山田祥平のRe:config.sys

「上がる」と「上げる」OSのバージョン




 iOSのバージョンが上がり、iOS 6となった。その一方で、来月にはWindows 8の発売も決まっていて、これもバージョンを上げることになるだろう。手元の端末では、GALAXY NoteがICSことAndroid 4.0へのバージョンアップをキャリアの都合で保留中だ。各種のデバイスごとに、立派なコンピュータなので、OSがバージョンアップされるごとに上がる、上げるを考えることになる。

●メジャーバージョンアップにしては代わり映えしないiOS 6

 19日深夜、ヤマをはっていた時間通り、午前2時に新しいiPadでソフトウェアアップデートを試みるとOSの新しいバージョンが見つかり、そのままOTAでアップデートを試みた。ダウンロードに50分、アップデート処理に15分くらいといったところだろうか。引き続き、第4世代(正確には追加モデルの第3.5世代相当)のアップデートも試みる。こちらはダウンロードに1時間、アップデートにも1時間を要した。手元には、これらのほかに2台のiOS端末がある。第1世代のiPod touchと初代iPadだが、どちらもバージョンアップの対象外となっているのであきらめるしかない。このあたり、Appleという会社は過去の製品をバッサリと切り捨てるあたり、ある意味で潔い。

【お詫びと訂正】 初出時に「第2世代iPod touchのアップデート」としておりましたが、第4世代の誤りです。お詫びして訂正させて頂きます。

 iOS 6の印象としては、あまり変わった感じがしないといったところだろうか。ただ、以前、購入時の様子をこのコラムに書いたのだが、そのときとちょっと様子が違う。試しにドコモのSIMを入れてみたのだが、以前は表示されなかったインターネット共有の項目が存在し、ちゃんとオンすることができるし、他の端末からそのSSIDへの接続もできる。インターネット共有用のAPNを指定しても、次にその設定ページを開くと消えてしまっているし、他デバイスからの接続はできてもIPアドレスがもらえずアクセスポイントとしては機能しない。これはもう少し追試が必要だ。

 大きく変わったのは、やはりマップアプリだろう。Googleマップではなく、Apple独自のものに入れ替わっている。日本の地図はインクリメントPが提供しているようだが、Twitterのタイムラインではひどいというコメントが次々に流れてくる。確かにひどい。まあ、Googleマップはブラウザでも使えるし、ブラウザで使った方が、PCやAndroidデバイスとの間で、スターの同期などもできるので、かえって便利かもしれない。Googleが独自に地図アプリをリリースするまで、あるいは、Appleの純正マップがマシなものになるまでは、何らかの方法で、地図難民にならないようにしなければなるまい。

 その他については、思ったよりも大きな変更がない。ところどころ設定ページが変わっていたりはするものの、5から6へのメジャーバージョンアップという印象は薄い。Facebookとの統合も、なるほどそうですかといった感じで拍子抜けしてしまった。

 いずれにしても、バージョンアップを拒む理由は見当たらない。上げるというよりも、上がるという感じで受け入れるしかなさそうだ。

●バージョンアップの無償と有償

 iOSは、初代のiPod touchにおいて有料のバージョンアップもあったが、今は基本的に無料だ。Andoroidも同様で、今までの端末は無償でバージョンが上がり、その結果として、ユーザーはさまざまなメリットを享受することができてきた。

 今回のiOS 6は、それほど大きなバージョンアップであるようには感じられないが、きっとカーネルなどには大きく手が入っているのだろう。iOSも、これだけ多くの人に使われるようになり、ルック&フィールは変えられない部分もあるに違いない。このあたりはAppleにとってはジレンマでもあるだろう。でも、ハードウェアの互換性という点では、思い切りよく以前の製品を切り捨てることに成功している。

 それに対してWindowsはどうかというと、こちらのバージョンアップは基本的に有料だ。今回のWindows 8はかなり安い価格が設定されると予想できるが、バージョンが上がるというよりも、バージョンを上げるか上げないかをユーザー自身が判断することになるし、その結果、バージョンを上げる場合は、ある程度の経済的負担が求められる。

 こうしてPCでは、異なるOSの世代と、過去のしがらみともいえる以前のハードウェアとの後方互換性などがきまじめに維持され、まるでスパゲッティのようにあらゆる環境が混在してしまう誘因になっている。

 もし、MicrosoftがiOSやAndroidのように、Windowsのバージョンアップを無償提供していたとしたら、Windows XPがここまで長く使われることもなかっただろうし、過去のしがらみに苦しめられるようなこともなかったかもしれない。もちろん、OSの開発費用はタダではないので、何らかの方法で回収する必要があるわけだが、新規購入されるPCには基本的に最新OSという原則を通していれば、バージョンアップは無償提供しても、以前のバージョンの保守コストがかさむことを相殺できたかもしれない。

 もちろん、Appleも、iOSは無償バージョンアップしているが、Mac OSについては有償だ。そこは、モバイルデバイスとPCとの文化の違いのようなものなのだろうか。

 特に、今回のWindows 8は、タッチスクリーンを持たないPCでは、単に使いにくいWindows 7のような環境でスタートを切るしかない。モバイルデバイス的なハードウェアでは、タッチスクリーンの厚さで1〜2mm、その重量で100gは増量してしまうからやっかいだ。また、デスクトップ環境では、20型を超えるような大きなスクリーンでタッチGUIを使おうとする場合、腕の長さが使い勝手に大きな影響を与える。腕の長さよりも遠い位置で見たくなるほどの大きなスクリーンでは、タッチしようにも手が届かないのだ。そのあたりの整合性も考えなくてはなるまい。

 もっともMicrosoftはWindows 8をタッチだけではなく、マウスとキーボードでも使いやすいOSであるとしている。それはわかっているのだ。でも、きっと、慣れるまでは大変だろう。慣れたようとするにも、魅力的なアプリがなければ、そのためのモチベーションもわかない。かつてMetroと呼ばれた環境用のアプリが、少しでも早い時期に充実してくれることを願うばかりだ。