorsport 6: Apex」も、382.53ではシステムの必要条件の1つであるDirectXの項目をクリアできなかったが、384.76ではクリアできるようになった。ただしこのゲームは2GB以上のビデオメモリを要求するため、ビデオメモリが1GBしかないGeForce GTX 560 Tiの環境ではインストールできない。おそらく、ビデオメモリが2GB以上あるFermi世代のGPUでは問題なくインストールできると思われる。

Windowsストアアプリ版のForza Motorsport 6: Apexのハードウェア要件。382.53ではDirectX 12非対応として表示され、インストールができない
384.76ではDirectX 12対応とされるが、残念ながらGeForce GTX 560 Tiはビデオメモリが足りずインストールできない

 競合のAMDは、初のDirectX 11対応GPUであるRadeon HD 5000シリーズやHD 6000シリーズでDirectX 12に対応できず、2011年のGCNアーキテクチャの世代でサポートを始めたため、NVIDIAにとってFermiの対応を急ぐ必要がなかったのかもしれないが、発表から3年でようやく公約を果たしたことになる。

 もっとも、いまどきのDirectX 12ゲームは7年前のFermiにとって重荷であることは間違いなく、快適にゲームをプレイしたいのであれば最新世代のGPUに買い替えたほうがよいのは言うまでもない。