Hothotレビュー

世界最速のタブレットPC「VAIO Z Canvas」

〜デスクトップ並の性能をタブレットボディに凝縮

「VAIO Z Canvas」

 VAIO株式会社は、デスクトップや大型ノートPCに搭載されているTDP 47Wのプロセッサを採用した、Windowsタブレットとしては現時点世界最速となる「VAIO Z Canvas」の予約を5月21日より、販売を5月29日より開始した。

 試作機にあたる「VAIO Prototype Tablet PC」が2014年10月に公開されてから、実に発売されるまで8カ月を要したことになる。一日千秋の思いで待ちわびていた方も多いだろう。本稿では、クリエイターやVAIOファンの意見を聞きながら開発を進めるという、新しい商品化プロセスによって完成したVAIO Z Canvasが、どのようなマシンに仕上がったのか、さまざまな角度から確認してみたい。

 VAIO Z CanvasのCPUは「Core i7-4770HQ」1種類となっており、CTOで選べるのはメモリ8GB+SSD 256GB(ソニーストアで269,784円)、メモリ16GB+SSD 512GB(345,384円)、メモリ16GB+SSD 1TB(431,784円)の3つのみというシンプルな構成。今回はミドルレンジに相当するメモリ16GB+SSD 512GBのモデルに基づいてレビューを行なう。

厚み・重量はあるもののフットプリントはA4サイズ

 VAIO Z Canvasは、タブレット本体とキーボードが別々になっており、それぞれBluetoothではなく、2.4GHz帯の無線によって接続されている。Surfaceのような接点型のキーボードとは異なり、本体とキーボードが離れていても操作することが可能。ノートとペン、キャンバスと絵筆の持ち方が人それぞれ異なるように、クリエイターに自由なスタイルで活用してもらうためにキーボードを分離させたとのことだ。

 本体のフレームは切削したアルミニウム合金で、ディスプレイ面は六面強化ガラスを採用。塊より削り出すことでねじりにも強い剛性を確保。そして、一般的な上下2面強化ガラスではなく、六面強化ガラスを採用することで、側面からの耐衝撃性能を高めていると言う。実際にVAIO Z Canvasの角を持ち、回転させるように左右に振ってみたが、まったくきしみが生じなかった。まるで1枚の金属板を振り回しているかのような剛性感は、持ち歩いていても安心できる。

本体とキーボードは2.4GHz帯でワイヤレス接続されている。画像のレタッチや写真の現像などの際に、ペンを主体に操作しつつ、奥に置いたキーボードでショートカットキーを操作するといった自由なスタイルで作業可能だ
実際にVAIOで実施されている本体ひねり試験。このほかにも落下試験、ガラス強度試験、スタンド開閉試験などを経て、最終的な構造設計が完成している
一般的なスマートフォンやタブレットの多くは、上下2面のみ耐衝撃加工が施された強化ガラスが用いられている。VAIO Z Canvasには4つの側面にも耐衝撃加工が施された六面強化ガラスが採用された

 本体のサイズは301×213×13.6mm(幅×奥行き×高さ)、キーボードのサイズは301×213×4.4mm(同)。本体とキーボードを合わせると高さは18mmとなるが、フットプリントは210×297mmと、A4サイズとほぼ同サイズを実現している。厚みはややあるものの、持ち運ぶためのバッグ選びに困ることはないだろう。

【主要タブレットと比較】

iPad Air 2 Surface Pro 3 VAIO Z Canvas
サイズ 240×169.5×6.1mm
(幅×奥行き×高さ)
292×201.3×9.1mm(同) 301×213×13.6mm(同)
重量 437g 800g 1.21kg

