井上繁樹の最新通信機器事情

トレンドマイクロ「OKAERI」

〜一家のPCからスマートフォンまでを台数制限なしで保護するセキュリティサービス

 トレンドマイクロの「OKAERI」はPC、スマートフォン、タブレットのセキュリティ対策とパスワード管理、さらに最大16GBまで写真と動画のクラウドバックアップができるサービスだ。対応OSはWindows、Mac、Android、iOSで、台数制限はなく、利用料金は月額固定で通常1,058円、プレミアムは1,598円となっている。通常とプレミアムの違いは、電話、メール、チャットで相談できるサポートの有無だ。

 サービスの利用にあたっては専用端末のLAN内設置と、PC、スマートフォン、タブレット側に専用アプリ「トレンドマイクロ OKAERI」のインストールが必要だ。LAN内に専用端末がない場合、専用アプリのインストールは完了しない。専用端末がライセンスキーの様な役割を果たしている。また、専用端末はHDMI出力を搭載しており、TVやディスプレイにつなぐことでクラウドにバックアップしている画像や動画の閲覧と、スライドショー表示を楽しむことができる。

本体天面。小さな丸が接続設定ボタン、その上の横に長い楕円が収納状態のUSBポートとSDカードスロットだ
正面。中央の黒い部分は赤外線リモコンの受光部。ステータスランプの光が透過する
USBポートとSDカードスロットを開いた状態。背面側を軽く押すと開く
同じ角度で、USBポートとSDカードスロットを収納した状態
底面。中央のクリーム色部分はゴム面
背面。左からリセットボタン、電源、HDMI、有線LAN、ワイヤレス設定ボタン。さらに、シリアル番号やMACアドレスを印刷したシールが貼られている
リモコン。上から、TV接続ボタン、十字カーソル、決定ボタン、戻るボタン、日付変更ボタン、メニューボタン、スライドショーボタン
リモコン背面。電源は単4電池×2本
本体とリモコン以外の同梱物一覧。冊子3種、ACアダプタ、HDMIケーブル、LANケーブル
アプリは公式サイトや、スマートフォンやタブレットであれば専用のアプリストアで入手できる
OKAERIが提供する機能は、セキュリティ対策、Webサイトのパスワード管理、写真のバックアップの3種類

セキュリティ対策、パスワード管理、写真バックアップの3つの機能

 OKAERIの利用には2種類のアカウントを登録する必要がある。1つがトレンドマイクロアカウントで、OKAERIの利用に必須のものだ。もう1つが家族間で共有しないパスワードと個人の写真を管理するためのユーザーアカウントで、それらの機能を使わない場合は登録する必要はない。ユーザーアカウントは1契約あたり3つまで登録できる。

 専用アプリのトレンドマイクロ OKAERIは3つのアプリに分かれている。全てのアプリとアカウントを管理する「OKAERI」と、セキュリティ対策の「ウイルスバスタークラウド」、そして写真と動画のバックアップと閲覧ができる「JewelryBox」だ。さらに、OKAERIからWebサイトのパスワード管理サービス「パスワードマネージャ」を呼び出せる。

 アプリのOSごとの違いだが、ウイルスバスタークラウドはAndroid、iOS版は設定項目のないシンプルなバージョンだが、JewelryBoxとパスワードマネージャについてはUIの差はあるがWindows、Android、iOSで機能に差はない。

OIKAERI管理画面トップ。左下の3つのアイコンから、ウイルスバスター、パスワードマネージャ、JewerlyBoxを開ける
パスワードと個人用の写真のバックアップには、別途ユーザーアカウントの設定が必要
ウイルスバスタークラウド管理画面トップ
ウイルス対策設定。スキャン対象やタイミングを調節できる。「ジョークプログラム」は実害の無いものを指す
「情報漏えい対策」。電話番号やクレジットカード番号などの末尾10桁を登録しておくと、外部への漏洩をブロックしてくれる
ペアレンタルコントロール。アクセスできるURL、使用時間、ソフトに制限をかけることができる。URLのフィルタリング設定はカテゴリにチェックを付けるだけの簡単仕様
ファイルの完全消去を行なう「データ消去ツール」。上書きを繰り返すことでファイルの復元ができない状態にする
Trendツールバー。上がChrome版、下がIE版。リンクの安全性やプライバシー設定のチェックを行う
例えばTwitterにアクセスすると、プライバシー設定の確認を促すバルーンと、リンクの安全性チェック結果を、ブラウザの表示に組み込んで表示(赤点線内参照)
「スキャン結果の表示」をクリックで開くプライバシー設定チェッカー。SNSの公開設定の各項目の危険性を確認しながら、設定を変更できる

 ウイルスバスタークラウドはいわゆるウイルス対策ソフトで、中心となるウイルス対策や危険なWebサイトへの接続を遮断するほか、SNSの情報公開範囲のチェック、カード番号など個人情報の漏洩防止、ファイルの完全消去、ペアレンタルコントロールなどの機能を搭載している。

