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パナソニック、フレーム単位で可視光/近赤外線撮影を切り替えられるイメージセンサー
2017年2月10日 16:52
パナソニック株式会社は9日、有機薄膜を用いたイメージセンサーにおいて、フレーム単位で撮像波長域(可視光/近赤外線域)を切り替える電子制御技術の開発を発表した。赤外線フィルタを排することによる信頼性の向上や小型化が期待できるほか、近赤外線の物質を透過する性質は非破壊検査や監視などに好適であり、産業用ロボットや監視用途への応用可能性があるとしている。
この技術は、同社が開発してきた有機薄膜CMOSセンサー技術を応用したもので、赤外線カットフィルタの付け外しを不要とし、信頼性の向上や小型化につながる。基礎となる有機CMOSセンサー技術は2016年に同社が発表していたもの。(デジカメWatch"パナソニック、有機薄膜CMOSイメージセンサーを開発発表")
有機CMOSセンサーは有機薄膜で光電変換を行なうが、このの技術は、可視光に対して感度を持つ有機薄膜と近赤外線域に感度を持つ有機薄膜を積層し、それらに電子制御を行なうことで可視光域のみまたは可視光域と近赤外線域両方に感度を持つ状態を選択できるというものだ。
通常、可視光領域を撮影するデジタルカメラなどでは、イメージセンサーに赤外線フィルタが装着されている。これは肉眼で知覚することのできない近赤外線が写真の色彩などに影響を及ぼし、写りの印象を変えてしまうことを防ぐためのもの。しかし、産業用途など、近赤外線域を含めた撮影したい場合には従来のカメラではフィルタを付け外しする必要があった。
また、有機CMOSセンサーには従来技術と異なり、高ダイナミックレンジや、行ごとでなくセンサー内の画素全体で同時に露光できるグローバルシャッターなどの特性をもっており、このグローバルシャッター機能により、撮影フレーム単位で近赤外線域感度の切り替えが可能となった。そのため、1フレームおきに近赤外線域を含めて撮影するか交互に切り替えることができ、より1つのカメラでより素早い状況把握が可能としている。
具体的な製品化時期などは未定だ。