ニュース

「Evernoteは記憶だけでなく、考えることもアシストするようになる」

~同社CEO クリス・オニール氏による記者説明会が開催

左からEvernote CEO クリス・オニール氏、同日本・アジア太平洋地域代表 井上健氏

 Evernoteは22日、都内にて記者説明会を開催。今後の事業および経営戦略などについて説明が行なわれた。

 説明会には、同社CEO クリス・オニール氏が登壇。オニール氏は2015年7月にCEOに就任しており、日本のメディア向けイベントへの参加は今回が初となる。

オニール氏はカナダ出身、元Googleのカナダ法人トップ、現Evernote CEOという来歴

 オニール氏は、Evernote CEOとしては初来日だが、幼少期には年に数回の頻度で日本を訪れており、自宅の寝室裏の庭も日本庭園風で、娘と同じ名前を付けた錦鯉まで飼っているという「日本好き」をアピール。加えて、個人的な理由だけでなく、Evernoteとしても、日本のコミュニティは活発で、ビジネス的に成功していると述べ、2010年には同社初の海外オフィスを東京に構えるなど、初期から日本市場を重視していることを強調した。

 同氏は、Evernoteの始まりは、人間の脳を拡張できれば、色々な事を記憶しておけるという考えに基づいているが、脳は情報の処理、整理、イマジネーションの創出など、記憶以外にも多くの機能を持っていると述べた。

 そこで、人間の脳の拡張という視点で考えれば、Evernoteも単に記憶するだけでなく、ユーザーが「考える」というプロセスをアシストすることが必要であるとした。

 現在の同社の基本的な信念は「あらゆるアイデアに無限の可能性があることを信じる」というもので、ミッションとして掲げる「全てのアイデアの可能性を引き出す」ことを実現するべく、情報過多の現代社会で、人々が集中して世界を変える仕事に取り組める、整理された空間の提供を目指しているという。

 プロダクト戦略としては、アイデアやデータをEvernoteで捉えることに加え、アイデアを整理し反芻することで、具体的な計画や提案を導くことで、アイデアからアクション(行動)へと結びつけるとする。具体的には、AIや機械学習を活用し、ミーティングメモなどの非構造型データから構造型データを構築するといったアシストや、画像認識による分類分けの自動化などの実現に向けて投資を行なっているという。

 特に、従来は個人にフォーカスしていたが、アイデアの共有などを通じて、チームとしての目標達成をアシストできるように動いていくとした。

Evernoteは今年で8周年を迎える。現在200カ国以上にて31の言語で利用され、ユーザー数はもうすぐ2億人に達し、作成されたノート数は50億を超えたという
信念
ビジョン
Evernoteの掲げるミッション
Evernoteが果たせる役割
覚えるだけでなく考える
プロダクト戦略の概念図
ビジネス戦略

 次いで登壇した日本・アジア太平洋地域(APAC)代表の井上健氏は、日本事業について説明を行なった。

 日本では現在、米、中、ブラジルに次ぐ第4位となる900万ユーザーを獲得しており、売上は米国に次ぐ2位を記録しているという。NTTドコモとのキャリア連携や、Evernote Businessのリセラー制度など、パイオニア的な成功を収めているとした。

 今後は、今は14社だというリセラーの拡充、若年層のクラウド利用促進のため教育機関向け販売の強化を行なっていくとした。また、ユーザーの啓蒙活動に応えたいとして、アフィリエイト制度を第3四半期頃より開始するほか、国や地域に基づいた決済手段や、全世界一律ではなく適正価格でのサービス提供などを第3四半期より行なう予定であるとする。

 また、1月より東京オフィスが中国を除くAPACを統括しており、日本での成功実績や経験を活かし、移植するような形でアジアへの展開を行なっていくとした。

日本/APACの重要性
最近の日本事業
日本での成功
日本/APACでの事業計画