 しかし商品コンセプトは異なるが「iPad Air 2」や「Surface Pro 3」と比較すると、正直なところ本体のみで1kgを超える重さが際立って目立つ。筆者が試用した限りでは、片手では10分程度、両手でも30分〜1時間程度が無理なく保持・操作できる時間だと感じた。もちろんプロフェッショナル向けのハイパフォーマンスPCのスペックが、A4サイズのタブレットボディに入っていることを考えれば、1.21kgは驚異的に軽いわけだが、例えば電子書籍を読むなどのビューワ的な用途には7型クラスのタブレットや、5〜6型クラスのファブレットを別途用意した方がいいだろう。

本体正面。ディスプレイは12.3型のWQXGA+(2,560×1,704ドット)。画面上部には前面カメラと前面カメラランプ、画面下部にはWindowsタッチボタンとキーボード充電端子がある
手前側の側面。VAIO Z Canvasの高さは13.6mmだが、本体外周の高さは実測約8mm。エッジがカーブしていることにより、手で持った時にスペックよりも薄く感じられる。両サイドのスリットはステレオスピーカーだ
上部側面。中央のスリット群は排熱口。画面を上に置いているため反転しているが、左がRボタン、右がLボタン。Rボタンにはタッチパネル無効機能が、Lボタンにはショートカットキーメニュー機能が割り当てられている
Lボタンを押すと、画面左側にショートカットメニューが表示される。Adobe系アプリケーション、「CLIP STUDIO PAINT」、「Corel Painter 2015」など対応アプリケーション利用時は、プリセットされたショートカットメニューを表示する
左側面。左から、ヘッドセット対応ヘッドフォン端子、USB 3.0、USB 3.0(USB充電対応)、SDカードスロット(UHS-II対応)、Mini DisplayPort、HDMI出力、Gigabit Ethernet、電源端子。Mini DisplayPortとHDMI出力は同時に4K出力(4,096×2160ドット)可能。本体ディスプレイと合わせて最大3枚のマルチスクリーン環境を構築できる
右側面。左から、ペンホルダー取り付け穴、ボリュームボタン、電源ボタン、電源ランプ
同梱のペンホルダーを取り付ければ、デジタルスタイラスをしっかりと固定して持ち運べる
ペンホルダー取り付け穴には磁石が仕込まれており、デジタルスタイラスの金属製クリップ部分を固定できる。部屋から部屋へと移動する際などに一時的に収納するのであれば、着脱に力がいらないこのギミックがオススメだ
本体背面。右上には背面カメラと背面カメラランプが配置。スタンドを下側に向かって引き出すと、バッテリオフボタン(リセットスイッチ)が現われる
重量は公称1.21kgのところ、実測で1,211g

片手で無段階角度調整できるフリースタイルスタンド

 VAIO Z CanvasとSurface Pro 3には共通要素が多いが、もっとも異なるギミックがスタンド。どちらも無段階角度調整に対応しているが、VAIO Z Canvasは補助なしで片手で角度を変えられるフリースタイルスタンドを採用している。筆圧をかけても倒れないが、本体上部を軽くつまんで押し込むと深い角度に倒れ込み、逆につまんで引き上げるとスムーズにスタンドがテーブルに追従して手を離した場所でピタリと止まる。なんとも不思議な機構だ。

 筆者には絵心はないが、こまめに角度を変えられた方が画面全体で最適な筆記角度を得られることは想像できる。絵を描いたり、写真の細かなレタッチを頻繁に行なうユーザーには、このフリースタイルスタンドは非常に使い勝手がいいはずだ。機構としてはスプリング、ダンパー、カムの3つの部品で構成されたシンプルなものなので、耐久性も心配ないだろう。

 フリースタイルスタンドで個人的に不満があるのは膝上では使いにくいこと。Surfaceシリーズのキックスタンドと違い、VAIO Z Canvasのフリースタイルスタンドは中央部分で本体を支えるので、もし膝上で使うならバッグなどの上に置くしかないだろう。本体とキーボードが磁力などで固定されていないことを考えると、膝上で使う際にはソフトウェアキーボードを使う方がいいかもしれない。

