西川和久の不定期コラム
デジタイザペン付属の12.5型2in1「arrows Tab RH77/B1」
~1,024段階の検知に対応
2017年2月2日 06:00
富士通は1月17日に、arrows Tabブランドの2in1を2モデル発表した。今回はその内、Kaby Lakeを搭載し、筆圧が256段階から1,024段階に向上した「RH77/B1」のレビューをお届けしたい。
最新のKaby Lakeを搭載し、ペン対応を強化した2in1
RH77/B1は、昨年(2016年)1月に発表された「RH77/X」の後継モデルに相当し、12.5型Kaby Lakeを搭載する。Kaby Lake搭載に加え、本体色にシャンパンゴールドを追加、スタイラスペンの筆圧が256段階から1,024段階へと向上している。税別店頭予想価格は19万円前後で、すでに発売済みだ。
今回手元に届いた実機の主な仕様は以下の通り。
富士通「RH77/B1」の主な仕様 | |
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プロセッサ | Core i5-7200U(2コア4スレッド、2.5~3.1GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W) |
メモリ | 4GB/LPDDR3-1866 |
ストレージ | SSD 256GB |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620 |
ディスプレイ | 12.5型1,920×1,080ドット(光沢あり)、10点タッチ/ペン対応 |
ネットワーク | IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0×1、Mini DisplayPort、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力 |
センサー | 加速度、地磁気、照度、ジャイロ |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 約319×201.3×9.5mm(単体) 約319×201.3×14.7mm(キーボード接続時) |
重量 | 約890g(単体) 約1.25kg(キーボード接続時) |
バッテリ駆動時間 | 約8.2時間(JEITA 2.0)/リチウムポリマー34Wh |
付属品 | スタイラスペン(筆圧検知1,024段階)、キーボード |
付属アプリ | Office Home & Business Premiumプラス Office 365サービス、ATOK 2016 |
税別店頭予想価格 | 19万円前後 |
プロセッサはKaby LakeのIntel Core i5-7200U。2コア4スレッドでクロックは2.5GHzから最大3.1GHz。キャッシュは3MBでTDPは15Wとなる。メモリはLPDDR3-1866の4GB。ただし、固定で増設できず、8GB搭載モデルもない。割と速めのSKUなだけに、用途にもよるだろうが少しもったいない部分だ。
ストレージは256GB SSD、OSは64bit版Windows 10 Home。ソフトウェア的には、Microsoft Officeに加え、ATOK 2016も付属しているのが特徴。ATOKを好むユーザーは多いと思われるのでポイントが高い。
グラフィックスは、プロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 620。外部出力用として4K対応のMini DisplayPortを備えている。ディスプレイは12.5型光沢ありの1,920×1,080ドット。10点タッチとペンに対応。
インターフェイスは、IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1、USB 3.0×1、200万/500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力と、先のMini DisplayPortも含め標準的だ。センサーは、加速度、地磁気、照度、ジャイロを内蔵している。
サイズは単体で約319×201.3×9.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量約890g。キーボード接続時で約319×201.3×14.7mm、重量は約1.25kg。34Whのリチウムポリマーを内蔵し、バッテリ駆動時間は約8.2時間。税別店頭予想は19万円前後となる。なおオプションでキーボードを付けたままセットできる専用のクレードルが用意され、HDMIやLANポートなどを追加可能だ。
筐体は金属製で質感も高い。背面は写真から分かるようにゴールド。少し薄い感じのゴールドで上品な感じだ。単体で実測836g、キーボード込みで1,173g。このクラスとしては標準的だろうか。キーボード込みで14.7mmの薄さなので、カバンなどへ入れてもかさばらない。
前面のパネル中央上に200万画素前面カメラ、中央下にWindowsボタン。背面、中央上に500万画素背面カメラ。左側面に音声入出力、USB 3.0、Mini DisplayPort、電源入力、microSDカードスロット。右側面に電源ボタン、音量±ボタンを配置。またスタンドの傾きは、右側面の写真が最大となる。用途にもよるだろうが、もう少し倒れても良さそうな感じだ。下側面にドックコネクタ。上側面左右にスピーカーが埋め込まれている。
ACアダプタのサイズは約132×30×27mm、重量181g。ペンのバッテリは単6形1本を使用。加えて替え用の芯と、テープで固定するペンフォルダも付属する。個人的な意見だが、20万円近くするデバイスのペンフォルダがテープで固定と言うのは少し残念な気がする。何か工夫が欲しいところ。
光沢のある12.5型1,920×1,080ドットのパネルは、明るさ、コントラスト、発色も十分。また明記されていないが、角度を変えても色が変わらないのでIPS式だろう。視野角も広い。バックライトを最小にしてもそれなりの明るさが保たれており、バッテリ駆動時には有効だ。ブルーライトカットモードも搭載している。
キーボードは10キー、バックライトなしのアイソレーションタイプ。仕様上キーピッチ19mm、ストローク1.5mmで非常に扱いやすい。タッチパッドは2ボタン型だ。Surfaceや前回紹介したMIIX 510とは違い、キーボードの端がパネルの下に磁石で固定され、傾くような仕掛けはなく、ベッタリ机の上に置く形となる。その分、打鍵感やタッチパッドの安定感はいいのだが、傾きがないと打ちにくい人もいるだろう。
