西川和久の不定期コラム

コンパクトなネットブック!HP「Mini 210」



HP Mini 210

 3月17日、HPから新しいネットブック「Mini 210」が発表、出荷開始となった。Atom D450+Intel NM10 ExpressのPine Trailプラットフォームを採用した新型モデルだ。出荷版が届いたので、早速レポートをお届けする。

●標準的なネットブック

 2010年になって、メモリコントローラとGPUを内蔵した新型Atomプロセッサ搭載ネットブックの発表、出荷ラッシュになっている。特徴としては、メモリアクセス速度の向上、そしてチップセットの簡素化によるシステム全体での消費電力の低減。バッテリ駆動時間がより長くなることが期待できる。

 もう1つは、OSがWindows XPからWindows 7 Starterに変わったことがあげられる。一部、Pine TrailプラットフォームでもWindows XP搭載機があるものの、それはWindows 7 Professonalのダウングレード権を使ったもので、OSにかかるコストは安くなっていない。と言うより、コスト的にはStarter<Home Premium<Professonalとなるため、逆に最も高くなっているのが現状だ。もはやそこまでしてXPを選ぶ理由はパーソナルベースでは見当たらず、ビジネス用途での互換性の問題だけだと思われる。

 さて、今回ご紹介する「Mini 210」は、Pine Trailプラットフォーム+Windows 7 Starterを搭載した、2010年版ネットブックとして標準的な構成となっているモデルだ。

HP「Mini 210」仕様
・CPU:Intel Atom N450プロセッサ(1Core/1.66GHz/キャッシュ512KB)
・チップセット:Intel NM10 Express
・メモリ:1GB/SO-DIMM(PC2-6400 DDR2-SDRAM/最大1GB)
・HDD:250GB(7,200rpm)
・OS:Windows 7 Starter
・ディスプレイ:10.1型ワイド ハードコート・クリスタルビュー・ディスプレイ、1,024×600ドット
・GPU:チップセット内蔵GMA3150、ミニD-Sub15ピン
・ネットワーク:Ethernet(10BASE-T/100BASE-TX)、IEEE 802.11b/g/n
・その他:USB 2.0×3、5in1メディアスロット、Webカメラ、音声入出力、ステレオスピーカー、マイク
・サイズ/重量:268×179×23.5〜28.5mm(幅×奥行き×高さ)/約1.18kg
・バッテリ駆動時間:約4.25時間/最長約9.5時間(8,400円のオプション6セルバッテリ搭載時)
・ダイレクトショップ価格:49,980円(税込)から

 CPUはシングルコア/2スレッドのAtom D450プロセッサ。メモリコントローラーとGPUを内蔵している新型で、チップセットはIntel NM10 Express、GPUは内蔵GMA 3150と、Pine Trailプラットフォームそのものだ。無線LANはIEEE 802.11n対応、有線LANは100BASE-TXまで、Bluetoothは無し。これらはネットブックの標準的な構成と言えよう。OSはWindows 7 Starterを採用している。他のエディションとの違いは、Aeroが使えず、画面の個人設定が出来ない、MPEG-2コーディックの非搭載など、制限があるものの、価格が抑えられているため、マシンの値段を安価に設定できる。

 メモリは1スロットで1GBが搭載済み。HDDは250GBでこのクラスとしては珍しい7,200rpmのものが使われているが、先と同じ理由でSSD化などは簡単に出来ない。

【お詫びと訂正】初出時、メモリ交換が難しいと記載しておりましたが、ドライバレスでメモリ交換が可能です。ご迷惑をおかけした関係者の方にお詫びするとともに訂正いたします。

 デザインは「ZEN-design“facet”」、カラーバリエーションは「白銅(はくどう)」のみ。またBTOに関しては、主要コンポーネントが固定で、6セルバッテリなどオプションの選択となる。本体はダイレクトショップ価格で49,980円(税込)。ネットブックとしては最安値ではないものの5万円を切る。

