西川和久の不定期コラム

Kaby LakeとGeForce搭載のバランス良好な13.3型ノート「ZenBook UX310UQ」

ZenBook UX310UQ

 ASUSは12月7日に、ノートPC 3モデルを発表した。この内2モデルはIntelの第7世代Kaby LakeのCore i5を搭載した最新鋭機だ。今回はディスクリートGPU内蔵の上位モデル「ZenBook UX310UQ」を試用する機会を得たのでレポートをお届けしたい。

第7世代Kaby LakeとディスクリートGPUを搭載

 ZenBook UX310UQのプロセッサはKaby Lake世代のCore i5-7200U。2コア4スレッド、クロック2.5GHzから最大3.1GHz。キャッシュは3MBでTDPは15W。メモリはDDR4-2133で8GB。ストレージはSSD 256GB。OSは64bit版のWindows 10 Homeを搭載している。

 プロセッサが第7世代になったのでその進化が気になるところだが、実は第6世代のSkylakeとほとんど変わっていない。SkylakeのCore i5-6200Uと比較して違うのはクロック(2.3~2.8GHz)と、内蔵グラフィックスの名称(Intel HD Graphics 520)が主な部分。対応メモリやTDPなどはほとんど同じだ。とは言え、クロックは最大3GHzを超えており、純粋なパワーアップが期待できる。

【表】ASUS「ZenBook UX310UQ」の仕様
プロセッサCore i5-7200U(2コア4スレッド、クロック2.5~3.1GHz、キャッシュ3MB、TDP 15W)
メモリDDR4-2133 8GB
ストレージSSD 256GB
OSWindows 10 Home
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 620、NVIDIA GeForce 940MX(2GB)
ディスプレイ13.3型1,920×1,080ドット(非光沢)、タッチ非対応
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 3.0 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、HDMI、音声入出力
サイズ/重量323×223×18.35mm(幅×奥行き×高さ)/1.4kg
バッテリ駆動時間約9時間(3セルリチウムイオン)
税別店頭予想価格109,800円前後

 ディスプレイは、非光沢の13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)。タッチには非対応だ。外部接続用としてHDMI出力を備えている。グラフィックスはプロセッサ内蔵のIntel HD Graphics 620とMaxwellアーキテクチャのNVIDIA GeForce 940MX(2GB)。ノートPC用900MXシリーズの中では最上位となる。

 ネットワークは有線LANがないが、IEEE 802.11ac無線LANとBluetooth 4.1に対応。そのほかのインターフェイスは、USB 3.1 Type-C、USB 3.0、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力。サウンドは、Harman Kardonとコラボレーションしたオーディオ技術「SonicMaster」を採用している。USBに関しては全種類入りとなる。

 サイズは323×223×18.35mm(幅×奥行き×高さ)、重量1.4kg。3セルリチウムイオンを内蔵し、バッテリ駆動時間は約9時間。税別店頭予想価格は109,800円前後となっている。

 なお、同時に発表されたZenBook UX330UAは、本製品と比較して、メモリがDDR4-2133からLPDDR3-1866へとスペックダウン、ディスクリートGPUなしとなったモデルだ。本来その分、安くなるはずだが、「Office Home and Business Premium プラス Office 365サービスが添付」となるため、税別店頭予想価格129,800円と、逆に高くなっている。

パネルはフルHDで非光沢を採用。中央上に92万画素Webカメラ
底面は手前左右のスリットにスピーカー。メモリやストレージにアクセスできる小さいパネルはない
左側面には、電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.1 Type-C、音声入出力
右側面は、USB 2.0×2、SDカードスロット、バッテリ/Power LED
キーボードバックライト付きのアイソレーションタイプ。いびつな並びもなく、綺麗なレイアウトだ
キーピッチは実測で約18mm
キーボードバックライトは弱/強の2段階。オフにもできる
クォーツグレーのメタル素材とスピンフィニッシュのヘアライン加工を施した天板
重量は実測で1,351gだった
付属のACアダプタのサイズは約75×75×27mm(同)で、重量は236g。プラグは折り畳めない

 筐体はクロームっぽい暗めのシルバー。金属製で安っぽさは皆無。天板はクォーツグレーのメタル素材とスピンフィニッシュのヘアライン加工を施され、全体的にクール&ソリッドでカッコいい。重量は実測で1,351g。1kgを切っていないものの、持ち上げると割と軽く感じる。全体のバランスが良いのだろう。

 前面は中央上に92万画素Webカメラ。裏はメモリやストレージなどにアクセスできる小さいパネルはない。左側面は、電源入力、USB 3.0、HDMI、USB 3.1 Type-C、音声入出力。右側面は、USB 2.0×2、SDカードスロット、バッテリ/Power LEDを配置。付属のACアダプタは、サイズ約75×75×27mm(同)、重量236gと少し大きめ。プラグの部分が折り畳めないのはカバンなどに入れる時、邪魔でほかのものに引っかかったりもするため、マイナスポイントか。

 ディスプレイは13.3型のフルHD。非光沢なので目に優しい。明るさは少し暗めだが用途的に十分(通常物撮りする時、背景の白が白飛びするように露出を設定すると、パネルの明るさ最大では色が飛び気味になるが、本機ではそうならなかった)。発色、コントラストも文句なし。視野角は広くIPS式とは明記されていないが、角度があっても色が変わらないのでIPS式だと思われる。なかなか高品質なパネルだ。ただヒンジの傾きが上に掲載した写真の左/右側面の角度で最大となる。使い方や設置場所にもよるだろうが、もう少し自由度が欲しい。

