ゲーミングPC Lab.

“全部入り”のゲーミングノート「ASUS R.O.G. G750JH」

〜ミドルレンジデスクトップを軽く凌駕するモンスターマシン

G750JH
発売中

価格:オープンプライス

 ASUSから、R.O.G.ブランドのハイエンド17.3型ゲーミングノート「G750JH」が発売された。実売価格は25万円〜32万円前後だ。非常に高価なノートではあるが、今回ASUSより1台お借りできたので、試用レポートをお届けする。

言わずと知れたR.O.G.ブランド、至れり尽くせりの仕様

 G750JHはASUSから発売されているノートPCで最上位に位置するモデル。R.O.G.(Republic of Gamers)ブランドを冠し、ゲームに必要な装備をフルで備えているのが最大の特徴だ。

 本体が到着してまず驚かされるのはパッケージの大きさである。G750JH本体は17.3型とノートPCとしては大型の部類に入るのだが、そのサイズを優に超え、24型ディスプレイでも入っているのかというパッケージで梱包されている。これは本体だけでなく、SteelSeriesヘッドセット、マウス、NVIDIA 3D Vision 2メガネに加え、キャリングバッグが付属するからである。

 G750JH本体のパッケージもその中に含まれているが、このパッケージは一般的な17.3型ノートの常識範囲内のサイズであり、ハンドルも付いているため、ハンドキャリーでなんとか持ち帰られそうである。しかし全体のパッケージを持ち帰るためにはキャリングカートが必要だろう。通販なら問題ないが、店頭で買うのであれば車での移動を推奨したい。

製品パッケージ
のりを横に並べたら、その大きさが分かるだろうか
これだけ多くの付属品があるのだから大きのは仕方ない

 まずは本体を見て行きたい。17.3型ということもありかなり大型だが、G750JHの本体サイズは410×318×58mm(幅×奥行き×高さ)と、フットプリントこそ他社の17.3型ノートPCとほぼ同等だが、とにかく後部が厚い。前面にかけて薄くなっているくさび形ではあるが、これは「薄く見せる」と解釈するよりも、「使いやすさのためにキーボードに傾斜がついて使いやすくなる」と解釈したほうが良さそうだ。

 天板を含む外装は梨地仕上げで、パームレストなどのフレームは金属の縦のヘアライン仕上げとなっている。全体的に直線的なデザインで、多角形が取り入れられており、ゲーミングノートらしいシャープな印象を受ける。

 重量は5kgとこれもヘビー級だが、ターゲットがモバイルではなく、ゲーミングデスクトップの置き換えなので問題はないだろう。とは言え、付属するキャリングバッグに入れて背負ってしまえば、(長時間はともかく)持ち運べなくもない印象だ。

 ゲーミングノートではあるが、イルミネーションは控えめである。キーボードは白色LEDバックライトのみで色や発光パターンを変更できないし、液晶のバックライトが天板のR.O.G.ロゴに漏れ出して光る程度である。インジケータを含むLEDすべてが白色のため、ゲーミングに派手さを求めるユーザーにとってやや物足りないかもしれない。しかし、サスペンド時の電源LEDが航空機のように「チカッ、チカッ」と短く点滅するのは、なかなか格好良い。

本体パッケージの付属品
天板。角張っており、存在感を強調させるデザイン
天板を開けば、R.O.G.のロゴがちゃんと下向きになる
本体を開いたところ
電源ボタンも三角形となっている
ヘアライン仕上げで高級感がある。Core i7とGeForce GTX搭載のシールも
キーボードバックライトも装備するが、カラーや発光パターンを変更できず、あくまでも実用目的が前提である
全体としても背面のロゴが光る程度の抑え目のイルミネーション
「ASSASSIN'S CREED IV BLACK FLAG」コラボモデルのため、十字キーの下にロゴをプリントしている

ゲーミングノートとしての使い勝手

 インターフェイスは、本体右側面がUSB 3.0×2、DisplayPort。HDMI出力、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、音声入出力、DC入力。左側面がUSB 3.0×2、マルチカードリーダ。基本的に右側面にまとめられているが、右利きでマウスを使うユーザーにとってはケーブルが邪魔になるため、左側の方が良かったと思う。

 排熱口は背面にあるため、排熱が手に当たることはなく快適に使えるし、ディスプレイを挟むため騒音からも遠ざけられる。さらに本機の特筆すべき点は、騒音が非常に小さいことだ。一般的にゲーミングノートと言えば、ゲーム中などの負荷時にファンが勢い良く回転し、ヘッドフォンをしないとゲームに集中できないぐらいの騒音になる。しかしG750JHは本体の厚みでヒートシンクも大型のためか、ファンの回転数は比較的低く、なおかつ騒音もかなり抑えられている。