天板デザインは「ZEN-design“facet”」。加えて光沢が美しく傷がつきにくい“HP Imprint”が施されている 正面左右にステレオスピーカー 本体底面は天板と同じ材質・デザインになっている。小さいパネルなどが無く、HDDやメモリを簡単に交換できない
左側面。電源入力、ミニD-Sub15ピン、HDDアクセスLED、USB 2.0×1、ヘッドフォン端子 シャープな雰囲気を持つアイソレーション・タイプのキーボード。ただファンクションキーが[Fn]キーとのコンビネーションになる 右側面。ロックポート、Ethernet、USB 2.0×2、電源スイッチ、5in1メディアスロット
キーピッチは実測で約19mm。このタイプとしては結構広い 重量は実測で1,172g。この重さなら気軽に持ち歩けるだろう 3セルタイプのバッテリ。ACアダプタのコネクタはミッキータイプだ

 前回の「Mini 5102」もそうだったが、この「Mini 210」もなかなかしっかりした作りで、チープ感は皆無だ。上下共同じ素材で統一され、黒い部分はマットな部分と光沢の部分を使い分け、非常にシャープにまとまっている。「ZEN-design“facet”」は好みもあると思われるものの、他のZEN-designより癖は少ない。個人的にはヘアライン加工だとカッコいいかもと思ってしまった。ただし、この関係もあるのだろうか、メモリやHDDを簡単に交換できる小さいパネルは裏側に無い。

 キーボードは、これまでどちらかと言えば固い押し心地だったのに対して、Mini 210は、柔らかく優しい感じに変わった。クリック感を保ちつつソフトな押し心地で、キーピッチも19mmと非常に入力しやすいアイソレーション・タイプへ変更された。ただこれは主キーの話であって、ファンクションキーや[ctrl][alt][矢印]キーなど、機能キーに関しては、キートップはかなり小さくなっている。この点は評価が分かれそうな雰囲気だ。なお、無線LANのON/OFFは、[F12]キーの位置にある。

 サイズ268×179×23.5〜28.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.18kgとネットブックとしては軽量級だ。これならカバンなどへ入れ持ち歩くのも全く問題無いだろう。

 液晶パネルは10.1型の光沢タイプだ。解像度は1,024×600ドットとネットブックの標準解像度となっている。色や視野角は標準的だが、少し青みがかかっている。久々にこの解像度のマシンを触ったが、やはり少し画面は狭い。IE/Firefox/Google ChromeなどWebブラウザに関しては、[F11]キーを押すと全画面モードになるので、うまく使いできるだけ広く使いたいところ。

 タッチパッドは面白い構造になっており、左上のドットがパッド本体のON/OFFスイッチに(OFF時にLEDが点灯する)、また左右のボタンは無く、パッド部分が板状で左右に押し込む事によりボタンの代わりになっている。しっかりクリック感もあり操作性も悪くない。マルチタッチに対応し、パン・スクロール、ピボット・ローテーション、ピンチ・ズームなどが可能だ。ドライバは「Synaptics ClickPad V7.4」が使われている。

 振動やノイズはほとんど感じられない。多くのネットブックではHDDの振動がパームレストに伝わるのだが、うまく対策ができているようだ。スピーカーの音質・音量共、必要十分なレベル。それなりにコンテンツは楽しめる。

●Windows 7 Starterでメモリ1GBは

 OSはWindows 7 Starterがインストール済み。長時間Starterを使ったのは今回初めてだ。まずAeroが使えないので、画面の雰囲気が随分違う。デスクトップで右ボタンを押すと表示される「個人設定」も無い。また、MPEG-2のコーディックも含まれないため、外付けのDVDドライブを接続しても、そのままではDVDビデオが観れないので注意が必要だ。ただ用途を考えると、これらが無いと困るかと言えば多くの人にとって特に問題になることは無いだろう。

