■西川和久の不定期コラム■
オンキヨー「LPF10M01」
ここのところオンキヨーは、オールインワンPCや、同社のスピーカーを内蔵した他社PCなど、結構目立った存在になっている。そして今回は、ちょっと違ったジャンルの製品、10.1型ワイド液晶を搭載するデジタルフォトフレームが登場した。しかもHDMI入力付きだ。量産試作機が届いたのでレポートをお届けする。
最近、量販店のデジカメ売り場へ行くと、デジタルフォトフレームが所狭しと並んでいる。これから益々需要の見込める市場だ。そして今回の「LPF10M01」は、デジタルフォトフレームの中核となる液晶パネルに、業界最大級、光沢タイプ10.1型の1,024×600ドット(WSVGA)を搭載しているのが特徴となる。ちょうどネットブックでお馴染みのパネルサイズ、そして解像度だ。主な仕様は以下の通り。
液晶パネル | 10.1型ワイドTFTカラー液晶(LEDバックライト/寿命約20,000時間) |
アスペクト比 | 17:10 |
最大解像度 | 1,024×600ドット/最大入力解像度1,920×1,080ドット |
視野角 | 左右70/70度、上下50/60度 |
輝度 | 250cd/平方m |
コントラスト | 500:1 |
内蔵メモリ | 512MB |
メモリカードスロット | メモリースティック(PRO)、SDカード、SDHC、MMC共有スロット |
対応フォーマット | 画像:JPEG、動画:AVI、MP4(Motion JPEG、MPEG-4 ASP)、音楽:MP3(256kbps VBR)、WMA(192kbps) |
機能 | 音楽再生、動画再生、自動電源ON/OFF、自動縦横判別、スライドショー、アラーム、時計/写真 カレンダー表示、HDMI入力 |
スピーカー | ステレオスピーカー 1.5W+1.5W(THD+N=10%) |
インターフェース | HDMI TypeA(HDCP対応)×1、USB端子(Aタイプ)×1、USB端子(ミニBタイプ)×1、ヘッドフォン端子 |
電源 | ACアダプタ(出力 DC5v/2A)、消費電力最大10W以下/待機時0.5W以下 |
サイズ/重量 | 300×29×205mm(幅×奥行き×高さ)/950g |
カラーバリエーション | 白(LPF10M01-W)/黒(LPF10M01-BL) |
価格 | 19,800円(ダイレクトショップ価格) |
液晶パネルは、コントラスト500:1、視野角左右140度、上下110度、輝度250cd/平方mと、PC用の単独販売しているディスプレイと比較すると少し性能は劣るものの、フォトフレームとしては良い方だろう。
コンテンツは、内蔵の512MB、USBメモリ、メモリカードリーダから読み込むことができる。内蔵メモリへのアクセスは、ミニBタイプのUSBポートから付属のケーブルを使いPCへ接続、PCからはUSB接続の491MBメディアに見えるので直接ファイルを操作するか、後述するファイルメニューを使いメディアからコピーする。
対応するフォーマットは、画像:JPEG、動画:AVI、MP4(Motion JPEG、MPEG-4 ASP)、音楽:MP3(256kbps VBR)、WMA(192kbps)となっている。動画に関しては少し種類が少ない感じなので基本的に、写真+音楽メインとした方が無難だ。
なお各メディアの対応最大容量は、メモリースティック/128MB、メモリースティックPRO/32GB、SDメモリーカード/2GB、SDHCメモリーカード/32GB、MMC/4GB、USBメモリ/32GB(FAT32)となっている。
もう1つの特徴は、HDMI(HDCP対応)入力に対応していること。これを使えば、フォトフレームとしてだけでなく、PCやPS3、AV機器などのディスプレイとして使用できる。また物理的な解像度の1,024×600ドットだけでなく、最大1,920×1,080ドットのフルHDまで表示(縮小表示になる)ができるのも見逃せないポイントだ。
内蔵ステレオスピーカーは、音楽・動画再生時、もしくはHDMI接続時に利用できる。出力は1.5W+1.5W。あまり大きくないものの、用途を考えれば十分だろう。余談になるが、カタログスペックに「THD+N (全高調波歪み + ノイズ)=10%」と書いてあるのが、いかにも音響機器メーカーらしい。
電気代は、同社のHPによると「消費電力×2010年7月の電力単価×1カ月の使用時間(1日10時間×30日)での目安で1カ月約66円」となっている。なお、バッテリ駆動には対応していない。カラーバリエーションは白(LPF10M01-W)と黒(LPF10M01-BL)の2タイプだ。