 負荷時でも「一般的なノートPCかデスクトップがアイドルの時と同じぐらいの騒音」だと表現すればいいのだろうか、排気口に耳を近づけてようやく排気音が聞こえる程度である。これならば無理してヘッドフォンをする必要はないし、夜中ゲームしていても他人に迷惑を掛けることはなさそうだ。かなり優秀だと言っていいだろう。

本体右側面のインターフェイス。大半がこちらに集中しており、マウスを使う場合邪魔になるかもしれない
本体左側面のインターフェイス。光学ドライブが大半を占めるため、USB 3.0×2のみとなっている
本体前面にもLEDインジケータを装備
本体背面に排気口を備える
動作時は高負荷でも静かである
液晶上部にはWebカメラと3D Visionのエミッターを備える

 キーボードはフルサイズでピッチも確保されているため、ミスタイプせずにタイピングできるが、本体の厚みからするとややストロークが物足りないかもしれない。また、これだけのサイズであるにもかかわらず、DeleteとInsertが共有キーになっているのは気になった(Fnキー同時押し)。奥行きも幅も余裕があるので、次機では改善を望む。

 一方タッチパッドは十分なスペースが設けられており、マルチタッチによるジェスチャ操作も可能。とは言え、用途を考えれば付属のマウスを接続して使用することの方が多いため、さほどこだわらなくても良い部分でもある。

 液晶パネルの方式は明らかになっていないが、120Hzのリフレッシュレートや3D Vision 2の対応からするにTN方式と解釈した方がいいだろう。視野角は広めで、発色も鮮やかである。表面はグレア仕様とされており、映り込みはある程度あるが、バックライトの発光が強いため、使用中はそれほど気にならなかった。

 スピーカーは底面に設けられているが、ボリュームは十分であり、低音もこのクラスとしてはよく頑張っている。

キーボードはフル配列だが、一部キーはFnと共有。せっかく面積があるので、もう少し考慮しても良かったのではないだろうか
タッチパッドは大型で滑りもよく、長時間使用でも疲れにくい
液晶は比較的広視野角を実現している。色みも比較的正しく、調整する必要性を感じない

付属品のクオリティも上々

 続いては付属品を見ていく。

 付属のマウスは同社製の「GX850」がベースだとみられる。センサーはレーザー方式で、解像度は1,250/2,000/3,500/4,500/5,000dpiの5段階に切り替えられることから、Avago(Pixart)製ADNS-9500センサーを採用している可能性が高い。ボタンも付属のソフトウェアでカスタマイズが可能である。

 右手にフィットするエルゴノミクス形状であり、側面にラバー加工もされているため、ホールド感はなかなか良いが、ゴム風のホイールや、それほどこだわりが見られない塗装など、ノートPCの“オマケ”の域を出ない妙なチープ感が拭えない。正直30万円のゲーミングノートPCだから、せめて7,000円台のゲーミングマウスに対抗できる質感が欲しかったところである。

付属のゲーミングマウス。GX850をベースにしていると思われる
サイドボタンは上下配置となっている
エルゴノミクスデザインで握りやすいが、質感はもうひと頑張りして欲しかった

 ヘッドセットはSteelSeries製とされているが、「SIBERIA V2」がベースになっていると思われる。こちらは実売1万円前後のモデルで、デザイン/音質/装着感ともに良好だ。

 頭に装着した時は外側のバンパーは伸びず、内側のバンドから出ているワイヤーのようなものが伸びる仕組み。このため長時間着けていても「頭の上にプラスチックのような硬いものが乗っている」という感触はなく快適である。また圧着も適正で、長時間使用による蒸れも少ない。

 音の傾向としてはフラットでややドンシャリ気味だが、ゲームのみならず音楽鑑賞にも十分耐えうるクオリティである。ただし圧着が軽いことも影響してか、音が近くでズンズン鳴っている感じではなく、やや遠い印象。解像感や情報量も1万円の域を出ない。逆を言えば聞き疲れをしないため、個人的には好印象だ。

付属のSteelSeries製ヘッドセット。音質は比較的良い
マイクなどの付属品

 3D Vision 2のメガネはもう説明不要だろうか。2になってからメガネが大幅に軽量化し、長時間着けていても疲れにくくなったのは評価できる。画面も全体的に明るく、実用的だ。いくつかサンプルの画像を見てみたが、立体感も十分であった。

3D Vision 2
比較的軽量で、長時間の着用でも疲れにくい
3D Vision 2の付属品
3D立体視をしているところ
付属のバックパック
胸のところにバンドが付いてしっかり背中に密着できる本格タイプ
ノートPCを収めることが前提の設計のため、やや狭い
G750JHを収めたところ

