西川和久の不定期コラム

10.1型WUXGAのワコム製スタイラスペン付き2in1「LIVA TE10EA3」

~低価格モデルは44,800円

LIVA TE10EA3

 リンクスインターナショナルは、ECS製の10.1型2in1「LIVA TE10EA3」を4月22日より販売開始した。ストレージは32GBモデルと128GBモデルがあり、今回は後者が編集部より送られて来たので、その試用レポートをお届けしたい。

Atom x5/4GBでそれなりに使える2in1

 Atomを搭載した10.1型2in1は、メモリ2GB搭載モデルが多く、ブラウザで多くのタブを開いたり、メモリを消費するような作業を行なうと、少しものたりなさを感じることがある。できれば4GBで使いたいところ。

 このような中、プロセッサはAtom x5ながら、メモリ4GBを搭載した2in1が登場した。しかも10.1型IPS式WUXGA、ワコム製のスタイラスペンを同梱。32GBモデルだと5万円を切り、ちょっと気になる存在だ。主な仕様は以下のとおり。

【表】ECS「LIVA TE10EA3」の仕様
プロセッサAtom x5-Z8350(4コア4スレッド、クロック 1.44~1.92GHz、キャッシュ2MB、SDP 2W)
メモリ4GB/LPDDR3
ストレージ32GB/128GB
OSWindows 10 Home(64bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400
ディスプレイ10.1型IPS式ゴリラガラス3 1,920×1,200ドット(光沢あり)/10点タッチ
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0
インターフェイスMicro USB 2.0×1、USB 2.0 Type-C×1、Micro HDMI、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力
センサーGPS、ジャイロスコープ、電子コンパス
その他ワコム社製スタイラスペン/アクティブ電磁誘導方式(EMR)デジタイザ、IP54(防塵防沫)、耐落下性能50cm
サイズ/重量261×177×9.8mm(幅×奥行き×高さ)/約600g(単体)、約430g(キーボードカバー)
バッテリ駆動時間約6時間/リチウムポリマー7,500mAh
店頭予想価格44,800円(32GB)/59,800円(128GB)

 プロセッサはAtom x5-Z8350。4コア4スレッドでクロックは1.44GHzから最大1.92GHz。キャッシュは2MBでSDPは2W。最近このクラスには割とよく使われているSKUだ。メモリはLPDDR3で4GB搭載。この点はポイントが高いと言えよう。

 ストレージはeMMCで、下位モデルが32GB、上位モデルは128GB。下位モデルだとせっかくメモリ4GBで若干余裕があるにも関わらず、容量が少し不足気味となるだろうか。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 400。外部出力用にMicro HDMIを装備。ディスプレイは、10.1型IPS式ゴリラガラス3の1,920×1,200ドット(光沢あり)。10点タッチ対応だ。

 インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.0、Micro USB 2.0×1、USB 2.0 Type-C×1、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力。USB 2.0 Type-Cは充電用としても使用する。センサーはGPS、ジャイロスコープ、電子コンパス。ワコム社製スタイラスペン/アクティブ電磁誘導方式(EMR)デジタイザ、Bluetooth式のキーボードカバーも付属する。

 サイズは261×177×9.8mm(幅×奥行き×高さ)、重量約600g(単体)。キーボードカバーが約430g。加えてIP54(防塵防沫)と耐落下性能50cmの堅牢筐体となっている。

 価格は32GBモデルが44,800円、128GBモデルが59,800円。その差1.5万円だ。内容を考えるとなかなかリーズナブルではないだろうか。

パネル中央上に200万画素カメラ
背面は中央上に500万画素カメラ。左上にペン収納。下左右にスピーカー
左側面上側に音量±ボタン。IP54(防塵防沫)の関係から以降のコネクタは通常カバーでふさがっている。Micro HDMI、音声入出力、Micro USB 2.0、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロット。下側面には何もない
上側面左に電源ボタン。右にペン収納。右側面には何もない
Bluetoothタイプの日本語キーボード。ペアリングするときは[Fn]+[ESC]キーを押す
キーボードカバーはよく見かける折り曲げるタイプだが、Bluetooth式なのでドックコネクタはない
USB Type-CのACアダプタ。5v/3A出力。サイズ約6.5×4.5×3cm、重量120g。変換ケーブル2本
キーボード側のMicro USBと電源スイッチ。Bluetooth式で本体からは電源供給されないので別途充電が必要
本体重量は実測で544g
キーボードの重量は実測で431g
キーボードをカバーフェルトな感じの素材で手ざわりはよい
AutoDrawでペン入力中。筆者のように絵心がない人にとって重宝する。ただAtom x5だと少し作動は重め。ペンはバッテリ/給電不要型
一般的にこのタイプはドックと磁石で本体を支えるが、本機はこのように吸盤で固定する方式
背面500万画素カメラで撮影。結構寄れるが画質はこのクラスとして並みだろう

 筐体は裏の部分が少し暗めのグレー。手触りはマットな感じで全体的な質感も含めなかなかいい。また実測で600gを切っていることもあり、持ち上げたときもどちらかと言えば軽い感じだ。付属のキーボードカバーと合わせても実測だと1kgを切る。

 前面はパネル中央上に200万画素カメラ。背面は中央上に500万画素カメラと左上にペン収納。下左右にスピーカー。右側面と下側面には何もなく、上側面に電源ボタン。そして左側面上に音量±ボタンと、IP54(防塵防沫)の関係で、カバーの下にMicro HDMI、音声入出力、Micro USB 2.0、USB 2.0 Type-C、microSDカードスロットを配置している。

