西川和久の不定期コラム

Polaroid「PolaSma」

~大人も楽しめる子供向けデュアルSIM対応5型スマートフォン

PolaSma

 クロスリンクマーケティング株式会社は4月2日、Polaroidブランドの子供向けスマートフォン「PolaSma」を発表、25日から全国のトイザラスで発売する。出荷に先駆けて、試作機が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けする。

 なお後述するが、重要な部分が出荷版とは異なるため、今回はWi-Fiのみでの試用となる。あらかじめご了承いただきたい。

デュアルSIM対応のSIMロックフリースマートフォン

 最近、Apple「iPhone 5s/5c」、Google「Nexus 5」やASUS「Fonepad」など、少しずつではあるが、国内でもSIMロックフリースマートフォンが出回り始めてきた。加えて、MVNOもいろいろなタイプがあり、通信コストも用途に応じて抑えられるようになった。

 今回ご紹介するPolaroid「PolaSma」も、まさにここを狙ったスマートフォンであり、デュアルSIM対応、子供向けでペアレンタルコントロールを搭載、そして27,999円(税別)と、他には無い興味深い特徴を持っている。主な仕様は以下の通り。

【表】Polaroid「PolaSma」の仕様
SoCMTK6582 Quad Core 1.3GHz
メモリ1GB
ストレージ4GB
OSAndroid 4.2
ディスプレイIPS式5型液晶ディスプレイ(5点感知)、960×540ドット
ネットワークIEEE 802.11b/g/n、Bluetooth、Dual SIMスロット(標準サイズ)
その他Micro USB、microSDカードスロット、
200万画素前面カメラ/800万画素背面カメラ、
音声出力、スピーカー
モバイル通信3G/2,100MHzと800MHz帯対応(LTE非対応)
センサーGPS、加速度センサー
バッテリ1,650mAh(連続ビデオ再生約3時間、
連続待受時間/Wi-Fi接続時約40時間)
サイズ/重量70×142×7.9mm(幅×奥行き×高さ)/152g
本体色チェリー、ブルーベリー、レモン
価格27,999円(税別)

 SoCはMediaTek製の「MTK6582」。クアッドコアでクロック1.3GHz。安価なモデルにも関わらず、クアッドコアとは驚きだ。ただしメモリとストレージは少な目で1GBと4GB。Android 4.2であればメモリ1GBはそれほど問題にならないが、ストレージが4GBはいささか辛い。microSDカードスロットがあるので、そちらの運用でカバーしたいところだ。

 ディスプレイは、5型IPS式で解像度は960×540ドット。IPS式なので視野角は広い。最近のスマートフォンはHD解像度からフルHDが一般的であるものの、コストダウンの影響か少し低くなっている。

 ネットワークは、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth、デュアルSIMスロット。SIMのサイズは標準だ。また冒頭で重要な部分が出荷版と異なると書いたのは、このSIMスロットの仕様となる。

 写真からも分かるように、手元に届いた試作機は、SIM1スロットがGSM/WCDMA、SIM2スロットがGSMとなっている。国内ではGSMは使われておらず、実質SIM1でのWCDMAの1スロットになってしまうのだ。これではデュアルSIMスロットの意味がないので、メーカーに確認したところ、最終出荷版ではSIM1/SIM2ともにWCDMAになるとのことだった。国内においてNTTドコモ(MVNOを含む)かソフトバンクのSIMで運用可能になる。

 ただし同時に使うことはできず、設定によってどちらか一方の回線を選択しなければならない。またモバイル通信は3Gの2,100MHzと800MHz帯をサポート。LTEは非対応だ。

 その他のインターフェイスは、Micro USB、200万画素前面カメラ/800万画素背面カメラ、音声出力、スピーカー。センサーはGPS、加速度センサーを搭載する。

 バッテリは1,650mAhで着脱可能。連続ビデオ再生約3時間、連続待受時間/Wi-Fi接続時約40時間の駆動時間となる。

 サイズは70×142×7.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量152g。カラーバリエーションとして、チェリー、ブルーベリー、レモンの3種類が用意されている。価格は27,999円(税別)。LTE非対応なのは残念だが、内容を考えるとコストパフォーマンスは高いと言えよう。

かなり明るく綺麗な液晶パネルだ。メニュー/ホーム/戻るボタンは、ハードウエアタイプ
背面。右上にカメラ、右下にスピーカー。明るいレモン色でチープな感じは皆無
下側面にはMicro USB、右側面にボリューム±ボタン
上側面にオーディオ端子、左側面に電源ボタン
背面カバーを開いたところ右下側側面にスリットがあるので、ここを爪などを使って周囲を開けていくとカバーが外れる
試用したのはプロトタイプのため、SIM1がGSM/WCDMA、SIM2がGSMになっているが、出荷版ではどちらもWCDMAになる。中央にmicroSDカードスロットを備える
バッテリは3.7V/1,650mAhの薄型バッテリ
iPhone 5sとの比較。パネルが5型なので、さすがにiPhone 5sと比較すると、一回り以上大きい
重量は実測で131g。スペック上、152gなので随分軽いが、出荷版では変わる可能性がある

