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Dell、ビジネス向けOptiplexをWindows 10搭載で刷新、新たにクラウドプリンタも投入

~米テキサス州オースティンで開催された「Dell World 2015」をレポート

左から、ミニタワーの「OptiPlex 7040」、スモールフォームファクタの「OptiPlex 7040」、マイクロフォームファクタの「OptiPlex 3040 Micro」

 米Dellは、ビジネス向けPC「OptiPlex」を5年ぶりに刷新するとともに、クラウドを通じて外出先からの容易なプリントアウト操作が可能なクラウドプリンタ「Hシリーズ」を発表した。

 さらに、VMware向けのゼロクライアント「Wyse 5050 AIO」も発表した。これらの製品は、Dellがテキサス州オースティンで10月21日から開催したプライベートイベント「Dell World 2015」の展示会場で初めて公開された。

Dellのチーフ・コマーシャル・オフィサーのマリウス・ハース氏

 Dell World 2015で取材に応じたDellのチーフ・コマーシャル・オフィサーのマリウス・ハース氏は、「EMC買収の発表以降、一部報道ではPC事業の売却などが取りざたされているが、DellはPC事業の売却は一切考えていない。PC市場は縮小傾向にあるが、その中でDellはシェアを伸ばしている。現在でも、全世界で18億台のPCが利用されており、そのうち6億台が4年以上前のPC。今後も大きな買い換え需要が想定される。PC事業を継続することは、CPUやメモリ、HDDの調達といった点でも規模の経済が働き、大きなメリットがあると考えている。PC事業を売却した企業がサーバー事業で成功した試しがない。HPも同じようなミスを犯すだろう。縮小する市場の中では、他社のシェアを取りに行くことになる。Dellはシェア拡大によって、PC事業を継続していく」と述べた。

 新たに投入したOptiplexの新製品は、Windows 10を搭載。3040/5040/7040という3つの製品ラインで構成される。また、マイクロフォームファクタ、スモールフォームファクタ、ミニタワーの筐体を用意しているほか、一体型タイプも品揃えしている。いずれも、小型化を図る一方、第6世代のIntelプロセッサによる性能向上とともに、高いエネルギー効率を実現しているのが特徴だ。

 また、Intel vProテクノロジと、Client Commandスイートによる高い管理性を実現。同社独自の「Dell Data Protection」を搭載することで、暗号化や認証機能、マルウェア阻止機能などを実現し、「世界でも最もセキュアなビジネス用デスクトップになる」と位置付けている。プロサポートプラスの利用も可能になる。

 OptiPlex 7040では、第6世代のIntelプロセッサを搭載。5年前の同製品と比較して、最大で70%の性能向上を実現しているほか、前モデルと比較して、最大2倍のメモリ容量、4倍のストレージ容量を可能としている。拡張性を追求するとともに、エンタープライズクラスの高度な管理とセキュリティ機能を搭載。ディスクリートGPU、デュアルHDDを搭載している。

 スモールフォームファクタモデルでは、電力消費を最大63%削減。バックグラウンドシステムの騒音を最大32%軽減できるという。

スモールフォームファクタの「OptiPlex 7040」。こちらもケースは簡単に開けることができる
スモールフォームファクタモデルの内部の様子

 マイクロフォームファクタの「OptiPlex 3040 Micro」では、Uniteソフトウェアの採用により、ワイヤレス接続でのコラボレーション機能や会議機能を提供。最大60%の電力消費を実現している。液晶ディスプレイ背面に本体を取り付けることが可能であり、オフィスにおける省スペース化も実現。「1万台のデスクトップPCを、マイクロフォームファクタモデルに置き換えれば、設置面積を約715平方m以上縮小できる。コラボレーションを重視した未来志向のオフィスの実現に繋がる」としている。ツールレスの設計としており、保守性も高めている。

マイクロフォームファクタの「OptiPlex 3040 Micro」
ディスプレイの背面部に取り付けることもできる
ケースを開けた状態。ツールレスで開けることができる
HDDやファンなども簡単に取り外しができる

 さらに、ミニタワーは、従来モデルに比べて43%の小型化を実現。ケース内部の一部を可動式の構造とすることで、拡張性と保守性を高めている。

「OptiPlex 7040」のミニタワーモデルも開閉が容易だ
ケース内部の一部が開くようになっており、保守性を高めている
青い色の部分が取り外したり、稼働したりする部分
奥にある黒いケースが従来モデルの「OptiPlex 9030」。それに比べて43%の小型化を実現した

 OptiPlex 5040では、クラス最高のセキュリティと管理性を備えた製品で、高い性能を実現するフル装備のビジネス用デスクトップと位置付けている。OptiPlex 3040は、エントリーモデル並みの低価格化を実現しながら、クラス最高のセキュリティ、管理性、高性能を実現したという。

 一体型では、23.8型フルHDディスプレイと、オプション選択可能な4KウルトラHDディスプレイによる「OptiPlex 24 7000オールインワンシリーズ(7440)」と、19.5型あるいは21.5型のディスプレイが選択できる「OptiPlex 22 3000 オールインワンシリーズ(3240)」を投入する。

 同時に発表した「Wyse 5050 AIO」は、23.6型のフルHDディスプレイを搭載した一体型のシンクライアントで、PCoIPの採用や、USBポートによる周辺機器との相互運用性を実現。高解像度3DグラフィックやCAD、ビデオ編集などの先進アプリケーションをサポートするという。Wyse Device Managerによりハンズオフ管理やリモート管理を実現している。iOS 9およびWindows 10のサポートも実現した。

筐体は4種類。一体型モデルも用意されている

 一方、新たに投入したクラウドプリンタ「Hシリーズ」は、Dell Document Hubを搭載することで、EvernoteやDropbox、Google Drive、Salesforce、Boxなどの複数のクラウドストレージサービスに同時アクセスでき、ドキュメントの共有と印刷を容易にしたのが特徴。社員数やプリンタ利用者が5人以下の零細企業や、中小企業、あるいは大手企業の部門利用などをターゲットとしているもので、オンラインコラボレーションのニーズに対応した製品と位置付ける。

 Hシリーズは、プリンタ機能のほか、スキャン、コピー、FAXの機能を搭載したマルチファンクションプリンタで、25ppm出力が可能な399ドルの普及モデル「H625cdw」のほか、上位モデルの「H825cdw」および「H815dw」が用意されている。

上位モデルとなるクラウドプリンタ「Hシリーズ H825cdw」
普及モデルの「Hシリーズ H625cdw」
トナーの交換も容易にしている
前面部から給紙することができる

 Wi-Fi接続により、PC上のアプリケーションからDocument Hubにアクセス。AndroidおよびiOSデバイスに対応しており、外出先のモバイルデバイスからのアクセスも可能だ。

 同社では、従業員の64%が業務の一部を自宅で行ない、デスクトップユーザーの半数は、別のデバイスを利用しているという結果があることを示しながら、「企業においては、従業員が、居場所や使用デバイスの種類を問わずに、オフィスのプリンタに接続したいというニーズが増加している。Dell Document Hubは、全面的に自動化されたマネージド・エンタープライズ・モビリティ・ソリューションによって、印刷機能を提供するものになる」とした。

 また、Dell Document Hubを搭載してない多機能プリンタ「Sシリーズ」も発売した。「S2825cdn」、「2815dn」の2機種を用意。大規模法人が求める強固なセキュリティを提供できるよう設計されているという。

 なお、同社では、Optiplexの新製品およびクラウドプリンタの国内投入時期については、改めて発表するとしている。

(大河原 克行)