 さらに、セキュリティ対策機能の一部として、Webブラウザ組み込みのセキュリティ対策プラグイン「Trendツールバー」がインストールされる。Trendツールバーは、検索エンジンの検索結果やSNSサービス上のリンクのうち、安全なものにはチェックマークを付けるほか、SNSサイトでは個人情報の公開範囲の確認を促すバルーンを追加するなど、Webブラウザの表示結果に視覚的に分かりやすい変更を加える。対応ブラウザはInternet Explorer 7以降(Modern UI除く)、Google Chrome 30.0以降、Firefox 5.0以降となっている。

Windows版JewelyBox。家族で共有する画像と、共有しない画像を分けてバックアップできる
Windowsスライドショー画面。PC版は画面下に表示されるサムネイルの数が多め
OKAERI専用端末版JewelyBox。閲覧できるのは家族で共有している画像のみ
OKAERI専用端末版スライドショー画面。PC版と比べると画面下に表示されるサムネイルは少なめ
Android版JewelyBox。一覧表示は横位置では表示できない
Android版スライドショー表示。表示されるサムネイル数はOKAERI専用端末と同じ。こちらは横位置表示可能
iOS版JewelyBox。Androidと同じく横位置表示はできない
iOS版スライドショー表示。画面下に表示されるサムネイルの数はOKAERI専用端末、Androidと同じ

 JewelryBoxは、写真のバックアップとバックアップしたファイルの閲覧と共有ができるアプリ。バックアップ対象はユーザー指定のフォルダだ。容量上限が16GBと控えめなので、「ピクチャ」フォルダまるごとのバックアップは難しい。バックアップ用のフォルダを別途作成して、お気に入りの画像のみコピーしておく、というように容量を節約しながら使うことになるだろう。

パスワードマネージャーWeb版のログイン画面。あらかじめ登録したマスターパスワードを使ってパスワードの管理画面を開く
ログイン直後に開くパスワード管理画面。変更、削除に加え分類が可能。パスワードの強度の評価も
メモ機能。同じサービスの複数アカウントの使い分けなど、覚え書きのテキストメモを残しておくことができる。1行目をタイトルとして左ペインに表示
Android版パスワードマネージャ。Web版と比べると一覧にはパスワードの強度やファビコンが表示されないが機能的には同じ
iOS版パスワードマネージャ。機能はもちろん見た目もWeb版に近い

 パスワードマネージャは、Webブラウザで利用するユーザーIDとパスワードを管理するアプリで、Webサービスとして提供される。Webブラウザ組み込みのパスワード管理機能とは別物で、自動でインポートすることはなく、IDやパスワードを入力する際その都度ユーザーに確認してから保存する。パスワードの編集、フォルダ分けによる分類、検索と並べ替え表示が可能で、パスワードの強度を評価する機能とテキストメモを搭載している。

デバイスをまとめてチェックできるWebポータル

 OKAERIのアカウントに紐付けられた機器は、OKAERIのポータルサイトで確認できる。リモートで端末側の設定を変更することはできないが、安全な状態かそうでないかは一覧で見られる。パスワードは元々Webサービス上で管理しているが、問題のあるパスワードを使っているユーザーが居る場合、ポータルサイト上でも確認できる。パスワードを直接見ることなく、危険性だけ警告できるので、プライバシーを保つことができる。ポータルサイト上ではほかに、JewelryBoxの使用容量や契約情報を確認できるほか、サポート情報にアクセスできる。

OKAERIのWebポータルトップでもある「デバイス」タブ。登録しているデバイスのセキュリティ状況が一覧できる
「パスワード」タブ。適正なパスワードが使われているかユーザー単位で表示
「写真と動画」タブ。写真と動画のバックアップに使われている容量を表示

まとめと感想

 最近では、PCとスマートフォンという組み合わせで2台のコンピュータを使っている人は少なくない。デスクトップPCとノートPC、スマートフォンにタブレットといった具合に4台持ちになっている人も珍しくはないだろう。1人当たり2台としても、4人家族では8台分のセキュリティ対策が必要なコンピュータがあることになる。それだけの数のセキュリティ対策ソフトのコストは決して安くない。

 OKAERIでは台数制限無しで、現状よく利用されるWindows、Mac、Android、iOSに対応したセキュリティ対策ソフトを利用できる。家庭内にコンピュータが増えつつある昨今の状況に優しい価格設定だ。

 Webサイトのパスワード管理は、以前からブラウザやOSに組み込まれ、最近では異なるOS間であっても自動的に同期される。実質クラウドバックアップされているようなものなので、あえて別途パスワードをバックアップする必要性があるかというと微妙なところではある。とはいえ、クラウドも絶対ではないことはこれまで何度も見てきた通り。二重化は決して無駄なことではない。

 写真のバックアップ機能についてだが、これだけクラウド・ストレージが豊富で無料でも利用できる時代にあえて必要かというと難しいところだ。ただ、家族の中で頑なにPCやスマートフォンを使うことを拒否する人が1人でもいる場合は、TVに繋げるOKAERIの専用端末は「持たない」派の人と写真画像を共有するための数少ない手段として有効なはずだ。

 最後に1つ。OKAERIの専用端末のステータスランプはちょうど顔に見える様に配置されている。ステータスランプは通常時は青だが、初期設定時やシステムエラー時には赤く点灯する。顔の様に見えるだけあって、ただ単に色が変わる場合よりも、状態が直感的に分かる。なかなか良い工夫だと思うのだがどうだろうか。

(井上 繁樹)