 実機が届いてまず驚いたのはその外観だ。3万円を切っているのでチープな感じかと思っていたが、(高級感とは言わないまでも)まったく問題無いレベル。レモン色もキュートでなかなか良い。

 次に驚いたのはパネルのクオリティ。IPS式なので視野角が広いのはもちろんのこと、明るさ・コントラスト、そして発色も非常に良い。解像度が低いのは残念ではあるものの、これだけ綺麗なディスプレイなら誰も文句は無いだろう。タッチの反応も上出来だ。

 そしてアプリなどの反応も良く、後半のベンチマークテストからも分かるように、Nexus 4より速く、Nexus 7(2013)より若干遅いと、十分な性能を持っている。

 本体上側面にオーディオ端子、右側面に音量±ボタン、下側面にMicro USB、左側面に電源ボタン、背面にカメラとスピーカーとスッキリしたレイアウトだ。また、メニュー/ホーム/戻るボタンは、ハードウェアタイプとなっている。

 背面パネルは、右下側面にスリットがあり、そこを爪などを使い周囲を少しずつ開けて行けば外れる仕掛けになっている。

 ほとんどの部分がバッテリに覆われ、そのバッテリの上に、SIM1、microSD、SIM2カードスロットがある。

写真は2,448×3,264ドット。いずれもExif情報が無く、撮影データは不明

 Polaroidブランドと言うこともあり、背面カメラの性能も気になるところ。サンプルを3枚掲載した。価格的に今どきのハイエンドの写りとまではいかないものの、ほどほどの写りだろうか。ただ暗い場所ではノイズがかなり多く、またAFが遅めなのが気になった。

カメラアプリ/設定1
カメラアプリ/設定2
カメラアプリ/設定3(ビデオ)

 カメラアプリ自体は独自仕様で、露出/Color Effect/撮影モード/ホワイトバランス/Image properties/Anti-flicker、Zero shutter delay/Face detection/Self timer/Capture number/表示サイズ/Preview size、EIS/Microphone/Audio mode/低速度撮影の間隔/効果/動画の画質……など、細かい調整が可能になっている。

 なお、「他の部分も含め出荷版では英語表記は無くなり、全て日本語表記になる」とのこと。この関係もあり、画面キャプチャやアプリの構成などは、出荷版で大幅に異なることが予想される。この点についてもご了承いただきたい。

Nexus 7(2013)に迫るパフォーマンス

 初期起動時のホーム画面で実質何か配置しているのは2画面。1/5は無し、2/5は電源管理ウィジェット、ホーム画面中央の3/5にカメラやギャラリーのショートカット、時計などのウィジェットを配置、4/5と5/5には何も無い。子供向けの「KIDO'Z Pro」がメインなのだろう。かなりシンプルな構成だ。

 壁紙は、カラーバリエーションを象徴してか、チェリー/ブルーベリー/レモンが3段に別れたものが使われている。

ホーム画面1/3
ホーム画面2/3
ホーム画面3/3

 設定は、一番上に無効になっているSIM managementの項目がある以外は、一般的なAndroidと同じ構成になっている。テザリングの項目もある。Androidの正確なバージョンは4.2.2だった。

 ストレージで空き容量を確認したところ、計3.02GBで空き1.43GB。写真を撮るにしても、音楽や動画を入れるにしてもかなり厳しい容量となる。これらのデータはmicroSDカードへ逃がして運用するのがいいだろう。

設定
設定/無線とネットワーク
設定/Audio profiles
設定/ストレージ
設定/端末情報

 工場出荷時のアプリは、「カメラ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「サムライカメラ」、「システムのアップグレード」、「ダウンロード」、「トーク」、「ニュースと天気」、「ブラウザ」、「ホラーカメラ」、「メール」、「メッセージ」、「音楽」、「音声レコーダー」、「懐中電灯+」、「楽天でんわ」、「時計」、「設定」、「電卓」、「電話」、「漫画風製作所」、「連絡帳」、「Android Store」、「Documents To Go」、「Facebook」、「Fancy Widgets」、「File Manager」、「Flash Player Settings」、「FlickWnn」、「KIDO'Z Pro」、「SIM Toolkit」、「SMARTTalk」、「ToDo」、「Traditional Chinese」、「Video Player」、「YouTube」。

 画面右上にPlayストアがあるので、容量が許す限り好みや用途に応じてアプリをダウンロード可能だ。

工場出荷時のアプリ1/3
工場出荷時のアプリ2/3

 ウィジェットは、「3D live weather」、「アナログ時計」、「おすすめのコンテンツ」、「カレンダー」、「デジタルクロック」、「ニュースと天気」、「フォトギャラリー」、「ブックマーク1/2」、「ホーム画面のヒント」、「ミュージックプレイ」、「メール」、「メッセージ」、「音楽」、「近況アップデート」、「再生-マイライブラリ」、「設定をショートカット」、「直接メッセージを送る」、「直接発信」、「電源管理」、「連絡先1/2」、「Facebookボタン」、「Facncy Widgets1/2/3/4/5」、「LED懐中電灯+1/2」、「Playストア」、「Video Favorites」、「Weather」、「World clock」、「YouTube」。

