~Core i5-650搭載のコストパフォーマンスデスクトップ |
PC直販メーカーとしておなじみのマウスコンピューターは、ミドルタワーケースを採用する、拡張性と性能に優れたデスクトップ「MDV ADVANCE S」シリーズに、「Clarkdale」でおなじみの、Intelの最新デュアルコアCPU「Core i5-650」を採用した最新モデル「MDV-ADS7110B」を追加した。最新CPUをいち早く採用するとともに、CPU内蔵グラフィック機能ではなくビデオカードを搭載しながら9万円を切る価格を実現した、コストパフォーマンスに優れた製品となっている。
●Clarkdaleを採用も、P55マザー搭載で内蔵グラフィックス機能は利用されずMDV-ADS7110Bでは、CPUとしてコードネーム「Clarkdale」でおなじみの、「Core i5-650」を採用している。Clarkdaleは、多和田新也氏が詳しく解説しているように、CPU側にグラフィックス機能を統合した、Intelのメインストリーム向け最新CPUだ。
内蔵されるグラフィックス機能は、「Intel HD Graphics」と呼ばれるDirectX 10ベースのもので、3D描画能力やHD動画の再生支援機能などが強化されている。ただし、この内蔵グラフィックス機能を利用するには、「Intel H55 Express」などの対応チップセットが必要となる。MDV-ADS7110Bでは、チップセットとして「Intel P55 Express」を搭載したMSI製のATX仕様マザーボード「P55-SD50」が採用されているため、内蔵グラフィックス機能は利用できず、標準でNVIDIA GeForce GTS 250搭載のビデオカードが搭載されている。とはいえ、CPU内蔵グラフィックス機能を利用するよりも優れた3D描画能力が発揮されるため、ユーザーにとってはこちらの仕様の方がメリットが大きいと言える。
また、すでに発売済みである「Lynnfield」ベースのCore i5との違いとして、内蔵されるCPUの物理コア数の違いがある。LynnfieldベースのCore i5は、物理コア数が4個のクアッドコアCPUであるが、今回登場したClarkdaleベースのCore i5は、物理コア数が2個のデュアルコアCPUとなっている。そのため、パフォーマンスはLynnfieldベースのCore i5に劣る場面がありそうだ。ただ、ClarkdaleベースのCore i5ではHyper-Threadingが有効とされており、4スレッドの同時実行が可能となっているという点はLynnfieldベースのCore i5と同じだ。
今回試用したMDV-ADS7110Bのスペックは表にまとめたとおりで、これが基本スペックとなる。実際のパーツの型番も記載しているが、これは試用機に搭載されていたものであり、実際に購入した場合には、異なる型番のパーツが搭載される可能性があるため、参考として見てもらいたい。
もちろん、メモリ容量やHDD容量などはカスタマイズ可能となっており、購入時に用途に応じて自由に変更可能だが、マザーボードとビデオカードはスペックが固定となっている。ちなみに、MDV ADVANCE Sシリーズでは、搭載CPUによって細かく型番が分けられているため、CPUは細かな選択肢が用意されていないものの、1月8日現在で、Core i5 670に12,600円でアップグレードできるアップグレードキャンペーンが行なわれており、こちらへのアップグレードは可能となっている。
MDV-ADS7110B基本スペック(カッコ内は試用機に搭載されていたパーツ) | |
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CPU | Core i5-650 |
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 |
マザーボード | Intel P55 Express搭載マザーボード(MSI P55-SD50) |
ビデオカード | GeForce GTS 250、ビデオメモリ1GB(ECS NGTS250-1GMU-F) |
HDD | 1TB(Western Digital WD10EADS-M2D) |
光学式ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ(LG Electronics GH22NS40) |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit |
●拡張性に優れるミドルタワーケースを採用
MDV-ADS7110Bのケースは、以前取り上げた「MDV ADVANCE ST 7000B」で採用されていたものと同じ、内部拡張ベイが豊富に用意された、拡張性に優れたケースとなっている。
内部に用意されている拡張ベイは、5インチベイが3個(空き2個)、3.5インチベイが2個(空き2個)、3.5インチシャドウベイが3個(空き2個)と豊富だ。このうち、5インチベイの最下段はフロントI/Oパネルが取り付けられているとともに、3.5インチベイはフロントパネルに窓が用意されていないため、これら3つのベイは外部アクセス用途として利用できない点と、5インチベイ・3.5インチベイともに固定されているために、ケース両サイドのパネルを外さなければドライブの固定が行なえない点は少々残念だが、多数のHDDを搭載して運用するなど、拡張性は申し分ない。ちなみに、フロントI/Oパネルは、試用機ではブラックのものが取り付けられていたが、ブルー、レッド、シルバーの全4色から選択可能となっている。
ケース背面には、12cm角の排気ファンが取り付けられている。ファンの動作音は、静音性を追求したPCと比較するとわずかに気になるものの、マザーボードのファンコントロール機能によって、十分低いレベルに抑えられている。ケース前面にも12cm角ファンを取り付けるスペースが用意されているが、こちらには標準でファンは取り付けられていない。
電源ユニットは、HEC製の500Wユニット「HEC-500TE-2WX」が搭載されている。「80PLUS」認証を取得した電源ユニットで、消費電力的に有利な点は嬉しい。また、内蔵ファンの動作音も十分に静かで、うるさいと感じることはない。
●パフォーマンスも十分で、コストパフォーマンスは抜群
