鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第71回:3月23日~3月26日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


3月25日

■■ソニー、家庭内デジタル・ネットワーク構想に基づく音楽配信システム
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990325/sony.htm

SCMS(Serial Copy Management System)
スカムズ、エスシーエムエス

 民生用のデジタルオーディオ機器が装備する、デジタルコピーの制御機構。
 デジタルオーディオインターフェイス(DAI~Digital Audio Interface)は、デジタル化されたオーディオデータとともに、データや機器などに関する様々な情報を転送できるように設計されている。民生機が使用しているフォーマット(※1)では、この情報の中に著作権保護の状態を示すビットとオリジナルソースなのかコピーなのかを示すビットが用意されており、これを使用して複製制御情報(CCI:Copy ControlInformation)を転送。録音機側で録音の可否を決定する仕組みになっている(※2)

 実際の運用では、一般的な音楽CDやデジタル放送などをデジタル録音した場合には、データは「保護されたコピー」として扱われ、このメディアからのデジタル出力に対しては、録音機器は録音を拒否(コピー不可)。デジタル経由で、2世代目のコピーが作成できないようになっている。著作権状態が不明確なアナログ録音の場合には、「保護されたオリジナル」として扱われ、1回だけデジタル経由でコピーすることができる(1世代のコピー可)。通常はこのいずれかの運用になるが、ソースが保護を主張していない場合には、デジタルコピーは何世代でも可能である(コピー可)。

(※1)S/PDIF (Sony Philips Digital Interface Format)と呼ばれている。

(※2)複製制御情報はCDやMD、DATなどに記録されることはいうまでもないが、MPEGのビットストリームにも予め同様のものが用意されている(それが正しく扱われているかどうかは別)。

【参考】
□S/PDIF
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980617/key34.htm#S/PDIF



 
5C(Five Company)
ファイブシー

 日立、Intel、松下電器産業、ソニー、東芝の5社が共同で開発し'98年に発表した、デジタルコンテンツの保護技術。IEEE-1394(※1)を使って接続したデジタルデバイス間で、データを暗号化してやりとりする規格で、DTCP(Digital Transmission Content Protection)、5C DTCPとも。

 民生用のデジタル機器に使われていたこれまでのコピープロテクション(SCMS)は、生のデジタルデータに保護情報を付加して送り出すだけの仕組みであり、それが正しく機能するかどうかは、信号を受け取る側に強く依存していた。保護機構の備わっていない相手や、それを改ざんしてしまうような機器に対しては、手の打ちようの無い規格だったのである。

 5C DTCPでは、保護されたデータのやり取りに先立ち、まず受信側が保護情報を正しく扱える機器であるかどうかの認証を行ない、保護機構が備わった相手とキーを交換。送信側はデータを暗号化して送り、受信側でそれを復号化することによって、非認証機器からデータを保護するようになっている。SCMSと同様、複製制御情報をやりとりする機能も備わっているので、コピーを禁止したり1世代のみ許可したりといった制御も可能である。

(※1)Apple Computerが中心となって開発した高速なシリアルインターフェイス規格。IEEE-1394は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)によって'95年に承認された規格書の名称で、Apple系では以前から用いていた「FireWire」、家電系では、ソニーが'97年に提案した「i.LINK」の名で呼ばれることが多い。DV機器が備えているDV端子も同規格のインターフェイスである。

□DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)
http://www.dtcp.com/
【参考】
□IEEE-1394
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971118/key7.htm#ieee1394



 
■■エプソン、消費電力70mAのGPSカードを開発
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990325/epson.htm

NMEA(National Marine Electronics Association)

 船舶向け電子機器の製造業者やディーラーが集まって'57年に設立した業界団体。およびそこで標準化された規格。

 GPS(Global Positioning System)機器のカタログなどにしばしば登場するのは、同協会が'83年に策定した「NMEA 0183 Interface Standard」のことを指す(最新版は'98年のVer.2.30)。この規格は、船舶用の電子機器を相互に接続するための機械的/電気的仕様や信号特性、プロトコル、データフォーマットなどを規定したもので、GPSレシーバーのインターフェイスとして、同規格のシリアルインターフェイスやデータフォーマットを採用している機種も多い。