フリースタイルスタンドは本体中央から下側にスタンドを引き出す構造。スタンドの引き出し始めは少し重めだ
角度調節は補助なしで片手で行なえる。調節可能範囲はスペック表には記載されていないが、実測で10.7度〜70度。ほぼ水平近くまで倒すことができる
バネは本体の自重を支える、カムはスタンドのトルクを決める、オイルダンパーは勢いよく閉まらないように調節する働きを担っている。構造はシンプルだが、絶妙なバランスでフリースタイルスタンドは成立している
【【VAIO Z Canvas】フリースタイルスタンドでの角度調節】

画面比率は4:3、カラーマネージメントも用意

 ディスプレイのサイズは12.3型、解像度はWQXGA+(2,560×1,704ドット)ということで、画素密度は250dpiとなる。3:2の画面比率は、縦の解像度を必要とするオフィス系アプリケーションや、クリエイティブ系アプリケーションとの相性の良さから採用された。実際「Adobe Premiere PRO CC 2014」で画面を比較してみたが、16:9の画面比率のVAIO Zでは縦の解像度が足らず、VAIO Z Canvasと同じ情報量を表示するためには文字を小さく設定しなければならなかった。

 液晶パネルは、クリエイティブの現場で色確認に使用されているディスプレイに匹敵する、Adobe RGBカバー率95%を再現できる広色域タイプを採用。適切な環境光下であれば「セイコーアドバンスカラーガイド」などの色見本の微妙な違いすら、VAIO Z Canvasは画面上で識別可能とのことだ。もちろんカラーマネージメント機能も用意されており、X-Rite「ColorMunki Photo」などでキャリブレーションを取ることで、オフィスや自宅にあるプロ仕様のディスプレイと色を合わせられる。

解像度2,560×1,704ドットと画素密度250dpiが相まって、ブラウザウィンドウを横に並べても、それぞれ快適に読める文字品質が確保されている
色合いに不自然な誇張はないのに、色それぞれの微妙なニュアンスが再現されている。リファレンスクオリティならではの画質だ
左がVAIO Z Canvas、右がVAIO Z。画面左下のファイルリストが、VAIO Z Canvasの方が多く表示されている
“VAIOの設定”に用意されているカラーマネジメントモード。市販のツールと組み合わせて色補正を行なう

卓上が底面となり打鍵感良好のキーボード

 キーボードのサイズは301×213×4.4mm(同)、重量は0.34kg。4.4mmと非常に薄いが、キーピッチ19mm、キーストローク1.35mmが確保されており、またキートップ同士に実測約4.1mmの間隔が確保されているため、フルサイズのノートPCと同じ感覚で快適にタイピングできる。机の上に直に置いて使用する際は、卓上がキーボードの底面となり支えるので、剛性感も当然申し分ない。タッチパッドのクリック感は軽く、かつ感触は節度のあるもので、ヤワな印象はない。

 充電は、本体とキーボードを重ね合わせた時、接点同士が接触して自動的に行なわれる。満充電で約2週間利用可能だから、両方を持ち運んで活用するユーザーはキーボードの充電を意識することはないだろう。一方机の上に置きっぱなしで使うユーザーは、気付かぬ内にキーボードのバッテリが切れてしまうこともあるかもしれない。その場合は、キーボード上部側面にMicro USB端子が用意されているので、別途用意したマイクロUSBケーブルで本体と接続すれば、給電・充電しながらすぐにキーボードを使い始められる。

これは日本語キーボード。英字配列のキーボードも用意されている
キートップ同士の実測約4.1mmという余裕のある間隔のおかげか、筆者は快適にタイピングできた
Micro USBケーブル経由で給電できる。長めのケーブルなら、充電しながらタイピングも可能だ
左がVAIO Z Canvas。バックライトを搭載したキーボードの登場に期待したい

