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鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第100回:11月22日~11月26日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


11月22日

■■エプソンダイレクト、静粛性を追求した省スペースデスクトップなど
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991122/epsond.htm

ディスプレイキャッシュ(display cache)

 Intel 810チップセットがサポートする、Zバッファ用のメモリ。
 バリューPC向けに開発された810チップセットは、CPUとメモリ周りの機能を受け持つコントローラチップ側にグラフィックスコントローラを統合し、システムのローコスト化を計っている。従来のシステムでいうノースブリッジに相当するこのチップをGMCH(Graphics Memory Controller Hub)といい、グラフィックス用のメモリにはメインメモリの一部を使用するスタイルが採られている。これは、Pentium用の430VXチップセット時代にIntelがSMBA(Shared Memory Buffer Architecture)と呼んでいたものと同様の機能だが、810では、アプリケーションの要求に応じて動的にメモリを割り当てるところから、Dynamic Video Memory Technology(D.V.M.T.)と呼んでいる。

 基本的にはグラフィックスメモリを持たない810だが、3Dグラフィックスの隠面消去(※1)に使用するZバッファ用に、4MBのSDRAMを搭載できるチップも用意。3Dグラフィックスの描画時に頻繁にアクセスするメモリをローカルで持たせることにより、メインメモリの占有を最小限に押さえつつ、描画の高速化を狙っている。このZバッファ用のメモリを、ディスプレイキャッシュと呼んでいる。

(※1)重なり合った物体の中から、見える物だけを画面に描画していく手法。Zバッファは、描画した物体の奥行き方向の位置情報を格納しておくメモリで、この値を比較して、前面に来る部分だけを上書きしていく。


11月25日

■■法林岳之の非同期通信レポート第49回 COMDEX/Fall '99
  ~ COMDEX/Fall '99で見かけた通信関連製品 Part2 ~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991125/comdex25.htm

G.lite
ジーライト

 フルスペックのADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)とともに、'99年にITU-Tの標準勧告(G.992.2)となった簡易型のADSL。

 ADSLは、アナログ電話用に敷設されている既存のケーブルを使って、高速なデータ伝送を実現するための技術の1つである。お馴染みのISDNもまた、電話線をそのまま使うタイプだが、ISDNが双方向128kbpsを広範囲(局からの距離)に渡ってサポートするのに対し、ADSLは一定のコンディション(局から数km)を前提に、Mbpsクラスの非対称な高速通信環境を提供。単独でケーブルを占有してしまうISDNと違い、既存の通信との併用も考慮されている。これは、ADSL側の通信を既存の通信で使用しない高い周波数帯域で行なっているからで、フルスペック版のADSL(G.992.1)では、信号を分離するためにスプリッタ(splitter)という帯域分割装置を使用。7Mbps(下り方向最大)の伝送速度を実現している。

 G.liteは、このスプリッターを使わない簡易版で、ADSLの標準化団体ADSL Forumのワークグループ「UAWG(Universal ADSL Working Group)」が基本仕様を策定していたものである。下り方向の伝送速度は1.5Mbps(上り方向は512kbps)に制限されるが、スプリッターが要らない分モデムが安価に製造でき、設置も簡単に行なえるため、一般向けのADSLとして大いに注目されている。なお、G.liteでは、帯域分割による多重化を行なうDMT(Discrete Multi-Tone)という変調方式が採用されているが、国内の場合には、一部がISDNと干渉する可能性がある。このような、各国の通信事情に合わせた仕様に関しては、規格の付記として規定されているので、国内の場合は日本の回線仕様に準拠した製品が必要となる。

□ADSL Forum
http://www.adsl.com/
□ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication
Standardization Sector~国際電気通信連合電気通信標準化部門)
http://www.itu.int/ITU-T/
【参考】
□ADSL
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980202/key16.htm#ADSL
□xDSL
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980519/key30.htm#xDSL


11月26日

■■パイオニア、DVD-RWを採用した25万円のDVDレコーダ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/991126/pioneer.htm

CGMS(Copy Generation Management System)

 ビデオ用のコピー制御機構。
 オーディオ用のデジタルインターフェイス(S/PDIF)がサポートするSCMSのビデオ版で、アナログインターフェイス用のものをCGMS-A、デジタルインターフェイス用のものをCGMS-Dという。

 ビデオやオーディオ信号は、通常の再生かコピーかを出力側で判断することができない。そこで、信号に複製制御情報を埋め込んで出力し、受け取る機器側でそれを適切に運用してもらう方式がしばしば用いられている。CGMSやSCMSは、それを行なうための機構のひとつで、プレーヤー側が「コピー可」、「1世代だけコピー可」、「コピー不可」といた情報を再生信号に埋め込んで出力。レコーダー側がこれをチェックして、録音/録画操作を許可するか否かを決定する。単にコピーできない信号を生成するのではなく、可否の制御や孫コピーの防止を制御するものだが、あくまで受け取る側次第という弱い面もある。

 なお、CGMS-Aは、VBI(Vertical Blanking Interval)にIDを重畳するところから、VBIDと呼ばれることもあり、EIAJの規格となっている(CPR-1204)。

□EIAJ(Electronic Industries Association of Japan~社団法人日本電子機械工業会)
http://www.eiaj.or.jp/
【参考】
□SCMS(Serial Copy Management System)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990401/key71.htm#SCMS
□S/PDIF(Sony Philips Digital Interface Format)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980617/key34.htm#S/PDIF
□VBI(Vertical Blanking Interval)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980331/key24.htm#VBI


マクロビジョン(Macrovision)

 著作権保護機構の開発ベンダー、および同社が開発した著作権保護技術。

 VHSやDVDなどの市販のビデオソースや衛星放送などで広く用いられているコピーガードシステムで、ビデオデッキのAGC(Automatic Gain Control)を誤動作させることにより、出力ソースを正常に録画できないようにする。

 AGCは入力信号の利得(gain)を自動調整し、適切な感度を保つための回路で、民生用のVTRは、ほぼ間違い無くこの回路を備えている(カラー調整用のものはACC[Automatic Chroma Control]と呼ぶこともある)。

 映像信号は、輝度信号、色信号、走査用の同期信号、カラーバースト信号(※1)などから成る(※2)。時間軸上では、1走査分の輝度/色信号が水平ブランキングと呼ばれる若干のインターバルで区切られており、ここに、水平同期信号とカラーバースト信号を格納。1フィールドごとに入る垂直ブランキングに垂直同期信号が格納され、これらを使って走査のタイミングとカラー信号の復調を行なっている。マクロビジョンは、輝度/色信号部分はそのままに、ブランキング部分に間違った信号を混入させることによって、VTRの同期やAGCを誤動作させている。

(※1)色信号を復調するための基準信号(3.58MHzの副搬送波)。
(※2)通常のコンポジットビデオは、これらをひとつに重畳(互いに干渉しないように合成)した信号。

□Macrovision Corporation
http://www.macrovision.com/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp