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Microsoft、量子コンピュータ実現に向け-180℃で動作するメモリシステムを開発

 半導体技術開発企業の米Rambusは17日(現地時間)、米Microsoftと共同で、極低温下で動作するメモリのプロトタイプシステムの開発を行なっていることを発表した。

 RambusとMicrosoft Researchは、2015年に量子コンピューティングの実現に向けた次世代メモリの開発に向け協力すると発表しており、今回のプロトタイプシステム開発はその延長にある。

 Rambus研究所副社長のGary Bronner氏によれば、今回両社が開発している技術は、スーパーコンピュータおよび量子コンピュータに最適とされる、米国立標準技術研究所が定義する93.15K(-180℃に相当)という極低温環境下でのDRAMとロジック動作のエネルギー効率を改善するものだという。

 また、同技術によって高速なシリアライザ/デシリアライザ(SerDes)リンクが低温、超伝導領域で効率的に動作するようになり、新メモリシステムがそれらの温度で動作可能となるとしている。

 量子コンピュータにおいて、量子ビットは不安定なため、演算利用には可能な限り安定した環境が必要となり、極低温環境や真空空間などを用意する必要がある。

 実際、2017年1月に発表された量子アニーリング方式の量子コンピュータ「D-Wave 2000Q」(“GeForce GTX 1080比で1万倍高速”な量子コンピュータ)でも、0.015K(-273℃)の極低温と超真空空間、磁気影響を1ナノテスラまで抑えるシールドを備えている。

 Bronner氏は、メモリ容量と電力効率を改善において従来のアプローチは限界を迎えており、今回の研究によって、極低温技術を使用したDRAMの動作温度の大幅な変化が、将来のメモリシステムにおいて不可欠になる可能性が示されたとしている。