スタイラスはVAIO Zと同等品、タッチパネルは改良

 デジタルスタイラスはVAIO Zと同等品で、最大分解能1,024段階というスペックだ。摩擦係数の異なる2つのペン先を同梱しているのも同様だが、VAIO Z Canvasには同梱品としてゴム製のペングリップが追加されている。デジタルスタイラスの上部ボタンと下部ボタンを覆うが、ペングリップ自体にボタンの位置を示す凸部があるので、ボタンを押しにくくなることはない。

 一方、デジタルスタイラスと対をなすタッチパネルは、エアボンディングタイプからダイレクトボンディングタイプへと進化した。これまでタッチパネルとLCDの間には空気層があり、ガラスとの光の屈折率の差から、ペンの触れた位置と実際に描画される位置に大きな視差が生じていた。VAIO Z Canvasは空気層のあった空間を薄くしつつ、かつガラスと同じ屈折率の光学樹脂を充填することで、視差を最小限に抑えている。真横から見ればもちろんガラス面の厚さを感じるが、正面からであれば、狙ったポイントから書き始められるぐらい視差は無視できるレベルになっている。

デジタルスタイラスはVAIO Zと同等品。摩擦係数の異なる2種類のペン先が同梱されている
ペンを太軸化するためのゴムグリップが追加された。時期は未定だがVAIO Zユーザー向けにもアクセサリーとして販売される予定だ
横から見ると、さすがにガラスの厚みは認識できる
“VAIOの設定”内に、筆圧カーブ調整機能が用意されている。筆圧と太さの2つの軸に対して、4つの点を置いてカーブを描くことで、好みの書き味を再現できる

モンスタータブレットPCを謳うにふさわしいスペック

 前述の通りCPUは、17型クラスの高性能ノートPCに用いられているTDP 47WのCore i7-4770HQ(2.2GHz)を採用。高負荷時のThermal Throttling(高温状態持続を避けるためのクロックダウン措置)が発生しないように、2本交差させた超薄型ヒートパイプに、大型の冷却ファン3基を組み合わせるという、念入りな排熱設計が施されている。このCPUには、ローエンドクラスの外付けGPUに匹敵すると言われるIntel Iris Pro Graphicsが搭載されている。

 メモリは、デュアルチャンネル転送対応のPC3L-12800 DDR3 SDRAMが採用されており、8GBと16GBのいずれかから選べるが、オンボード実装のため増設はできない。

 ストレージは、SSD 256GB(SATA 6Gbps)、第2世代ハイスピードSSD 512GB(PCI Express x4、32Gbps)、第2世代ハイスピードSSD 1TB(512GB×2、PCI Express x4、32Gbps)の3通りから選べる。SSD自体の世代もさることながら、512GBと1TBはチップセット経由ではなく、CPUのPCI Express x4に直接接続されるので、高い性能が期待できる。

 インターフェイスは、USB 3.0×2(1つはUSB充電対応)、SDカードスロット(UHS-II対応)、Mini DisplayPort、HDMI出力、Gigabit Ethernet、ヘッドセット対応ヘッドフォン端子、電源端子と非常に豊富だ。これら豊富な端子が全て本体左側面に集中しているため、アクセスが容易であることも特筆しておきたい。

ベンチマークでWindowsタブレット最速を証明

 今回ベンチマークを実施したのはVAIO Z CanvasとVAIO Zの2モデルだが、比較対象機種として以前PC Watchに掲載されたSurface Pro 3のスコアも掲載している。ただしベンチマークプログラムのバージョンが異なるので、あくまでも参考値としてご覧いただきたい。

 ベンチマークプログラムには、「PCMark 8 v2.4.304」、「PCMark 7 v1.4.0」、「3DMark v1.5.893」、「CINEBENCH R15」、「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」、「CrystalDiskMark 4.0.3」を使用した。合わせて連続動作時間を計測するためには「BBench」、実アプリのパフォーマンスを計測するために「Adobe Photoshop Lightroom」、「Adobe Premiere Pro CC」も使用している。

