瀬文茶のヒートシンクグラフィック

CRYORIG「R1 Ultimate」

〜ベテラン技術者のノウハウが詰まったハイエンドヒートシンク

 2013年に設立された新ブランド「CRYORIG」から製品サンプルの提供があったので、同社のハイエンドCPUクーラー「R1 Ultimate」を紹介する。日本では1月21日から発売されており、筆者が購入した際の金額は13,800円だった。

CRYORIGブランドのCPUクーラー第1弾

 2013年に設立されたばかりのCRYORIGは、ハイエンドCPUクーラーメーカーとして知られるThermalright、Prolimatech、Phanteksなどで、製品開発に携わった技術者が集結して立ち上げたとされる新興メーカーだ。今回紹介するR1 Ultimateは、CRYORIGブランド初のCPUクーラーとなる製品である。

 R1 Ultimateのヒートシンク本体は、ニッケルめっきを施した純銅(C1100)製のベースプレートを備えるベースユニット、7本の6mm径ヒートパイプ、2ブロックの放熱ユニットから構成されており、2ブロックのヒートシンクの中心部にファンを搭載するミッドシップレイアウトを採用している。

 ヒートシンクの構造でユニークなのが放熱フィンだ。R1 Ultimateでは、放熱フィンとヒートパイプの接続に、放熱フィンに開けた穴にヒートパイプを通すのではなく、2対の放熱フィンでヒートパイプを挟み込む方式を採用している。同様の接続方法は、ProlimatechやPhanteksでも採用されていたものだが、R1 Ultimateでは他社のように2枚1組で挟むのではなく、フィンの枚数が異なる2つのフィンブロックでヒートパイプを挟んでいる。CRYORIGが「Jet Fin Acceleration System」と呼ぶこの構造により、冷却ファン搭載側と反対側でフィンのギャップ(間隔)を変え、ヒートシンク内の空気の流れを改善している。

 冷却ファンには、CRYORIGブランドの140mm径25.4mm厚ファン「XF140」を2基標準搭載。PWM制御により700〜1,300rpm(±10%)の範囲で回転数を調整でき、最大で76CFMの風量を実現する。ヒートシンクへの固定には、金属製のクリップを樹脂製のファンブラケットに引っ掛ける形で取り付ける。市販のファンは、140mm径のものであれば取り付けられないことも無いが、基本的にCRYORIG製ファンの利用を前提に設計されている。また、付属品として、3基目のファンを固定するための金属クリップが同梱されており、付属品と同じ「XF140」、または140mm径13mm厚ファン「XT140」を別途購入すれば、3連ファンでの運用も可能だ。

CRYORIG R1 Ultimate 製品パッケージ
CRYORIG R1 Ultimate 本体
リテンションキット、付属品
ユーザー登録用のカード。CRYORIGのサイトでユーザー登録をすれば、製品保証が3年から6年に延長される
枚数の異なるフィンブロックを組み合わせる「Jet Fin Acceleration System」。フィン間のギャップ(間隔)の違い(銀色フィン2.4mm、黒色フィン1.8mm)が、エアフローを改善するという
付属ファン「XF140」
ファンの固定は、ヒートシンクに取り付けた樹脂製ブラケットに、金属製クリップを引っ掛ける形で行なう
メモリとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)
拡張スロットとのクリアランス(ASUS MAXIMUS V GENE利用時)

 140mm径ファンを搭載する大型のミッドシップ型サイドフローCPUクーラーであるR1 Ultimateは、吸気側のファンがメモリスロットの上空に被る格好となる。ファンの取り付け位置を多少上にずらすことで、ヒートシンク付きメモリとの干渉を回避できるが、全高が40mm級のメモリとの干渉回避は困難だ。拡張スロットとのクリアランスについては、今回取り付けたMAXIMUS V GENEとの組み合わせではギリギリながら、R1 Ultimateが最上段の拡張スロットに被ることは無かった。

 リテンションソケットによって多少装着方法が異なるが、いずれもブリッジ式で、作業手順を守ってネジを締めていけば、しっかりとヒートシンクをマウントできる。無理に力を加えるような箇所もなく、取り付けしやすい、理想的なリテンションキットだ。ヒートシンクだけでなく、リテンションキットまでしっかり作り込んであるのは素晴らしい。

冷却性能テスト

 それでは、冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、マザーボード側のPWM制御設定を「20%」、「50%」、「100%(フル回転)」の3段階に設定し、それぞれ負荷テストを実行した際の温度を測定した。

【グラフ】テスト結果

 冷却性能テストの結果を見てみると、3.4GHz動作時のCPU温度は50〜53℃となっており、CPU付属クーラーより32〜35℃低い結果となった。オーバークロック動作時のCPU温度も良好で、4.4GHz動作時は65〜70℃、4.6GHz動作時も74〜79℃を記録した。筆者が過去にテストした空冷CPUクーラーの中でも最高峰のパフォーマンスだ。R1 Ultimateが持つ冷却性能は極めて優秀であると言える。

 静粛性については、PWM制御を20%まで絞った際はなかなか静かに動作している印象だったが、大口径であるため、50%制御時の1,180rpmになるとそれなりの風切り音が発生するようになり、フル回転時の1,400rpmだと風切り音が一気に増して煩くなる。冷却性能テストの結果では、20%制御でも十二分に冷却できているので、静粛性を重視するなら、PWM制御を絞って利用したい。

CRYORIGの本気が感じられる珠玉の逸品

 R1 Ultimateは実によくできた製品だ。しっかり作り込まれ、美しく仕上がったヒートシンクの冷却性能もさることながら、再現性と扱いやすさを高いレベルで両立したリテンションキットの完成度も素晴らしい。それぞれ手を抜くことなく設計されたパーツが、しっかりと噛みあっている。ハイエンドクーラーメーカーで経験を積んだ技術者が集結したという、ブランドの謳い文句に偽りは無いようだ。

 空冷CPUクーラーという製品カテゴリにおいて、13,800円という価格は高い。しかし、R1 Ultimateのクオリティは、その価格に説得力を持たせるに足る魅力がある。万人向けの製品で無いことに違いはないが、ヒートシンクにこだわりのあるユーザーには、ぜひ手にとって貰いたい製品だ。

【表】CRYORIG「R1 Ultimate」製品スペック
メーカー CRYORIG
フロータイプ サイドフロー
ヒートパイプ 6mm径7本
放熱フィン 190枚(42枚+53枚)×2ブロック
サイズ(ファン搭載時) 142.4×130×168.3mm (幅×奥行き×高さ)
重量 1,282g(ヒートシンクのみ:936g)
対応ファン 140mm径ファン XF140
電源:4ピン
回転数:700〜1,300rpm±10%
風量:76CFM
ノイズ:19〜23dBA
サイズ:140×140×25.4mm
対応ソケット Intel:LGA 1150/1155/1156/2011/1366/775
AMD:Socket AM2/AM3/FM1

(瀬文茶)