デスクトップを凌駕する性能

 最後にスペックの紹介とベンチマークに移りたい。

 G750JHは3Dゲームをターゲットにしていることもあり、ノートPCとして考えられるほぼ最高のスペック詰め込んでいる。CPUはクアッドコア/2.4GHz駆動/最大3.4GHz駆動のCore i7-4700HQ、メモリは32GB、GPUにはKeplerアーキテクチャ最上位のGeForce GTX 780M(4GB)を搭載。メモリが標準で32GBというのはノートPCとして破格だろう。

 ストレージも、SSDを256GB、HDDを1TB搭載。BDXLドライブも装備している。採用されているSSDはLITEON(Plextor)の「M6S」で、これは国内未発売製品である。ベンチマーク結果は後述するが、M5Sの後継ということもあり性能は高い。

 ベンチマークは「PCMark 7」(グラフ1)、「ファイナルファンタジーXIオフィシャルベンチマーク3」(グラフ2)、「3DMark」(グラフ3〜5)、「SiSoftware Sandra」、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(表)を採用。比較用に、筆者が普段使っているマウスコンピューターのゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i300」の結果も載せてある(ただし、こちらはGPU利用時でもTurbo Boostが有効になる改造版BIOSを適用済み)。

 また、G750JHは省電力ソフトウェアとして「Hybrid Power 4 Gear」を搭載しており、容易に省電力プリセット、高性能プリセットを切り替えられるようになっている。Sandraの結果を見る限り、CPUまたはGPUどちらか一方のベンチマークを実行する分には最高性能が出せるようになっているが、CPUとGPU両方を駆使するベンチマークでは、約10〜30Wほどの消費電力制限が課せられ、クロックなどを低下させるようである。このため双方のベンチマーク結果を掲載する。

G750JH(省電力) G750JH(高性能) NEXTGEAR-NOTE i300
Sisoftware Sandra
Dhrystone 141GIPS 140GIPS 85GIPS
Whetstone 81.28GFLOPS 82GFLOPS 66.68GFLOPS
Graphics Rendering Float 768.44Mpixel/sec 763.92 Mpixel/sec 536.8 Mpixel
Graphics Rendering Double 83.81Mpixel/sec 83.47Mpixel/sec 30.83Mpixel
ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編
最高品質(G750JHはフルHD、i300は1,366×768ドット) 8,055 8,789 3,887

 いずれのベンチマークも優秀で、ノートPCとして破格の性能を実現しているのがわかる。PCMark 7のような総合ベンチマークから、3DMarkのようなゲーミングベンチマークまで万遍なく優秀なスコアで、ビデオカードを搭載する12〜15万円台のハイミドルレンジのゲーミングデスクトップに匹敵する性能を持っている。

 消費電力は、省電力モード時のアイドルが33W、最大負荷が160W。高性能モード時のアイドルが63W(輝度が100%になるので、30%に抑えると57W)、最大負荷が173Wだった。性能からしての消費電力はむしろ低く、電力性能比はかなり良い。

 高性能モード+輝度30%時のバッテリ駆動時間をBBenchで計測したところ、約3.1時間駆動した。本体サイズと性能、用途を考え、これまでゲーミングノートと言うと1.5時間〜2時間しか駆動できなかった常識からすれば十分だろう。HaswellとKeplerの最新プロセス技術が功を奏したと言える。

 価格面でまったく比較にならないことを踏まえて述べておくと、AMDのA10-6800Kの約2倍〜4倍の性能である。A10-6800Kは一般的に最新の3Dオンラインゲームを快適に走らせられるだけの実力を持っていると思うが、G750JHはそれらはもちろんのこと、かなりのハイエンドゲームまで快適にプレイできるだけの実力を持っているということだ。

“身軽なヘビーゲーマー”にオススメ

 G750JHは本来、自身のPCを持ち寄ってゲームをする「LANパーティー」で活躍できるマシンで、そのために無線LANと有線LANコントローラに低レイテンシ/パケット処理をオフロードできる「Killer」シリーズを採用している。しかしLANパーティーの文化がない日本では、インターネット越しでネットワークゲームをするのが一般的であり、Killerの性能や、G750JHが持つ性能重量比も活かせない。

 しかしながら日本は住宅事情が厳しく、欧米のようにゲームをプレイするためだけのスペースを確保するのはなかなか難しい。1人暮らしでワンルームなら尚更である。その点G750JHは大容量メモリやストレージ、高速なCPUやGPUを搭載しており、常用からゲームまで1台で完結でき、なおかつ煩雑なケーブル配線がなく、近い将来まで増設に悩む必要もなさそうである。ライフスタイルの変化が多いゲーマーに胸を張ってオススメできる製品だと言えるだろう。

(劉 尭)