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アマゾン、物理ボタンをポチるだけで日用品を注文できるサービスを国内で開始

~家電製品の消耗品を自動再注文するサービスも

Amazon Dash Button

 アマゾンジャパンは、Amazon.co.jpにおいて、ボタンを押すだけで、いつも使用している日用品を再注文できる「Amazon Dash Button(アマゾン ダッシュ ボタン)」と、家電製品などで使用される商品が消費されると自動的に再注文する「Amazon Dash Replenishment(アマゾン ダッシュ リプレニッシュメント)」のサービスを開始すると発表した。

 Amazon Dash Buttonは、2016年12月5日午前11時から利用が可能。また、Amazon Dash Replenishmentは、今後、対応機器がシャープやアイリスオーヤマから発売されることになる。いずれも、Amazonプライム会員を対象に提供するサービスとなる。

 Amazon Dash Buttonは、ボタンがついた小型のデバイスを使い、それを押すだけで、あらかじめ設定してある日用品を注文できるサービスだ。

 Amazonアプリをダウンロードしたスマートフォン使って、Amazon Dash Buttonの注文内容を設定。飲料やシリアル、洗濯用洗剤、シャンプー、おむつ、ペットフードなどの日用品の備蓄がなくなったら、ボタンを押せば、Wi-Fiに接続。そこから自動的にアマゾンに注文が行なわれる。

 エステーやエフティ資生堂、ユニ・チャーム、花王、アサヒ飲料、カルビー、伊藤園、ネスレ日本などの商品が対象で、商品をイメージしたカラーやデザインを採用した40種類以上のDash Bottanが用意され、700種類以上の日用品を注文することができる。

 飲料水であれば、ペッドボトルの大きさや本数、味などを設定。洗濯用洗剤であれば、ボトルか、詰め替え用か、あるいは香りの種類などを設定しておけばいい。価格はボタンを押した時のものが適用され、セール価格なども反映されることになる。なお、酒類はAmazon Dash Buttonの対象外となっている。

 ボタンを押した際にLEDが白く点灯し、Wi-Fiに接続。緑色に変わると注文が完了したことを示す。ボタンを押した時だけ稼働し、ネットに接続するため、「1,000回以上のクリックが可能で、何年でも利用できる。電池がなくなった場合には、アマゾンに送れば新たなものに交換する」(米Amazon.comのAmazon Dash担当ディレクターのダニエル・ラウシュ氏)という。

 注文内容はスマートフォンで確認できる。30分以内であればキャンセルが可能であり、間違って複数回押しても、商品が届くまでは1度だけの受注に限定されているため、子供が何度も押した場合や、家族がそれぞれに気がついてボタンを押した場合にも重複注文が避けられる。

 ボタンは、キッチンや水回りスペース、あるいは日用品を備蓄している棚などに、背面に付いているシールを使って張り付けたり、専用のツールを使ってぶら下げたりすることが可能で、備蓄がなくなったと思った時に、その場でボタンを押すといった利用提案を行なう。日常利用での防水仕様となっており、キッチン回りで水しぶきが飛んでも問題はない。

 配送は、プライムサービスに準拠。お急ぎ便も無料で利用できる。

米Amazon.comのAmazon Dash担当ディレクターのダニエル・ラウシュ氏
引っかけることできるパーツも用意されている
注文する商品ごとにAmazon Dash Buttonが用意されている
日本では約40種類のAmazon Dash Buttonを提供する
備蓄している場所の近くに張り付けて利用する方法を提案する
扉の裏側に張り付けるといったことも可能だ
Amazon Dash Buttonを注文するとこんなパッケージで配送される
AmazonアプリにDash端末の項目が追加され、「新しい端末をセットアップ」で初期設定する
指示に従ってAmazon Dash Buttonを設定
スマートフォンAmazon Dash Buttonの設定時はBluetoothで接続
設定準備中の画面
注文内容を設定する。サイズや味などを選択できる
これでセットアップが完了。あとはボタンを押せば注文ができる
注文内容はスマートフォンで確認できる

 Amazon Dash Buttonの価格は500円(税込)だが、Dash Buttanで商品を注文すると、初回購入した金額から500円相当を差し引くため、実質的には無料で利用できる。

 Amazon Dash Buttonで注文できる製品は今後増やしていく考えだという。

 Amazon Dash Buttonは既に、米国では昨年(2015年)からサービスが開始されており、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国でもサービスが行なわれている。米国では、Amazon Dash Buttonを通じた注文数が、12カ月間で5倍に増加。コーヒーの注文の半分はAmazon Dash Buttonになっているという。

 米Amazon.comのラウシュ氏は、「多くの人が、ペーパータオルやコーヒーといった日用品がなくなって困った経験をしている。だが、日用品の買い物は決してエキサイティングなものではなく、貴重な休日に、日用品の買い物に時間を割きたくない、できればやらないで済ませたいという思いを持っている人も多い。Amazon Dash Buttonは、ボタンを1つ押すだけで日用品の買い物という手間から開放されることになる」と語る。

 米国では、1世帯あたり平均4個近いAmazon Dash Buttonを所有しており、今年9月時点では、商品ごとに用意された約200個の全てAmazon Dash Buttonを所有していたユーザーもいたという。

 一方、Amazon Dash Replenishmentは、家電製品などの利用状況のデータをもとに、消耗品などを自動的に発注するサービスだ。

 同社が提供するAPIを用いて、取り付けたセンサーから、機器の利用実績などを把握。それらの情報をもとに、一定の量が消耗され、買い足しが必要だと判断すると、Amazonのクラウドサービスに接続。自動的に発注を行なう。

日本においてAmazon Dash Replenishment対応した製品を発売する企業

 現在、アイリスオーヤマ、エレコム、シャープ、船井電機、三菱レイヨン・クリンスイの5社が、同サービスに対応した製品を投入する予定だという。

 例えば、アイリスオーヤマでは、同社が発売する炊飯器にAmazon Dash Replenishmentを採用する予定であり、炊飯回数や炊飯合数をもとに、お米の消費量を予測。お米が無くなる前に、自動発注する。シャープでも家電製品への搭載を予定しているという。

 三菱レイヨン・クリンスイでは、通信機能を搭載した次世代浄水器に、適切な時期に、交換用のカートリッジを自動発注するサービスを計画。また、船井電機では、KODAKブランドのインクジェットプリンタにAmazon Dash Replenishmentを採用。インクが無くなる前に、自動発注することができる。エレコムでは、PC周辺機器やスマートフォン関連機器、ヘルスケア機器などでAmazon Dash Replenishment対応を図る予定だという。

 アマゾンジャパンでは、今後、日本国内におけるAmazon Dash Replenishmentを採用する企業の拡大にも取り組む考えを示した。

 米国では、ワールプールが、洗濯機や食洗機にAmazon Dash Replenishmentを採用。使用した回数に応じて洗濯用洗剤を自動発注。GEの洗濯機では、洗濯機に入れた液体洗剤の消費量をもとに自動発注を行うという。また、ブラザーやサムスンが、Amazon Dash Replenishmentに対応したプリンターを米国で発売。インクの消費量にあわせてインクカートリッドやトナーを自動発注する。Amazon Dash Replenishmentに対応したプリンターは60機種以上に達しているという。

米国で発売されているBRITAのAmazon Dash Replenishmentに対応した浄水器
蓋の裏側部分にセンサーが入っており、使用回数から交換用カートリッジを自動発注する
アマゾンジャパン 消費財事業本部統括本部長の前田宏バイスプレジデント

 アマゾンジャパン 消費財事業本部統括本部長の前田宏バイスプレジデントは、「Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業であること、地球上で最も豊富な品揃えをすることを、ビジョンに掲げており、今回の新たなサービスもそれを実現するものになる。ショッピングをする上で、困っていることを解決することに取り組んでおり、今回の新サービスも、その1つになる。顧客満足度を高めるために、品揃え、価格、利便性の3つの柱を重視している。新サービスは、独自の技術を活用することで、新たな消費体験を提供するとともに、ショッピングの新たな選択肢を提供することで、ショッピングの利便性を高めることができる」などと述べた。

 現在、Amazon.co.jpでは、2億種類以上の商品を取り扱っており、そのうち、化粧品や医薬品、日用品などのドラッグストア関連で約250万アイテム、食品や飲料、酒類で約100万アイテム、ペット製品やベビー製品などが約100万アイテムとなっている。

 「消費財の販売は、直近5年間で10倍以上の成長を遂げている。また、当日配送可能エリアは日本全体の84%に達しており、1時間で商品を届けるプライムナウは65,000種類の商品を取り扱っており、東京23区だけでなく、大阪、名古屋、神戸、横浜、川崎でも利用できる。Amazonプライムは、当初は配送特典が中心だったが、昨年から特典サービスを拡張しており、プライム会員数は前年比で51%増になっている」(アマゾンジャパン の前田宏バイスプレジデント)とした。

 PCからの月間ユニークユーザーが1,753万人、モバイルデバイスからの月間ユニークユーザーが3,025万人と、スマートフォン利用者が増加。月間ページビューは、PCが18億6,000万、モバイルデバイスからは16億9,000万に達しているという。