【ベンチマーク結果】

VAIO Z Canvas VAIO Z Surface Pro 3
CPU Core i7-4770HQ
(2.20/3.40GHz)
Core i7-5557U
(3.10/3.40GHz)
Core i5-4300U
(1.90/2.90GHz)
GPU Intel Iris Pro Graphics 5200 Intel Iris Graphics 6100 Inte HD Graphics 4400
メモリ PC3L-12800 DDR3 SDRAM 16GB PC3L-12800 DDR3 SDRAM 16GB PC3L-12800 DDR3L SDRAM 8GB
ストレージ 512GB SSD 512GB SSD 256GB SSD
OS Windows 8.1 Pro Update(64bit) Windows 8.1 Pro Update(64bit) Windows 8.1 Pro Update(64bit)
PCMark 8 v2.4.304(Surface Pro 3はv2.0.228を使用)
Home Accelarated 3.0 3496 3032 2190
Creative Accelarated 3.0 4793 4052 2540
Work 2.0 4087 3948 3282
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score 6206 5921 4816
3DMark v1.5.893(Surface Pro 3はv1.2.250を使用)
Ice Storm 74075 57910 29479
Graphics Score 95558 65293 32413
Physics Score 41456 41491 22387
Cloud Gate 10239 6123 2791
Graphics Score 13048 7688 3254
Physics Score 5840 3576 1864
CINEBENCH R15
OpenGL 53.69 fps 35.91 fps
CPU 596 cb 335 cb
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット 6928 3636 1316
SSDをCrystalDiskMark 4.0.3で計測
32T1 シーケンシャルリード 2434.684 MB/s 1434.865 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト 1578.017 MB/s 1599.231 MB/s
4K Q32TI ランダムリード 499.233 MB/s 321.725 MB/s
4K Q32TI ランダムライト 392.460 MB/s 292.421 MB/s
シーケンシャルリード 1195.667 MB/s 1182.345 MB/s
シーケンシャルライト 1574.758 MB/s 1488.325 MB/s
4K ランダムリード 43.239 MB/s 45.665 MB/s
4K ランダムライト 113.138 MB/s 118.280 MB/s
SDカードをCrystalDiskMark 4.0.3で計測(SanDisk Extreme Pro 45MB/s)
Q32T1 シーケンシャルリード 43.612 MB/s 22.386 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト 41.020 MB/s 22.911 MB/s
4K Q32TI ランダムリード 2.211 MB/s 3.251 MB/s
4K Q32TI ランダムライト 1.543 MB/s 1.489 MB/s
シーケンシャルリード 44.882 MB/s 25.166 MB/s
シーケンシャルライト 43.416 MB/s 27.053 MB/s
4K ランダムリード 3.312 MB/s 2.699 MB/s
4K ランダムライト 1.358 MB/s 1.313 MB/s
SDカードをCrystalDiskMark 4.0.3で計測(SanDisk Extreme Pro 280MB/s SDHC UHS-II)
Q32T1 シーケンシャルリード 253.759 MB/s 22.099 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト 229.357 MB/s 19.109 MB/s
4K Q32TI ランダムリード 7.377 MB/s 3.562 MB/s
4K Q32TI ランダムライト 1.822 MB/s 1.471 MB/s
シーケンシャルリード 180.562 MB/s 24.746 MB/s
シーケンシャルライト 231.741 MB/s 25.587 MB/s
4K ランダムリード 5.539 MB/s 3.773 MB/s
4K ランダムライト 1.658 MB/s 1.331 MB/s
100枚(907MB)の画像をファイルコピー(SanDisk Extreme Pro 45MB/s)
SSD→SDカード 27秒62 42秒59
SDカード→SSD 21秒59 36秒12
100枚(907MB)の画像をファイルコピー(SanDisk Extreme Pro 280MB/s SDHC UHS-II)
SSD→SDカード 11秒65 44秒06
SDカード→SSD 6秒30 36秒16
Adobe Photoshop Lightroomで50枚のRAW画像を現像
4,912×3,264ドット、自動階調 3分13秒60 5分29秒54
Adobe Premiere Pro CCで実時間4分53秒の動画を書き出し
1,280×720ドット 9分47秒92 14分01秒06
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで 4時間23分 6時間54分

