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Lenovo、厚さ5.2mmのハイエンドスマートフォン「Moto Z」
2016年6月10日 10:24
Lenovoは2016年6月9日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコのイベント会場Masonicにおいて、TechWorld 2016を開催、世界各国から集まったメディアやパートナー、そしてLenovoファンに向けて、これからの同社の方向性について語るとともに、新製品を披露した。このイベントは、昨年(2015年)に続き、2回目となる年次イベントで、1回目は中国・北京で開催されている。
新製品としてお披露目された「PHAB2」は、年初のCESで開発表明されたGoogleのProject Tangoテクノロジ搭載デバイスだ。Lenovoが最初のOEMプロジェクトとして、この夏に対応スマートフォンをリリースすることが明らかにされていた。モバイルデバイスに、人間の目が現実の世界を見るかのような知覚を与えるこのテクノロジを搭載するPHAB2 Proが、この8月以降に発売される。いよいよ製品化されるということから、Project Tangoは、シンプルに「Tango」と称することになった。
基調講演に登壇したLenovo CEOのYang Yuanqing氏は、今年(2016年)はシリコンバレーで同イベントを開催できることの喜びを語り、単なる新製品の発表会としてだけではなく、新しいLenovoのビジョンを語る会にしたいと挨拶した。
基調講演にはゲストとして、いわばシリコンバレーの「主」的存在であるIntelのCEO、Brian Krzanich氏も登場し、 IntelのfreeD videoテクノロジとあわせて新たなVR体験をもたらすCore i7プロセッサ搭載Ideacentre Yoga 900 desktopがこの秋にデビューすることが明らかになった。
基調講演ではこれからのLenovoを支える柱として、
1.デバイスイノベーション
2.デバイスとクラウド
3.データセンタービジネスに代表されるインフラストラクチャー
について、さまざまなデモンストレーションやパートナーの登壇によって詳細が語られた。こちらについては追って詳報をお伝えしたい。
さらに新しいスマートフォンのシリーズが紹介された。こちらは、代り映えのしないスマートフォンが数ある中で、異彩を放とうという目論見に基づく製品群だ。その最初の新製品が、「Moto Z」と「Moto Z Force」だ。
Moto Zは5.2mmという世界最薄のスマートフォン、Moto Z Forceでは、それにさらに堅牢性を持つ筐体を使っている。
合わせて「Moto Mods」と呼ばれるエコシステムが紹介された。このシステムに準拠したスマートフォンに対応アタッチメントを付けることで、ユーザーが好みや用途に応じて変身させることができるようになっている。
ステージでは大容量バッテリや、プロジェクタ、高音質スピーカーなどが披露されていた。この仕様はサードパーティに開放され、モバイルスペース拡張のための新たなプラットフォームになるという。各社にビジネスチャンスをもたらす新たなエコシステムだ。
なお、接続は16個のピンを介して行なわれるが、LenovoではUSBなどの既存インターフェイス規格ではなく、独自のものだとしている。少なくともPower Deliveryや音声、映像出力などをサポートできることが分かっていることから、USB Type-Cの信号に近いものではないかと思われる。
基調講演にはファッションデザイナーのVivienne Tamもゲストとして登場した。彼女は東洋と西洋の出逢いを象徴する著名デザイナーだが、彼女とのコラボレーションこそ、新生Lenovoが目指すアイデンティティに繋がっていく。9月には、彼女がデザインしたMoto Modsによる着せ替えジャケットがニューヨークのファッショウィークで彼女のショーのランウェイにも登場するという。つまるところは、ファッションとテクノロジの出逢いでもある。
Lenovoの目論見は、テクノロジと異文化とを融合させることによって、Lenovo自身を新たな次元に昇華させることにある。確固とした技術の上に立ち尽くすだけではなく、より多くの人々に身近なものとして感じてもらえるようなベクトルを与えることで、新生Lenovo をアピールする。極端に言えばテクノロジは黒子に徹するということでもある。
シリコンバレーという、これまでのLenovoがそれほど縁のなかったエリアを2回目となるTechWorldの舞台に選んだのは、ThinkPadだけのLenovoではないことを訴求したいという本音があるに違いない。