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ブラザー、A3インクジェット複合機市場の拡大を目論む新製品

~認知度向上に向けコンシューマに引き続き小島瑠璃子さんを起用

MFC-J6995CDWと小島瑠璃子さん

 ブラザーは19日、A3インクジェット複合機「PRIVIO」シリーズの新モデルを発表した。発売は2月上旬。同社にとってこのラインナップは3年ぶりの刷新となる。

 既報の通り、今回発売されるのは「MFC-J6580CDW」、「MFC-J6980CDW」、「MFC-J6995CDW」の3モデル。いずれもカラーインクにも顔料系インクを採用することで、文字やグラフの画質が向上し、POPやチラシ印刷にも耐えうるものとなった。

 新製品の投入に合わせて都内で記者発表会を開き、新製品の特徴や販売戦略を紹介するとともに、コンシューマ向け製品と同様にタレントの小島瑠璃子さんをイメージキャラクタに据え、「特命営業部長」として任命する“任命式”が行なわれた。

三島勉社長

 冒頭では、ブラザー販売株式会社 代表取締役社長の三島勉氏が、製品戦略について解説。A3ビジネスインクジェットプリンタについては、2008年にブラザーが創出したものであり、2011年頃には競合も参入して市場が拡大。2013年には認知が広がるも、Windows XP特需や消費増税により、停滞している市場であるとした。

 しかし、2017年は製品の買い替えより市場が上向くと予測されており、ブラザーではさらなる認知度向上に向けた施策と、ヘビーユースに耐えうる製品を展開し、市場拡大に対応するとした。

A3ビジネスインクジェットプリンタ事業の変遷

 例えばビジネス向けインクジェットについてどう思っているのかについてアンケートを取ったところ、ランニングコストや印刷スピード、耐久性、印刷画質について疑問に思うユーザーが一定数いるとしている。

 つまり、A3ビジネスインクジェットは、ビジネスに耐え得る品質ではないとユーザーが不安を抱えているわけだ。しかし今回の新製品のスペックを、そういったユーザーに提示したところ、約70%が購入を検討したいと答えたという。

 一方で、A3レーザー複合機は年間43万台出ている市場であり、A3ビジネスインクジェットの市場よりも大きい。また、国内では約369万台のA3レーザー複合機が設置されているとしており、このうちの2.8%(約10万台)は、ビジネスインクジェットに置き換えられるのではないか(つまりスペックなどがニーズに符合する)と言われている。この10万台増を目指して市場を拡大させたいとした。

 そのためには、先ほど述べたA3ビジネスインクジェットへの不安を払拭する必要があるとし、今回の新製品へと進化させた。ブラザー初の全色顔料インクを採用するとともに、耐久性を従来の10万枚から15万枚に増やし、月間2,500枚出力しても5年間耐えうる仕様とした。

 また、ファーストプリント時間を従来の約9.5秒から約6秒に短縮し、高頻度/少量出力のニーズにも応え、A4モノクロで約0.9円とランニングコストも低減させた。

 これにより、従来ブラザーが強かったSOHO(1~9名の規模)市場に加え、10~50名のSMB市場にも進出し、拡販を狙うという。

A3ビジネスインクジェットプリンタの市場推移
市場拡大のポイント
プリンタユーザーのアンケートで、ビジネスインクジェットについての不安が顕に
A3複合機市場では、まだまだインクジェットの伸びしろがある
市場で稼働しているA3レーザー複合機
新製品のポイント
新たにSMB市場を取り入れる
高耐久によりSMB市場に進出
伊藤英雄氏

 新製品の特徴および戦略について、ブラザー販売株式会社 マーケティング推進部長の伊藤英雄氏が説明。コストパフォーマンスと印字画質の改良によって、新規市場の開拓を目指すと述べた上で、顔料インクによる画質面の向上、約15万ページの高耐久性、低ランニングコスト、ファーストプリントタイムの短縮について説明した。

 また、最上位のMFC-J6995CDWでは、背面に備えている多目的トレイの給紙枚数が従来の1枚から100枚に増加していることを挙げ、利便性が向上している点もアピール。さらに、高級なレーザー複合機では当たり前の、原稿用紙サイズ自動認識機能や、用紙残量検知機能を取り入れたことも、使い勝手を大きく向上させているとした。加えて、専用のモバイルアプリから印刷やFAXの送受信ができ、AirPrintやGoogleクラウドプリントに対応することで、スマートフォンやタブレットとも親和性が高いことを挙げた。

 なお、同社のA3ビジネスインクジェットはこれまで建築/建設業に強かったが、この市場はメインに据えつつ、チラシやPOPを印刷する小売店舗、そして出力頻度が高い医療分野にも進出し、年間約8万台の出荷を目論むとした。

 一方でA3ビジネスインクジェットプリンタの認知率は、世の中全体で約30%に留まっている現状を踏まえ、さらなる認知度拡大をすべきであるとし、イメージキャラクターに同社のコンシューマ向けインクジェットでもイメージキャラクターを務める小島瑠璃子さんを起用するとした。

新製品の訴求ポイント
顔料インクの採用
従来機から耐久枚数を5万枚増やし、15万枚とした
原稿サイズ自動検知や用紙残量検知機能を搭載
低ランニングコストの実現
ファーストプリントの時間短縮
スマートフォンやタブレットとの親和性も高い
建築/建設業での需要が高い
小売店舗や医療向けに販売を強化
A3ビジネスインクジェットプリンタの認知度調査
小島瑠璃子さんを特命営業部長に任命
ラインナップ全体で約8万台を目標に据える

 この後、小島瑠璃子さんが登壇し、三島社長から特命営業部長の任命書が渡された。続いて、書道の嗜みもあるという小島さんは、“スーツ姿にタスキをかけたままだから、本来この格好はタブーですよね”と笑いながら、「働く人を元気に」と書き初めを披露。このスローガンがあらかじめ印刷された営業用チラシを、MFC-J6995CDWでサクッとコピーし、営業担当の伊東氏に配布させるという演出も行なった。

 高校時代に用紙サイズ設定を間違えてコピーしたという苦いエピソードを交え、「ブラザーの新製品ならサイズ自動認識なので簡単ですね」と会場の笑いを誘った。

特命営業部長の小島瑠璃子さんとPRIVIO