では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark Vantage Build 1.0.0」、「PCMark05 Build 1.2.0」、「3DMark Vantage Bulld 1.0.1」、「3DMark06 Build 1.1.0」、カプコンの「DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK」、「BIOHAZARD 5 BENCHMARK」の6種類だ。比較として、Core i7-860を搭載する「MDV ADVANCE ST 7000B」の結果を加えてあるが、OSが異なる(MDV ADVANCE ST 7000BはWindows Vista Home Premium SP2 32bit版)ため、参考値として見てもらいたい。
MDV-ADS7110B | MDV ADVANCE ST 7000B | |
CPU | Core i5-650(3.20GHz) | Core i7-860(2.80GHz) |
チップセット | Intel P55 Express | Intel P55 Express |
ビデオチップ | GeForce GTS 250 | GeForce GTS 250 |
メモリ | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 | PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2 |
HDD | Western Digital WD10EADS-M2D | Samsung HD753LJ |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit | Windows Vista Home Premium SP2 |
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a(MDV ADVANCE ST 7000Bは32bit版) | ||
PCMark Suite | 7416 | 5772 |
Memories Suite | 5182 | 4890 |
TV and Movies Suite | 3876 | 4634 |
Gaming Suite | 6026 | 7673 |
Music Suite | 5933 | 4571 |
Communications Suite | 10755 | 6070 |
Productivity Suite | 6020 | 4973 |
HDD Test Suite | 3517 | 3890 |
PCMark05 Build 1.2.0 | ||
PCMark Score | N/A | 10026 |
CPU Score | 9024 | 10095 |
Memory Score | 7605 | 10498 |
Graphics Score | 10086 | 17380 |
HDD Score | 5845 | 5755 |
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット | ||
3DMark Score | 6229 | 8140 |
GPU Score | 4957 | 6433 |
CPU Score | 26994 | 39842 |
3DMark06 Build 1.1.0 0906a 1,024×768ドット | ||
3DMark Score | 7701 | 15749 |
SM2.0 Score | 3134 | 6725 |
HDR/SM3.0 Score | 2893 | 6461 |
CPU Score | 3522 | 5029 |
Windows エクスペリエンスインデックス | ||
プロセッサ | 7.0 | 5.9 |
メモリ | 5.9 | 5.9 |
グラフィックス | 6.2 | 5.9 |
ゲーム用グラフィックス | 6.2 | 5.9 |
プライマリハードディスク | 5.9 | 5.9 |
DEVIL MAY CRY 4 BENCHMARK DX10 | ||||
1,920×1,080ドット、標準設定 | 1,920×1,080ドット MSAA:C16xQ Texture Resolution:SUPER HIGH Shadow Quality:SUPER HIGH Quality:SUPER HIGH | |||
MDV-ADS7110B | MDV ADVANCE ST 7000B | MDV-ADS7110B | MDV ADVANCE ST 7000B | |
SCENE 1 | 88.02 | 123.33 | 53.13 | 64.31 |
SCENE 2 | 68.55 | 98.98 | 37.29 | 46.47 |
SCENE 3 | 105.18 | 146.06 | 68.80 | 75.88 |
SCENE 4 | 52.88 | 86.22 | 36.69 | 48.61 |
BIOHAZARD 5 BENCHMARK | ||||
1,920×1,080ドット、標準設定 | 1,920×1,080ドット アンチエイリアス:C16XQ モーションブラー:オン | |||
MDV-ADS7110B | MDV ADVANCE ST 7000B | MDV-ADS7110B | MDV ADVANCE ST 7000B | |
ベンチマークテストA | 53.0 | 73.2 | 26.3 | 26.3 |
ベンチマークテストB | 61.7 | 62.2 | 25.1 | 28.7 |
OSが異なるうえに、64bit/32bitという違いもあるため直接の比較は難しいが、所々ではCore i7-860搭載マシンに匹敵する結果が得られており、全体としてはなかなかのパフォーマンスが発揮されていると言える。もちろん、基本的にはパフォーマンスは低くなっているが、89,880円と、9万円を切る価格で販売されていることを考えると、十分に満足できるはず。コストパフォーマンスはかなり優れると言っていいだろう。
Intel H55 Express搭載マザーボードを採用すれば、さらに低価格を実現できるとは思うが、描画能力とのバランスを考えると、Intel P55 Express搭載マザーボードの採用と、別途ビデオカードを搭載するという、MDV-ADS7110Bの仕様のほうが有利なのは間違いない。ホワイトボックスマシンは、付属アプリケーションはほとんどなく、大手メーカー製PCのような手厚いサポートもないが、PC中級から上級者にとっては、このシンプルさが逆に魅力となるはずだ。拡張性に優れ、将来のパワーアップも問題なく、コストパフォーマンスに優れたミドルレンジのデスクトップPCを探している人におすすめしたい。
(2010年 1月 13日)
[Text by 平澤 寿康]