スタパ齋藤

パーソナルユースならこれでOK!! NEC PetiScan



■ 久々にオオッと思った、が……

NEC PetiScan、34,800円。USBインターフェイスから電源供給可能な、A5サイズスキャナ。300dpiの解像度を持つ
 今回紹介するのは、NECがけっこう前に出したUSBインターフェイス用スキャナのPetiScan。A5サイズ(外形寸法は215×140×36mm)で、重量約約600g。しかも電源はUSBポートから取っている。ケチのつけようがない感じの、非常に合理的なパーソナルユース向けスキャナである。  で、コレが発売されたと同時に、俺はウッと思って物欲がマキシマムまで上昇し、例によって気絶した。そして気づいてみたら、俺の机上にはPetiScanが……なかった。
 なーんか俺はNECのハードウェアとはすれ違いが多く、初期型のモバイルギアの時も、98NXのときも、買いたいと思って買う気だったけど、結局なんだかんだ(在庫切れとかちょっとしたテンションの下降など)で、買うに至らなかったり、かなり後になってから買ったりした。その理由でわりと大きかったのが、NECというブランドに対するある種の安心感だと思う。

 NECと言えば、98シリーズを多量に売っているし、携帯電話とかプリンタとかディスプレイとか、とにかくいろんなハードウェアを売りまくっていて、空気のような、そこにあって当たり前の定番的メーカーという印象がある。それからこんなモノ( http://www.hpc.comp.nec.co.jp/sx5/
)まで作っているから、儲かっちゃってるし、いつでもどこでもすぐに遭遇できる近しいメーカーという気がしている。俺にとってNECの製品は、焦らなくても逃げないし、品薄にならないし、いつでもそこにある存在、という感じだ。なので、PetiScanが登場した時も、思いっきり欲しいとは思ったが、労せず手に入るだろうという安心感があった。まっ、そのうちどっかでPetiScanに遭遇するんだ俺はきっと、という感じだ。

 しかし、けっこう長い間、PetiScanに遭遇できなかった。ここ1カ月ほどは、PetiScan~PetiScan~PetiScan~と頭の中で念じながら積極的にショップを回ったが、なかったのである。

 ところが一度、1台だけ発見したことがあった。俺は、オッあったゼやっとあったよ速攻で買いだよ買うしかねえよ、と思ったが、よく見ると現品限りの表示が。つまり箱から出されちゃってお客の指紋がいっぱい付いちゃったPetiScan。指紋が多少付いてたってちゃんと動くのだから、割り切ってそれを買えばよかったのだが、なーんか俺は買わなかった。買ってしまうと妥協した感じっていうかなんか敗北した残念さを味わいそうだったからだ。

 が、これが、またもやのNECとのすれ違いになった。あの展示品を見てから半月以上、PetiScanがやっぱりどこにもないのであった。なーんか妙なしこりが残った。敗北感とか未達成感とかそういう感じではない。残尿感とも違う。宿便感とはもっと違う。つい最近まで隣に住んでた気のいいおじさんが、突如引っ越しちゃったような、しかもなんか借金取りかなんかに追われて夜逃げしちゃったような、妙な虚無感である。意外な驚きと、なーんかつまんないなーという拍子抜けの感覚、か?



■ ぜってー買うゼ!!

ノートパソコンと接続したPetiScan
接続は、USBケーブル一本ですむため非常にすっきりしている
 そうして月日は多少流れ、俺は怒濤の勢いでニコンのCOOLPIX950を探し求めていて、PetiScanのことなんかこれっぽっちも覚えていなかった。COOLPIX950が欲しい!! 欲しいんだよアニキ!! 欲しいぜ欲しいぜ欲しくて死ぬゼ~!! とクルマで走り回っていた。

 自分でも驚くほどいろんなショップを駆け回り、やっとこさCOOLPIX950を発見!! 速攻ゲット!! よっしゃァ!! と満足感に浸っていたら、ショップの傍らにPetiScanがあるではないか。

 でも、COOLPIX950買った直後で、金がちょい心細い。PetiScanを買えば買えるのだが、買っちゃっていいのだろうか? 帰りにメシ食う金もなくなるなぁ。そーゆーギリギリのギリギリはイヤだなぁ……やっぱPetiScan買うのはまた今度に……そう思った瞬間、俺の脳内鬼軍曹が自動起動し、俺を叱咤激励した。

「何だ貴様はそれでも軍人か!! その寝ぼけた面を見たら敵が笑い死ぬだろう!! 貴様はまったく立派な人間兵器だ!! 糞にも劣る最終兵器野郎だ!! 糞にたかるハエくらいは殺せるように鍛えてやる!! まず腕立て1,024回だ!! それが終わったら腹筋4,096回!!」