気になるのは、ドック部分がキーボードの幅100%をカバーしていないため、キーボードを装着したまま持ち上げると、左右にねじれるようにブラブラしてしまうこと。千切れることはないだろうが、少し不安になったりする。
筆圧が256段階から1,024段階へ改善されたペンは、書き比べできないので、その差は分からないが、いつものEdgeのWebノート機能やペン入力を試したところ、さすがにCore i5だけあって反応は上々。もちろん精度も高くストレスはまったくない。
前面200万画素カメラは基本的にWebカメラ用。背面500万画素のカメラはAFが使え、マクロもそれなりに寄れるが、筐体が大きいだけに手ブレしやすい。サンプルを1枚掲載したが、業務用とでは十分なレベルだろう。
振動やノイズはほぼ皆無。発熱は(季節柄もあるだろうが)、ベンチマークなど負荷をかけた時も問題ないレベルだ。プロセッサの温度が上がり難いKaby Lakeの特徴が表れている。最大192kHz/24bitのハイレゾ対応のサウンドは、スピーカーが小さいので中域中心。Waves MaxxAudioが(デフォルト)オンの時はパワーも含めそれなりだ。ただオフにすると”か細く”鳴るため、常時オンをお勧めしたい。
バランスの良い構成と初心者でも安心な豊富なアプリ
初回起動時、スタート画面(タブレットモード)は1画面、FUJITSUグループがプリンストールとなる。登録されているタイルは15と多め。デスクトップは壁紙の変更と、左側にショートカットが2つと逆に控えめだ。Core i5/4GB/SSDのスペックなので、試用した範囲では快適な作動だった。
ストレージは256GB SSDの「SAMSUNG MZNTY256HDHP」。調べてみるとM.2タイプだ。実質C:ドライブのみの1パーティションで約234.35GBが割り当てられ空き185GB。Wi-FiとBluetoothはIntel製。
プリインストールされているアプリは、Windowsストアアプリは、「富士通パソコン お客様サポート」、「My Cloud エコDX」、「My Cloud スタジオ」、「My Cloud プレイ」、「My Cloud ホーム2.0」、「My Cloudリモートアクセス設定」、「My Cloud プレミアム」、「マカフィーセントラル」。My Cloudは、名前からも分かるようにCloudを使っていろいろなことができる機能。My Cloud エコDXは外から家電を操作可能だ。
デスクトップアプリは、FUJITSU系のフォルダに、「ステータスパネルスイッチ」、「ソフトウェアディスク検索」、「電源オフUSB充電ユーティリティ」、「はじめに行う設定」、「バックアップガイド」、「バッテリーユーティリティ」。
そのほか、「@メニュー」、「Corel WinDVD」、「Corel Digital Studio for FUJITSU」、「Corel PaintShop Pro for Fujitsu」、「Cyberlink PowerDirector 4」、「DigiBook Browser」、「F-LINK NEO」、「Plugfree NETWORK」、「Roxio Creator U」、「Waves MaxxAudio」、「アップデートナビ」、「ウィンドウ整列ユーティリティ」、「起動メニューを表示」、「ソフト使い放題セットアップ」、「動画でわかるFMV-arrow Tab」、「富士通アドバイザー」、「筆ぐるめ 24」、「マカフィーリブセーフ」、「富士通パソコンユーザー登録」、「らくらくコミュニティ」、「ワンタッチプライバシー」など。
書き出すのも大変なほどのソフトウェアがインストールされている。中でもウィンドウ整列ユーティリティやワンタッチプライバシー(指定したファイルを隠す)があるところが国産機らしい。初心者を意識した内容と言えよう。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)、BBench。M.2 SSDなのでCrystalDiskMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。
winsat formalの結果は、総合 5.2。プロセッサ 7.5、メモリ 5.9、グラフィックス 5.2、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのスコアが低いのは64bit版でメモリ4GBなのでリミッターがかかっている。バンド幅は18329.78640MB/s。
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3241。CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 559.0/Write 533.8、4K Q32T1 Read 242.2/Write 217.4、Seq Read 488.0/Write 475.9、4K Read 38.22.10/Write 85.75(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 48092、FPU 46348、MEM 47162、HDD 42981、GDI 15735、D2D n/a、OGL 12668。
BBenchは、キーボードを接続したままバッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残3%で27,067秒/7.5時間。いつもの残5%で26,707秒/7.4時間。仕様上は約8.2時間なので若干短いものの、先に書いた通り、バックライト最小でもそれなりに見えるので、ほぼ実際使用した時と一致すると思われる。
以上のように富士通「RH77/B1」は、最新のKaby Lake搭載、標準で筆圧検知1,024段階のスタイラスペンとキーボードも同梱している12.5型の2in1だ。国産機らしく豊富なアプリをプリインストールし、PCが苦手な人でも使いやすい内容となっている。
プロセッサの割に最大メモリ4GBや、キーボードドックの付け根の部分など、気になる部分があるにはあるが、全体的にはうまくまとまった1台に仕上がっている。国内メーカー製の2in1を探しているユーザーにお勧めしたい。