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Windows 10スマホ最高峰の「HP Elite x3」を国内デモ

~Continuumより断然使えるマルチウィンドウ対応のアプリ仮想機能搭載

HP Elite x3

 株式会社日本HPは7月1日、今年(2016年)2月のMWC 2016にて発表した5.96型のWindows 10 Mobile搭載のハイエンドスマートフォン「Elite x3」の製品体験会を開催した。

 Elite x3は、Qualcommの最上位SoCである「Snapdragon 820」を搭載しており、Windows 10 Mobile搭載機として最高峰の性能を備えたスマートフォンとして注目を集めていた製品。登場時期は今夏となっている。

HP Elite x3の主なスペック
SoCQualcomm Snapdragon 820
GPUAdreno 530
メモリ4GB
ストレージ64GB
ディスプレイ5.96型WQHD(2,560×1,440ドット)アクティブマトリクス有機EL(AMOLED)
通信機能LTE、IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.0+LE、NFC
インターフェイスUSB 3.0 Type-C、microSDカードスロット、Nano SIM、ヘッドフォン/マイクジャック
カメラ前面800万画素、背面16,00万画素
バッテリ4,150mAh
サイズ83.5×161.8×7.8mm(幅×奥行き×高さ)
重量約195g

 まだ最終版には至っていないものの、その性能や機能を披露するのに十分開発が進んだとのことで、タッチアンドトライを含めた実機のデモンストレーションが行なわれた。

スマホ、ノートPC、デスクトップの役割を「Elite x3」だけで実現可能

日本HPでパーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長を務める村上信武氏。今回のプレゼンで使用したスライドはは全てElite x3状から操作していた

 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 クライアントソリューション本部 本部長の村上信武氏は、現代社会においては、働く場所が物理的な制約を受けていないと言及。その理由として、米国では80%ほどの企業がテレワークを導入しており、20代の若年世代ではリモートワークによる時間に捕らわれない働き方を希望、88%の人事マネージャーによればテレワークが推進されていない企業が退職の要因となっているほか、出張者の75%はスマートフォンを主とした最低3台のデバイスを持ち込んでいるなどといった例を挙げた。

村上氏が例として挙げた米国におけるビジネスシーンの状況。テレワークの推進など、働く場所が会社に限られなくなってきている
ビジネスにおける現在のトレンドを、デバイス、ユーザー、ソフトウェアの視点から書き出したもの

 そこで必要とされるのが、「Elite x3」のようなモバイルコンピューティングデバイスであり、現在のビジネスシーンで必要とされるPC並みの性能、デバイスを集約できるスマートフォン、PCとモバイルでの同一OSという3点のトレンドを例に出し、Elite x3ではその全てを備えるものとした。

 Elite x3のデモンストレーションでは、電車、カフェ、社内での3つのシーンに分けてElite x3の活用方法を紹介。電車のシーンでは虹彩認証でログインを行ない、Microsoft OffceのPowerPointを起動、資料を実際に編集し、保存するまでの操作を実演して見せた。

電車に乗ってElite x3を操作しているイメージ
虹彩認証でログイン
PowerPointを起動
ファイルを編集して保存
虹彩認証の説明
Office利用の説明

 また、カフェでのシーンについては、オプションとして提供されるキーボードと12.5型液晶ディスプレイが一体化したクラムシェルノートのような外観の「ノートドック」を使い、Windows 10 MobileをPC版のWindows 10のように利用できるContinuumによって、ノートPCそのものを操作しているように営業レポートを作成。途中でElite x3で電話を受けつつ、Bluetoothヘッドセットで会話しながら業務を遂行する様子を披露した。

オプションの「ノートドック」でContinuumを実演
メールの作成と送信
Continuumを使いながらBluetoothヘッドセットで電話応対する様子
ノートドック
ノートドックとはワイヤレス接続可能だが、有線も利用できる

 最後の社内での利用シーンについては、これまたオプションで提供される「デスクドック」を使い、デスク上のディスプレイと接続し、デスクトップPCさながらにOSを操作。ここではContinuumではなく、HPが独自に開発している「HP Workspace」というWindows 10 Mobile用のアプリ仮想化機能を使い、現状のContinuumでは実現不可能なPowerPointとExcelを同時に表示してシームレスに操作するというマルチウィンドウでの利用を実演した。

 HP Workspaceでは、クラウド上に配置されたアプリを動作させており、Officeアプリだけでなく、Google Chromeなどといったほとんどのアプリが動作可能。さらに、ビジネスでは要望が多い32bitアプリの動作が可能という点もウリとなっており、マルチウィンドウ操作も相まって、ほぼPCとしての使い勝手を提供する。デモではほとんど遅延なく、アプリを操作する様子が見られ、Google Earthといった3Dを使ったアプリも問題なく利用できることが確認できた。

 なお、HP Workspaceは法人向けのアプリとなり、個人向けに販売される端末では利用できないようだ。

「デスクドック」を使い、外部ディスプレイに接続
HPのアプリ仮想化機能「HP Workspace」でマルチウィンドウ操作が可能。現状のContinuumはシングルウィンドウでしたりようできない
オフィスアプリよりも負荷が大きいGoogle Earthも問題なく利用できていた
「HP Workspace」の仕組み。サーバー上のアプリを仮想的に動作させることができ、32bitアプリも実行できる
デスクドック

 村上氏は、Windows 10 Mobile搭載スマートフォンの市場はまだまだこれから広がりを見せていくだろうとの見解を示し、パートナー各社と協力しつつ、Windows 10 Mobileを利用したエコシステムを構築していきたいとの今後の展望を述べた。

Elite x3の実機写真

 以下、会場に展示されていたElite x3の実機写真となる。

 Elite x3は今夏登場予定としているが、HPのスタッフに確認したところでは、8月後半から9月にかけて発売する予定とのことだった。価格に関しては10万円は越えないという曖昧な答えしか得られなかったものの、現状Snapdragon 617を搭載した5.5型のVAIO Phone Bizが約6万円台で売られていることを考えると、このハイスペック機では8万円前後になるのではなかろうか。Web直販だけでなく、量販店での販売も視野に入れているという。

Elite x3の正面
背面
天面。イヤフォンジャックを装備
底面。USB 3.0 Type-Cポート
左側面。音量ボタンと電源ボタン
左側面
Continuumで動作している様子
IP67準拠の防水防塵仕様により、水深1mまでなら30秒間は水没しても動作する
USB Type-Cやイヤフォンジャックのポートは塞がれていないが、水没後も問題なく動作
オプションの「ノートドック」。バッテリ駆動時間は約20時間で、重量は約1kg。Elite x3よりも遅れて発売されるとのこと
右側面
左側面
底面
ヒンジ
側面部の正面
「デスクドック」
左側面
右側面
背面
背面2
底面
HP Workspaceはアプリとして登録されている
WindowsアプリはHPのクラウド上で動作し、アプリを登録する形で利用できるようにする
Continuumとは若干スタートメニューの付近が異なる。スタートボタンの上に、ほかのアプリを呼び出す歯車マークのボタンがある
Google ChromeとExcelをマルチウィンドウで表示
WordとExcelを半々で表示
Chrome/Word/Excelの3ウィンドウを表示。まだ開発中とのことで、[Alt]+[Tab]のようなウィンドウ切り替え機能は実装されておらず、ウィンドウが別のウィンドウの下に隠れてしまっていると選択するのが面倒だった
サーバーとの接続時問題がないか、レイテンシなどを確認可能
サーバーとの距離も分かる