 ベンチマークの結果を見るとほぼCPUとGPUのパフォーマンスに順当な結果で、PCMark8、PCMark7などで比較的差は広がらないものの、GPUの性能がモノを言う3DMarkやモンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】などでは、VAIO Z CanvasはSurface Pro 3を大きく引き離すスコアを叩き出している。VAIOは本製品を「モンスタータブレットPC」と謳っているが、今回のベンチマーク結果はそれ証明した結果と言えるだろう。

 今回VAIO Z Canvasが好成績を収めた最大の理由は、優れた放熱設計にある。ベンチマーク計測中にVAIO Z Canvasの背面の温度を計測したが、もっとも高温だったのは3つの冷却ファンが存在する場所で、その温度も38.3度止まりだった。CPUが存在する場所は31.2度だった。冷却が効率的に行なわれ、サーマルスロットリングが発生しなかった結果、ベンチマークで好成績を収めたわけだ。

CPU部は効率的に冷却されているようだ

 ストレージのベンチマークにおいては、CPUと第2世代ハイスピードSSDを直結したVAIO Z Canvasが、Q32T1シーケンシャルリードにおいて約1,000MB/sec上回る好スコアを記録した。同じ第2世代ハイスピードSSDを、PCI Express x4で接続しているにもかかわらず、チップセット経由ではなくて、CPUに直結することでこれだけの差が出たわけだ。今後この方式をVAIOノートPCのスタンダードにしてもらいたいところだ。

 今回のベンチマークで個人的にもっとも衝撃だったのが、SDカードスロットの速度差。特にUHS-II対応のSDカードからVAIO Z Canvas、VAIO ZそれぞれのSSDへ読み込む所要時間において、約6倍もの速度差が生じたのは正直驚いた。仕事柄SDカードからPCに大量の画像ファイルをコピーする機会が多いので、これだけで買い替えを検討する気になってしまったほどだ。

 Adobe Premiere Pro CCで動画の実時間より、書き出すのにかかった時間の方が長いが、これは今回使用した編集済みデータに大量のエフェクトが設定されているため。そのため両機種の比較用の参考データとして捉えて欲しい。

 BBenchによる連続動作時間が、両機種とも振るわないが、これはキーストローク出力とWeb巡回を有効にしているため。オフィス書類の作成だけならもっと長く動作するであろうし、逆にひたすらRAW画像をエンコードしたり、動画を書き出したりすれば、もっと短い連続動作時間となるだろう。

8カ月待っただけの甲斐はあるマシン

 VAIO Z Canvasは高性能もさることながら、フリースタイルスタンド、独立したキーボード、プロ仕様の色再現性、そして端子を左側面に集中させるなど、現在入手できるWindowsタブレットとして非常に手の込んだ製品であることは間違いない。意地悪に重箱の隅を突つこうとしても、筆者にとってのマイナスポイントは膝置きで使用できないことぐらいしか見付からなかった。

 クリエイターは、作業にとことん集中するため、待たされる時間が極力少なくなる高性能PCを強く求める。そのような高性能マシンはこれまでも数多くあったが、その制作環境をいつでも持ち出し、出先でそのまま作業できるタブレットPCなどこれまでなかった。待たされず、場所に縛られず、作品の制作に没頭したいクリエイターにとって、VAIO Z Canvasは試作機公開から8カ月待っただけの甲斐はあるマシンに仕上がっていると言えよう。

(ジャイアン鈴木)