箱から取り出した第一印象は「割と重い」だった。重量は約950g。ノートPCよりは軽いもののiPadよりは重い。ただ普段持ち歩くものでもなく、多少重たい方が安定するため、特に悪いと言う意味ではない。
フロントは縁も含めて光沢タイプだ。従って、指紋跡が結構気になる。今回届いたのはブラックだったので、ホワイトだと、縁に関してはあまり目立たないだろう。発色は明るさコントラストも良好。原色系の色も鮮やか。視野角も一般的に見る距離で上下左右角度を変えて見たもののほとんど変化は無かった。フォトフレームとしては十分な性能を持っている。
スタンドは回転し、横置き、縦置き、どちらにも対応可能だ。また角度も最大と収納の途中に1カ所引っかかる部分があり、3段階に調整可能。さらにスタンド自体が数cm伸びる。これらを組み合わせば、好みの角度にすることが出来る。回転は自動検出だ。表示中の写真が合わせて回転する。
音はリアパネルから後ろ斜め下に向かって出るため、ちょっと違和感があるのは仕方ないものの、テーブルなどで反射し、意外と広がった感じになる。音質は芯があり、抜けも良く、中域を中心にバランスも良い。これはちょっと意外だった。いずれにしても間接音となるため、設置場所で結構音質は変わりそうだ。
熱に関してはリアパネルがほんのり暖かくなる程度。ゼロスピンドル、そしてファンレスなので、振動やノイズは皆無だ。
●いろいろ楽しめる機能メインメニューは、外部メディア(あった場合)、内蔵メモリ、カレンダー、設定となっている。前者2つを選ぶと、メディアメニューが表示され、メモリ内のコンテンツを、写真/ミュージック/ビデオ/ファイルと分類してアクセスできる。ファイルは、コンテンツをコピー(メディア間も含む)/削除することが可能だ。従って、PCを使わず外部メディアから内蔵メモリへ直接取り込むこともできる。動きはスムーズで特にイライラする部分は無い。
設定は、「スライドショー」、「アラーム」、「言語設定」、「時計設定」、「画面保護」、「本体情報」、「初期化」。スライドショーに関しては、切り替え間隔 3秒/10秒/30秒/1分/1時間、エフェクト なし/ランダム/ブラインド/模様/スパイラル/水平垂直バー、画面表示 フルスクリーン/標準の設定が可能だ。このクラスのフォトフレームなら十分なエフェクトと言えよう。
スライドショーの時、音楽の再生(プレイリストからも含む)、時間表示、拡大、回転、明るさ/コントラスト/色合いなどの設定も出来る。ただし、写真の拡大は2~16倍までで、ハードウェアに負荷がかかるのか反応はあまり良くない。また、音楽の再生は写真と同一メディアでなければならず、例えば、写真はSDカード、音楽は内蔵メモリといった構成には対応していない。
メインメニュー | メディア メニュー | 設定 |
ミュージック | ビデオ | ファイル |
【動画】一連の動き |
●HDMI入力でPCのディスプレイにもなる
正直、ここまでの機能で2万円を少し切る価格だと「少し高いな」と思うが、このHDMI入力があることで、応用範囲はかなり広がる。また、実際の解像度は1,024×600ドットであるものの、入力として1,920×1,080ドットのフルHDにまで、そしてHDCP対応なので、PCやPS3からの接続はもちろん、地デジやBlu-rayコンテンツなども表示でき、さらに内蔵のステレオスピーカーへはHDMI経由で音声も伝送できるため、HDMIケーブル1本で全接続が完結する。HDMI出力を搭載した新型のMac miniで使うのも面白そうだ。
試しに日本エイサー「AspireRevo ASR3610-A44」へ接続したところ、1,024×600ドットから最大の1,920×1080ドットまでの各段階でも表示、音も問題無く再生した。もちろん解像度を上げるとドットバイドットでなくなり見づらくなるが、動画や写真中心ならある程度解像度を上げても十分実用に耐えうる。縦置きにも設定可能だ。ただしこの場合、HDMIケーブルがフレームの上から飛び出る形になるため、見栄えは悪くなる。同様に、横置きでも右サイドからHDMIケーブルが飛び出るため、できればリアパネルにHDMI入力が欲しかった。
発色に関しては、デジタルフォトフレームとして写真や動画を観た時より、HDMI入力の方が若干コントラストが浅く、色も地味、色温度も高めのように思えるが、サブディスプレイとしては十分な性能だろう。
以上のように「LPF10M01」は、10.1型ワイドとデジタルフォトフレームとしてはサイズが大きく、写真はもちろん、音楽や動画の再生に加え、ステレオ音声出力にも対応したHDMI入力を備えているため、PCやPS3、Blu-rayなども含むAV機器などのちょっとしたディスプレイ+スピーカーにも併用できる便利な製品だ。価格も2万円未満と手頃。店頭で見かけたらぜひ試して欲しい。