 更にメモリ1GBでどの程度動くかの方が気になる部分。少し触ったところ、エクスプローラでファイルをアクセスしたり、IEでWebを見たり、写真やHD解像度未満の動画を表示する分には、あまり遅いと思わなかったが、加えてもう1つ2つ大きめのアプリケーションを立ち上げるとHDDへスワップが始まり少しひっかかり気味になる。Windows Vistaと比較して、Windows 7で軽くなったとは言え、メモリ1GBでは作動的にギリギリの雰囲気だ。また、Anytime UpgradeでHome Premiumnにもできるが、このメモリ容量だと、作動的には厳しいと思われる。

 HDDはCドライブに約223GB割当てられている。ドライブは7,200rpmの東芝MK2556GSYを搭載。5,400rpmでないのは、アプリケーションの起動などの高速化に加え、もしかするとHDDへのスワップも考慮したためかも知れない。

Windows 7 Starter。メモリは1GB固定だ デバイスドライバ/主要なデバイス。HDDは7,200rpmの東芝MK2556GSY(キャッシュ16MB)が使われている HDDのパーテーション。リカバリーなど4パーティションになっている。実際はCドライブの約223GB

 プリインストールされているアプリケーションは、「ノートン・インターネットセキュリティ2010(60日間試用版)」、「HP DVD Suite Essentials」、そして同社のユーティリティなど。また、電源ONから数秒で起動するLinux環境として「splashtop」も搭載している。画面キャプチャからわかるように、見た目はなかなかクールだ。少し試した範囲では、Webブラウザは日本語表示にも対応している。作動も軽く、本来ネットブックのイメージはこちらなのかも知れないと思ってしまった。

HP DVD Suite Essentials Norton Internet Security Netbook Edition splashtop

 ベンチマークテストは、Windows エクスペリエンス インデックス、CrystalMark、そしてBBenchの結果を見たい。まずWindows エクスペリエンス インデックスの総合は2.4。内訳は、プロセッサ2.4、メモリ4.5、グラフィックス2.9、ゲーム用グラフィックス3.0、プライマリハードディスク5.9。HDDは7,200rpmなので若干スコアが良い。他の部分は、Pine Trailプラットフォームとして標準的だ。

 CrystalMarkは、Starterだからと言って特に遅くなっているわけでは無く、他のHome Premiumなどと値は似ている。HDDはWindows エクスペリエンス インデックス同様、値は高め。10,000は切っているものの、高速なのが分かる。

 YouTubeは480pまではOK。HD/フルHD動画はNGとなる。これはCPUパワーと動画支援機構が無いGPUパフォーマンスから仕方ないところだろう。ただ液晶パネルの解像度を考えると、特別不満になることも無い。

 BBenchは、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでの結果、バッテリの残5%で8,951秒(2.5時間)。スペック上は最長約4.25時間なので、もう少し伸びて欲しいところか。長時間バッテリ駆動する時は、6セルバッテリ(8,400円)を別途用意したい。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合で2.4。プロセッサ2.4、メモリ4.5、グラフィックス2.9、ゲーム用グラフィックス3.0、プライマリハードディスク5.9 CrystalMark。CPUがAtom N450、そしてGPUがGMA3150なので、値は同じアーキテクチャのネットブックと似ている BBench。バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでのBBenchの結果。バッテリの残5%で8,951秒(2.5時間)

 コンパクトでしっかり作られたボディ、このクラスとしては使い易いキーボード、そして7,200rpmのHDDなど、ネットブックとしてはツボを押さえたスペックとなっている。ただファンクションキーが[Fn]キーとのコンビネーションになっているのは、日本語IMEとの相性が悪くなるのが残念だ。加えてメモリが1GB固定と言うのも、Windows 7の作動が全体的に重くなってしまう上、ボディの構造上、後から簡単に増設できず、完成度が高いだけに非常にもったないない感じがする。

 とは言え、標準の3セルバッテリ搭載時で重量1.18kgと結構軽く、外出用としては魅力的なネットブックとしてまとまっている。ライトな用途で普段持ち歩きたいユーザーには、注目の1台だ。