 電源はUSB 2.0 Type-Cから供給。ACアダプタは5V/3A出力、サイズは約65×45×30mm、重量120gと、割と小型だ。充電時にカバーを外す必要があるので、少し面倒だが仕方ないところか。

 10.1型のパネルは、IPS式で視野角も広く、明るさ、コントラスト、発色も良好。この価格帯としては十分な品質を確保している。10点タッチも良好。

 付属のスタイラスペンは写真からもわかるように少し細目だ。バッテリを内蔵しないタイプなので軽く、EdgeのWebノートなどを操作しても非常にスムーズに反応する。筆者のように絵心のない人でも簡単に絵が描けると噂の「AutoDraw」も使ってみたが、Atomでは少しパワー不足だろうか。もたつく感じだ。参考までにGoogle Octane 2.0のスコアは6,580だった。

 キーボードカバーは最近よく見かけるスタンド部分を折って使うタイプだ。これ自体はめずらしくないのだが、Bluetooth接続のため、ドックコネクタや磁石による固定機構がなく、単に本体を置いて、写真でわかるように吸盤で固定する方法を採っている。固定する前の見栄えはあまりよくないものの、置いてしまえば不都合なく固定することができる。

 キーボードはアイソレーションタイプ。キーピッチは主要キーで約18mm確保されているので特に問題なく入力できる。いびつな並びもない。2ボタン式のタッチパッドは、面積は狭いものの、普通に操作可能だ。Bluetoothのペアリングは[Fn]+[ESC]キー。別途充電も必要とあり、ドックタイプと比較すると少し不便。ここは、IP54(防塵防沫)とどちらを取るか、という話になるのだろう。

 ノイズや振動に関しては皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、裏左半分がほんのり暖かくなるが許容範囲だ。ただサウンドはとにかくパワーがなく、音が非常に小さい。さらにスピーカーが裏にあるので、机の上に置いた場合はスリットがふさがり、手で持つと後ろに音が抜け、もっと音が小さくなる。そのほかの部分は結構いいだけにこの点は残念だ。

素のWindows 10でスッキリとした構成

 OSは64bit版のWindows 10 Home。CPUはAtomだが、メモリ4GBを搭載しているので割と動きには余裕がある。初回起動時のスタート画面もデスクトップ画面も素のWindows 10そのまま。プリインストールアプリは一切なく、逆にスッキリしていて個人的には好印象だ。

 ストレージはeMMC 128GBの「SanDisk DF4128」。以前の記事でも書いたことがあるので、割とこのクラスで128GBとなるとオーソドックスなのだろう。パーティションはC:ドライブのみの1パーティションで、約115GBが割り当てられ空き101GB。結構余裕がある。Wi-FiとBluetoothはQualcomm製だ。

スタート画面(タブレットモード)。Windows 10標準
起動時のデスクトップ。壁紙の変更もなく、Windows 10そのままの状態
デバイスマネージャー/主要なデバイス。eMMCは「SanDisk DF4128」。Wi-FiとBluetoothはQualcomm製
eMMCのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約115GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、先に書いたとおり、Windowsストアアプリ、デスクトップアプリともになし。Intelなどのドライバ系だけ入った素のWindows 10となっている。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。CrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(4コア4スレッドで条件的に問題ない)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 3.9。プロセッサ 5.9、メモリ 5.9、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.75。64bitでメモリ4GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅は6,531.45789MB/s。いずれにしてAtomなので、あまり速くない。

 PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1,338。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 137.2/Write 73.35、4K Q32T1 Read 34.16/Write 14.36、Seq Read 136.9/Write 81.16、4K Read 12.40/Write 14.80(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 21,393、FPU 17,775、MEM 16,910、HDD 18,833、GDI 2,881、D2D 2,533、OGL 2,608。ストレージがeMMCと言うこともあり、このクラスとしては標準的だ。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で39,845秒/11時間。仕様上は最大6時間なので倍近く動いた計算となる。またバックライト最小でも暗めの室内であれば十分使える明るさなので、実際もあまり変わらないと思われる。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 3.9。プロセッサ 5.9、メモリ 5.9、グラフィックス 3.9、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.75
PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)のスコアは1,338
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。クロックは500MHz辺りから最大の1.92Hz。温度は約40℃から80℃あたりと少し高め
BBench。バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で39,845秒/11時間
CrystalDiskMark。Seq Q32T1 Read 137.2/Write 73.35、4K Q32T1 Read 34.16/Write 14.36、Seq Read 136.9/Write 81.16、4K Read 12.40/Write 14.80(MB/s)
CrystalMark。ALU 21,393、FPU 17,775、MEM 16,910、HDD 18,833、GDI 2,881、D2D 2,533、OGL 2,608

 以上のように「LIVA TE10EA3」は、10.1型IPS式のWUXGAパネル、Atom/4GB、そしてワコム製のスタイラスペン/アクティブ電磁誘導方式(EMR)デジタイザ、Bluetoothキーボードカバーを同梱した2in1だ。Atomなのでパワーはそれなりだが、メモリ4GBなので動きに少し余裕がある。IP54(防塵防沫)/耐落下性能50cm、加えて比較的安価なのも魅力的だ。

 スピーカーの音量以外、試用した範囲で特に気になる部分もなく、購入しやすい価格帯でWUXGAやスタイラスペンに対応した2in1を探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。