 キーボードはアイソレーションタイプで、バックライトをオフ/弱/強に設定できる。キートップや触った感じなどはMacBook系のそれに近く好印象。キーピッチはおおむね約18mm確保され、いびつな並びもない。タッチパッドは1枚プレート型。感度も良く、パームレストも含め十分スペースが隠されているので扱いやすい。

 振動やノイズはベンチマークテスト中も含め試用時にはまったく問題なし。また発熱も(季節柄もあるだろうが)高負荷状態でも熱くならなかった。サウンドはHarman Kardonとコラボしたオーディオ技術「SonicMaster」を採用しているだけに、音質・出力ともに好印象。このクラスとしては文句なしといったところか。

 このように総じて作りが良く、また抜けもなく、かなり高いレベルで仕上げられたノートPCであり、魅力的な1台だ。

今時のノートPCとしては十分な動作速度

 OSは64bit版のWindows 10 Home。Core i5、メモリ8GBでSSDということもあり、動作は軽く速い。初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は、1画面+α。ASUSグループにある、「NETFLIX」、「Music Maker Jam」、「tripadvisor」、「MyASUS」がプリインストールアプリとなる。デスクトップは壁紙の変更と、ショートカットが11と海外メーカーの割に多めだ。

 ストレージはSSD 256GBの「Micron 1100 MTFDDAV256TBN」。C:ドライブのみの1パーティションで約237GB割り当てられ、空きは192GB。有線LANはなく、Wi-FiとBluetoothはIntel製だ。NVIDIAコントロールパネルからGeForce 940MXはCUDAコア384、搭載ビデオメモリはGDDR3 2GBというのが分かる。

スタート画面その1(タブレットモード)。Windows 10標準
スタート画面その2(タブレットモード)。ASUSグループにある4つがプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙の変更と、ショートカットが11と海外メーカーの割に多め
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSD 256GBの「Micron 1100 MTFDDAV256TBN」。有線LANはなく、Wi-FiとBluetoothはIntel製
SSDのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約237GB割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。GeForce 940MXはCUDAコア384、搭載ビデオメモリはGDDR3 2GB

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、スタート画面、ASUSグループにある、「Music Maker Jam」、「MyASUS」、「TripAdvisor」。

MyASUS
Music Maker Jam

 デスクトップアプリは、「ASUS」フォルダに「ASUS HiPost」、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「Splendid Utility」、「USB Charger Plus」、「WebStorage」、「WinFlash」。同社お馴染みのツールだ。

 加えて「ASUS GIFTBOX」、「Evernote」、「Foxit PhantomPDF」、「AudioWizard」、「i-フィルター6.0」、「Kingsoft Office」、「KKBOX」、「SmartAudio」、「TearmViewer 10」、「McAfeeリブセーフ」、各デバイスのユーティリティなど。

Splendid Utility
USB Charger Plus
SmartAudio
ASUS GIFTBOX

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8のバージョン2/Home(accelerated)、BBench。ディスクリートGPUなので3DMarkの結果を見たい。参考までにCrystalMark(2コア4スレッドで条件的には問題ない)のスコアも掲載した。

 winsat formalの結果は、総合 5。プロセッサ 7.5、メモリ 7.5、グラフィックス 5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15。メモリのバンド幅は13824.20104MB/s。PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3054。3DMarkは、Ice Storm 51840、Cloud Gate 6482、Sky Diver 5333、Fire Strike 1395。CrystalMarkは、ALU 49748、FPU 52905、MEM 40470、HDD 39733、GDI 15317、D2D 5905、OGL 35474。

 winsat formalの総合は5となっているが、これはグラフィックスで足を引っ張られているだけであり、プロセッサ、メモリ、ストレージも7.5以上。またPCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は3千超え。このクラスのノートPCとしては十分な性能だ。3DMarkについては、もともとGeForce 940MXが高性能というわけでもないので、重いゲームには向いていない。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で46,596秒/12.9時間。仕様上の約9時間を大幅に超えている。ただバックライト最小だと少し暗いので明るくしたとしても、かなりの時間持ちそうだ。

winsat formalコマンドの実行結果。総合 5。プロセッサ 7.5、メモリ 7.5、グラフィックス 5、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 8.15
PCMark 8 バージョン2/Home(accelerated)「3054」
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。データがうまく取れていないため詳細は不明
3DMark。Ice Storm 51840、Cloud Gate 6482、Sky Diver 5333、Fire Strike 1395
BBench。バッテリ節約機能オン、キーボードバックライトオフ、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果は、バッテリの残5%で46,596秒/12.9時間
CrystalMark。ALU 49748、FPU 52905、MEM 40470、HDD 39733、GDI 15317、D2D 5905、OGL 35474

 以上のように、ASUS「ZenBook UX310UQ」は、第7世代Kaby LakeとディスクリートGPUを搭載し、メモリ8GB、ストレージはSSD 256GBと、十分な性能を確保している上に、ソリッドでクールな筐体、キーボードバックライト、非光沢で見やすいパネル、良好なサウンドと堅実な作りの13.3型ノートPCだ。

 有線LANがないのは残念だが、必要に応じてUSB 3.0でアダプタも接続できるため、特に問題にはならないだろう。Kaby LakeなノートPCが欲しいユーザーに限らず、13.3型でバランスの良いノートPCを求めているユーザーにもお勧めしたい逸品だ。