 なお、今回掲載する画面キャプチャ4/6に「Antutu Benchmark」のウィジェットがあるが、これはベンチマーク用にインストールしたもので、システムには含まれていない。

ウィジェット1/6
ウィジェット2/6
ウィジェット3/6
ウィジェット4/6
ウィジェット5/6
ウィジェット6/6

 Polaroid「PolaSma」は、冒頭に書いたように、もともと子供向けでペアレンタルコントロールアプリ、「KIDO'Z Pro」アプリが入っている。一旦起動するとパスワードを入力しない限り、アプリから抜けられない仕様で、このアプリの上で操作している限り、安全だというわけだ。

 Android的には、4.2でマルチユーザー対応、4.3で制限付きプロフィールが可能となり、保護者(管理者)によってペアレンタルコントロールが可能となっている。ただUIがAndroidそのもので子供には扱いにくく(もしくは楽しくなく)、Webブラウザのアクセス先までは制御できないので、今回のような仕様となったのだろう。

KIDO'Z Pro/アカウント選択
KIDO'Z Pro/ホーム
KIDO'Z Pro/他のアプリケーション(プレミアム)
KIDO'Z Pro/他のアプリケーション(無料)
KIDO'Z Pro/KIDO'Zブラウザ
KIDO'Z Pro/Yahoo!きっず

 内容を簡単に説明すると、あらかじめ作成した子供のアカウントでログインするとホーム画面が現れる。画面キャプチャからも分かるように、他のアプリケーション、「KIDO'Zブラウザ」、「KIDO'Zテレビ」、「KIDO'Zゲーム」、「壁紙」、「カメラ」、「ギャラリー」、「漫画風製作所」と使えるアプリ(機能)はかなり絞られている。

 他のアプリケーションを選ぶと、「KIDO'Zショップ」を表示、プレミアム/無料/購入済みの中からアプリを選ぶことができる。

 KIDO'Zブラウザは、ブックマークのみのブラウザと言ったところで、予め登録されている14ページにも及ぶリンク集から選択する。ただし、「Yahoo!きっず」もあるので、ある程度その他のサイトへもアクセス可能だ。縦表示には対応していない。

 この他、管理者(保護者)は、アプリ/ビデオチャンネル/ゲームは個別に使用可/不可の設定が出来たり、端末使用時間制限、Webサイトのホワイトリスト作成、発信制限、GPSによる居場所検索などが、操作可能となっている。

 さて、冒頭で「大人も楽しめる~」と書いたのは、デュアルSIM、液晶パネルの綺麗さ、キュートな外観に加え、パフォーマンスも結構いいからだ。

 AnTuTuベンチマークを実行したところ結果は総合 17400。Multitask 3308、Runtime 1057、RAM Operation 1204、RAM Speed 1010、CPU Int 1985、CPU Float 1573、2D 981、3D 4761、Storage I/O 891、 Database I/O 630。

 チャート上ではGoogleのNexus 4より速い。参考までにNexus 7(2013)の総合は19943。今どきのスマートフォンにふさわしいパフォーマンスが出ている。正直、子供用としてはちょっと惜しい性能だ。デュアルSIMは子供用と大人用で分け、端末使用時間制限を超えたら取り上げ、大人が使うのもありだろう(笑)。

AnTuTu 安兎兎ベンチマーク1/3は総合で17400。Multitask 3308、Runtime 1057、RAM Operation 1204、RAM Speed 1010
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク2/3。CPU Int 1985、CPU Float 1573、2D 981、3D 4761、Storage I/O 891、 Database I/O 630
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク3/3。チャートではGoogle Nexus 4より速い。参考までにNexus 7(2013)は19943と若干上回っている

 バッテリ駆動時間は、省電力設定/最適化モード、輝度50%音量50%に設定し、ローカルのHD動画を繰り返し再生したところ、平均的に20%消費で約1時間といったところ。

 ただしSIM無しなので、実際SIMを入れ待受け状態での再生になると、その分消費電力が増え、もう少し短くなる可能性はある。いずれにしても心臓部とも言えるSIMスロットの仕様が出荷版とは異なるため、今回のテストはここまでとした。

 以上のようにPolaroid「PolaSma」は、デュアルSIMに対応した5型3G専用スマートフォンだ。解像度は960×540ドットと若干低いものの、IPS式で視野角が広い上に、発色が綺麗なパネルを搭載し。写真も動画も十分楽しめ、パフォーマンスも申し分ない。

 もともと子供向けの製品だが、安価なのでSIMロックフリーのスマートフォン入門機としても使える1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/