 NMEA 0183のインターフェイスは、標準的なシリアルインターフェイス(※1)で、通信速度は4,800bps。データフォーマットは、項目間をカンマで区切り、1レコードを改行(CRLF)で終端したいわゆるCSV(Comma Separated Value)形式で、各レコードの先頭に内容を示す「$」で始まるキーワードを付け、それに続く項目に、例えば経緯度情報などを所定の順番で格納するようになっている。

(※1)規格ではEIA-422を使用する。

□NMEA(National Marine Electronics Association)-ドキュメントは販売のみ
http://www.nmea.org/
【参考】
□GPS
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980310/key21.htm#GPS



 
RTCM(Radio Technical Commission for Maritime Services)
アールティーシーエム

 米国海上無線技術協会、およびそこで標準化された勧告。
 DGPS(Differential GPS)で使われるのは、同協会のSC-104委員会(Sub Committee 104)が標準化した「RTCM Recommended Standards for Differential Navstar GPS Service」という規格(RTCM SC-104)で、同規格はITU-R(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector~国際電気通信連合無線通信部門)のM.823にも採用されている。

 衛星が発信する時刻と軌道の情報を受信して、測定局の現在位置を算出するGPSでは、電波の状態(電離層や大気による遅延)やレシーバ自信の時計の誤差などの影響を強く受ける。また、一般に開放されているGPS用のサービス(SPS:Standard Positioning Service)では、レシーバーの精度誤差が100m程度になるように、予め衛星の信号がコントロールされている(※1)。DGPSは、この精度を上げる方法のひとつで、正確な位置のわかっている基準局で実際の経緯度とGPSの測定結果とを比較。測定局にその差分情報を提供することによって、測定局側で受信データを補正し、より正確な位置情報を得ようというもので、RTCM SC-104は、海上ビーコン波を使ってこのDGPSサービスを提供するためのプロトコルやデータフォーマットを規定している。実際に行なわれているサービスには、ビーコン波以外にもFM多重放送や通信回線など様々な形態があるが、使用するデータフォーマットとしては、このRTCM SC-104に準じたものがよく使われており、RTCMのデイファレンシャルデータと呼んでいる(実際のフォーマットには、いくつかのタイプが規定されている)。

(※1)Selective Availability(SA)といい、誤った情報を織り混ぜて精度を落としている。


3月26日

■■AKIBA PC Hotline! HotHotレビュー by Ubiq Computing
  ~Dual Celeronブーム到来か? Soltek製変換アダプタの登場~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990326/hotrev03.htm

Retention Kit
リテンションキット

 Pentium IIやIII、CeleronなどのCPUを、マザーボードに固定するためのガイドレール。

 一部のCeleronを除くPentium II以降のCPUでは、ピンが剣山のように並んでいる従来のPGAパッケージに代わり、CPUを取り付けた拡張カード(あるいはそれをケースに納めた)スタイルのパッケージが採用された。マザーボードへの装着方法は、ソケットにピンを挿すスタイルから、スロットにカードエッジコネクタを挿すスタイルになったわけだが、拡張カードと同じように、マザーボードに垂直にセットするため、そのままでは強度的に問題がある。そこで、スロットの両端にガイドレールの付いた固定具をセットし、モジュールを支えるスタイルをとっている。この固定具をリテンションキット、あるいはリテンションモジュール、リテンションツールなどと呼んでいる。

 なお、Pentium IIのSECC、CeleronのSEPP、Pentium IIIのSECC2は、同じスロットを使用するものの、パッケージの形状が異なるため、装着には、それぞれのCPUに合ったリテンションキットが必要となる。後発の製品に関しては、これらいずれにも適合するように作られたユニバーサルタイプのものもある。

【参考】
□SECC(Single Edge Contact Cartridge)
□SEPP(Single Edge Processor Package)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980624/key35.htm#SECC
□PGA(Pin Grid Array)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980113/key13.htm#package

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp