西川和久の不定期コラム
デル「Inspiron 14 5000」
~Broadwell搭載の14型2スピンドルノート
(2015/6/22 12:00)
デルは5月12日、「Inspiron 14 5000」、「Inspiron 15 5000」、「Inspiron 17 5000」の計3モデルを発表した。型番から分かるように、順に14/15/17型の液晶パネルを搭載している。今回はこの中から14型が編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
Broadwellを搭載したオーソドックスな2スピンドル
「Inspiron 14 5000」は、搭載しているプロセッサなどの違いにより、エントリー/ベーシック/プレミアムの3モデル用意されている。
エントリーモデルは、Celeron 3205U/4GB/500GB/タッチ非対応、ベーシックモデルは、Core i3-4005U/4GB/500GB/タッチ非対応。そして今回ご紹介するプレミアムモデルは、Core i5-5200U/8GB/1TB/タッチ対応と、ほかの2モデルより大幅にスペックアップする。価格は順に、44,980円/54,980円/84,980円(税別/送料込み)。プレミアムモデルはそれなりの価格だが、下/中位モデルはかなり安価なのが特徴的だ。主な仕様は以下の通り。
【表】デル「Inspiron 14 5000」の仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-5200U(2コア/4スレッド、クロック2.2GHz/2.7GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | 8GB DDR3L-1600(4GB×2/デュアルチャネル)/2スロット(空き0)/最大16GB |
ストレージ | HDD 1TB/5,400rpm |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
OS | Windows 8.1 Update(64bit) |
ディスプレイ | 14型1,366×768ドット(光沢)液晶、10点タッチ対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500、HDMI |
ネットワーク | Ethernet、Intel Centrino ワイヤレス-AC 3160+Bluetooth 4.0 |
インターフェイス | USB 3.0×1、USB 2.0×2、メディアカードリーダ、720pWebカメラ、音声入出力 |
バッテリ | 4セル40WHr角柱型バッテリ/4セル47WHr角柱型バッテリ(オプション) |
サイズ/重量 | 345×243×23.6mm(幅×奥行き×高さ)/約2.22kg |
直販価格 | 84,980円(税別/送料込み) |
プロセッサはBroadwell世代のCore i5-5200U。2コア4スレッドでクロックは2.2GHzから最大2.7GHz。キャッシュは3MB、TDPは15Wとなる。メモリは2スロットあり、4GB/DDR3L-1600×2の計8GB(4GBモデルは4GB×1)。標準で8GBだと大抵の処理が難なくできる。OSは64bit版のWindows 8.1 Updateを搭載。
ストレージは、1GB/5,400rpmの1TBと、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載した2スピンドル構成だ。プロセッサがそれなりにパワーがあるので、SSDが欲しいところだが、これは本製品がターゲットとしているを考えてのことだろう。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 5500。外部出力としてHDMIを備えている。液晶ディスプレイは、このモデルだけ光沢ありの“10点タッチ対応”14型で解像度は1,366×768ドット。最近は15.6型か11型前後が多く、14型と言うの久々な感じがする。個人的にはノートPCとしては好きなサイズだ。ただ解像度がフルHDでないのは惜しいところだ。
ネットワークは、Ethernet、Intel Centrino ワイヤレス-AC 3160+Bluetooth 4.0。有線LANがGigabit Ethernet非対応なのは残念。インターフェイスは、USB 3.0×1、USB 2.0×2、マルチカードリーダ、720pWebカメラ、音声入出力と、一式揃っている。
バッテリは標準で4セル40WHr角柱型バッテリ。オプションでの4セル47WHr角柱型バッテリが用意されている。+7WHrの差でどれだけバッテリ駆動時間が延びるのか気になるところだが、今回は標準バッテリのみで評価している。
サイズは345×243×23.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量約2.22kg。14型で2スピンドルなので結構重い部類に入るだろう。価格は先述の通り直販価格で84,980円。ストレージをHDD、パネルをHD解像度にしたことによって、それ以外のスペックの割には安価に抑えられていることが分かる。
天板と側面はシルバー、裏はとキーボードはブラック、パームレストなどキーボード周辺は暗めのシルバーで手触りも少しマットな感じ。また天板は、細かいメッシュが施されザラザラしており、手で持つ際の滑り止めになる。裏のブラックもプラスティック製だが安っぽいさはないなど、全体的な雰囲気は非常に良い。
前面は液晶パネル中央上に720p Webカメラ、正面左側面に電源LED。左側面に電源入力、Ethernet、HDMI、USB 3.0、メディアカードリーダ。右側面にロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、音声入出力を配置。付属のACアダプタは約90×40×25mm(同)/168gとコンパクトだ。
10点タッチ対応の光沢14型1,366×768ドット液晶ディスプレイは、IPS式ではないため、視野角はそれなり。また14型の割に解像度が低いのでドットが目立つ。加えて明るさや発色も今一歩。この点はコストの問題だろうが、最近はスマートフォンやタブレットのパネルクオリティが向上しているため、それを見慣れてしまうと、どうしても辛目の評価になってしまう。筐体の質感が良いだけに惜しい部分だ。一方で10点タッチの反応は問題無い。
テンキー無しのアイソレーションタイプ・キーボードは、少し強く押すと若干たわむものの、通常操作では気にならないレベルだろう。主要キーのキーピットは約19mm確保している。ただ、[Enter]キーがかなり細い。フットプリントは14型と面積もあり、一番使うキーだけに、もう少し工夫が欲しいところだ。ファンクションキーは[Fn]キーなしでダイレクトに動作する。タッチパッドは1枚板タイプ。パームレストとなる手前の部分の面積が広めで操作はしやすい。
ノイズや振動は許容範囲内。発熱は後半のベンチマークテストを見ても分かるように、プロセッサの温度が60度前後のため、筐体まではほとんど上がって来ないようだ。サウンドは、このクラスとしてはパワーがあり、低音もそこそこ出ている。
このように、液晶パネルとキーボードの一部が若干気になるものの、エントリーモデルの価格が44,980円。共通部分が多いためだと思われるが、この点をどう捉えるかで評価が変わりそうだ。
Core i5だとSSDが欲しいところ
OSは64bit版のWindows 8.1 Update。初期起動時のスタート画面は2画面。「My デル」以降がプリインストールとなる。デスクトップは壁紙の変更と、Dropboxへのショートカットが1つと、シンプルだ。ただストレージがSSDでないため、起動や終了、アプリ起動時には少々もたつく。メモリを8GB搭載しているだけに惜しい部分だ。
HDDは1TB/5,400rpm/8MBの「WDC WD10JPVX」。C:ドライブのみの1パーションで約923GBが割り当てられ空きは889GB。DVDスーパーマルチドライブは「HL-DT-ST DVD+-RW GU90N」を搭載。Wi-FiとBluetoothは「Intel Centrino ワイヤレス-AC 3160」。EthernetはReltek製だ。
プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「マカフィーセントラル」と、ほぼ何も入ってない状態だ。ストアアプリに関しては、用途や趣味にもよるので、個人的にはいろいろ入ってない方がは好ましいと思っている。
デスクトップアプリは、「CyberLink Media Suite」、「True Color」に加え、「Dell Backup and Recovery」、「Dell Customer Connect」、「Dell Digital Delivery」、「Dell Power Manager Lite」、「Dell Update」、「My Dell」、「PC Checkup」、「私のデバイスを登録」といったデル系ツール、「Intel Update Manager」、「Intel WiDi/WiDi Remote」といったIntel系ツール、「DropBox 20GB」、「マカフィーリブセーフインターネット」と、必要最小限構成と言った感じだろう。
Dellのツール系は、アップデートやバッテリ、バックアップ/リカバリなど基本的に管理系が多い。True Colorは画面の色温度などを好みに調整できる機能だ。標準では少し青っぽい(色温度が高い)こともあり、細かく調整できるのはありがたい。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2の結果を見たい。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMark(今回は2コア4スレッドと条件的には問題ない)も掲載した。
winsat formalの結果は、総合 5.6。プロセッサ 7.3、メモリ 7.5、グラフィックス 5.7、ゲーム用グラフィックス 5.6、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 8 バージョン2は2287。CrystalMarkは、ALU 41188、FPU 40471、MEM 42579、HDD 12847、GDI 15398、D2D 6139、OGL 11351。今回もPCMark 8 バージョン2/詳細を掲載したので、プロセッサのクロックと温度を参考にして欲しいが、特にクロックがダイナミックに変動しているのが見て取れる。
以前、マウス「LuvBook J/LB-J550X-SSD」を扱ったが、同じプロセッサでストレージがSSDなので(ただし画面は2,560×1,440ドット「IGZO」)、その差などが分かりやすい。スペックが異なる部分以外は、ほぼ同じ値になっている。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で39,082秒/約10.9時間。標準バッテリで10時間を超えた。このクラスでこれだけ持てば十分だと思われる。
以上のようにデル「Inspiron 14 5000」は、Broadwell世代のCore i5-5200Uと、タッチ対応の14型を搭載した2スピンドルノートPCだ。標準でメモリが8GBあるので、一般的な処理なら難なくこなせる。バッテリ駆動時間もBBenchで10時間超えと十分。予算や用途に応じて、安価な中/下位モデルも選択できる。
有線LANがEthernet、液晶パネルの品質など気になる部分はあるものの、このクラスのCPUとメモリを搭載した製品としては8万円台の価格が魅力的だ。オールマイティに使える14型2スピンドルノートPCを探している人の候補となりえる1台と言えよう。