ニュース

MIT、幅広い負荷で超高効率なDC-DCコンバータを開発

〜IoT用途で待機電力を削減

 マサチューセッツ工科大学は17日(米国時間)、新開発の分圧回路による制御を用い、幅広い負荷電流で高効率を維持する降圧型DC-DCコンバータ技術を発表した。従来報告されている最高効率のコンバータと比較して、10倍幅広い負荷電流において50%待機電力を削減できたという。

 センサー類に代表されるIoTデバイスは、電池の持ちや、自然からエネルギーを取得し、メンテナンス頻度を減らすことが重要視されるため、これらの用途やウェアラブルデバイスなどに応用が期待される。

 通常、これらのデバイスに用いられるのは降圧型スイッチング方式DC-DCコンバータという、高い入力電圧をより低い出力電圧に変換する素子が用いられる。電池やソーラーパネルのような電源からの入力電圧を、デバイスで利用可能な電圧に変換するためだ。

 これらの素子は、入力電圧を変換するために高速でスイッチをオン/オフし、"こまぎれ"のパルスを出力し、さらにパルスをコンデンサなどで平滑し、定電圧を得るという原理で動作。また、負荷の変動に応じてパルス送出の頻度(デューティーサイクル)を制御して高効率を実現している。リリースによれば、通常の低電圧なコンバータでは秒間100万回ほどこうした制御が繰り返されているという。

 皮肉なことに、スイッチング損失を低減し、本来効率を向上するためのデューティーサイクル制御が高度化するほど、無/低負荷時の定常的な消費電力が増加してしまう。これは通常μA(マイクロアンペア)オーダーで、問題にならないものの、ことIoTデバイスなどでは先述のように待機電力削減は重要である。負荷電流がnAオーダーであってもコンバータ自体がμAオーダーで電流を消費し、効率のボトルネックとなってしまうからだ。

 同研究所のポスト・ドクターArun Paidimarri氏は今回の研究で、そうした問題点を解決するために、フィードバックのために出力電流を監視する部位に用いられる分圧回路に着目した。分圧回路は出力電流をわずかに吸い上げ、それをデューティーサイクルの制御に用いる情報を提供するもので、常時接続されていたが、新たに機構を追加することで分圧回路の動作をごくごく短い時間に制限した。

 これにより、今回の待機電力の50%削減や、より幅広い負荷電流への対応が可能になったとしており、この待機電力の減少や高効率といった特性はスタンドアロンで電力供給を行なうIoTデバイスなどに好適だとし、応用を期待している。