 鬼軍曹の言葉の意味は、意味不明だったが、たぶんPetiScanを買えということだと思ったので、俺はPetiScanを買って空腹のまま帰宅し、水道水をガバガバ飲んで満腹感を味わった。
 ていうか、改めて考えてみると、俺にとってPetiScanなんて必要なのかどうか疑わしい。いやそれよりホントに欲しかったのかどうかも疑わしい。一瞬、アチャーやっちゃったぁ~いわゆるひとつの無駄遣いをやっちまった~、などと思った。物欲だけが一人歩きして、最終的には根拠ナシの買い物をしてしまう。もう物欲なんかとっくの昔に萎えちゃったのに、成仏できなかった物欲の亡霊に取り憑かれ、操られるように買ってしまう。イカンことだ。



■ 意外にもコレは……

 あ~イカンなぁ、フラフラっと買ってしまったなぁ~、だからもう1週間も箱から開けずにほったらかしてあるんだよなぁ~、このまま転売しちゃおうかな~。PetiScan、買ったはいいが、何となく“邪道な購入行動したのかも”と思いこんでい て、罪悪感みたいなものを感じて、箱から出してすらいなかった。もしかするとこれは希に見る“通電0回製品”となり、俺の部屋の下層の方に埋まり、風化していくのではないか、とも思った。

 でも、チョイとヒマな時間ができ、気分も上々だったので、試しに箱から出して使ってみた。そしたら、コレが意外に、いや、かなりイイ感じなのである。まず、インストールがすっげえ簡単だったのがいい。付属のCD-ROMからドライバをインストールし、その後USBケーブルでPetiScanを繋げば、(Windows 98マシンの場合なら)ほぼ自動的に使用可能になる。さっすが今時のUSB機器。気持ちよく使い始められた。チュ。

 もうひとつかなりイイ感じなのが、PetiScanがUSBポートから電源を確保している点。ACアダプタや電源ケーブルが不要なことは、携帯性を高めているのはもちろん、装置として非常に気持ちよく使える。全ての周辺機器はこうあるべきだよなぁと思えるスッキリ感がナイス。ただし、USBハブを使う場合は、500mAの電力が供給可能なハブを使う必要がある。無電源の2ポートUSBハブなんてのも市販されているが、ああいったハブじゃダメらしい。基本的にはACアダプタを接続して使うUSBハブにつなぐか、コンピュータのUSBポートに直接接続することになるだろう。

 PetiScanのドライバは、TWAIN-32対応で、TWAIN対応のグラフィックソフトなどから呼び出して使える。今時のスキャナらしく、楽勝感が高くていい。例えばフォトショップから直接PetiScanをコントロールしてスキャンすることができる。また、(俺としてはこーゆー挙動をするとは知らなかったのだが)PetiScanのSCANボタンを押せば、PetiScanとインストールしたTWAINドライバが勝手に連合して働いて、自動的に画像を読み込んで、BMP画像を生成し、Microsoftペイントを開いて表示してくれた。それと、PetiScan使用可能時には、タスクバーの右のトレイに、スキャナのアイコンが現れ、それを操作すると、SCANボタンを押してスキャンする時の解像度などをコントロールできる。

 PetiScanは、通常は100×148mm(ハガキサイズ程度)の原稿を読み取れるフラットベッドスキャナとして使う。が、原稿がどうしても上に乗っからないという場合は、PetiScanのフタ部分を取り外して、スキャン面を原稿の上に乗せてスキャンすることができる。つまり、原稿をスキャナの上に置くのではなく、スキャナを原稿の上に置くわけだ。単純な発想だが、フラットベッドスキャナの汎用性を高めつつハンディスキャナにはない解像度を出す、実にマジメなアイデアだと思った。なお、PetiScanを原稿の上に置いた場合でも、原稿の表面が確認できるように、PetiScanの底部にはのぞき窓が付いている。

 あと、TWAINドライバは、一見なんかチャチな感じだが、スキャンに必要な必要最小限の機能が揃っている。原稿のプレスキャン、本スキャンのボタン、範囲選択、dpi設定(72~4,800)などはもちろん、ガンマ補正やRGB出力レベル調整、YMCバランス調整、色相/彩度調整、輪郭調整、ノイズ除去などもできる。
 この他、PetiScanの詳細についてはNECの製品紹介ページ( http://www.pc98.nec.co.jp/product/ext/scan/mr800u/ )を参照していただきたい。

 俺の場合、PetiScanを21,800円で買ったのだが、PetiScanの性能やハードウェアの使い勝手、メリットなどを考えると、なんかヤケクソに安い買い物をしたような気分になった。意外にもイイ、どころか、かなりお得感があるスキャナだ。


■ これでいいじゃん、パーソナルユースなら

スキャン画像サンプル
写真の赤線の内側を実寸大で比較してみた。上がPetiScanで下がHP ScanJet 4Cによるスキャン結果。画像はPhotoShopで切り出し、最高画質のJPEGで保存した
 で、肝心のスキャン性能はどうなのかと言うと、外見に似合わない高性能ぶりだ。基本性能は300dpiで、今時のスキャナとしては少々解像度が低いような印象を受けるが、300dpiでスキャンする機会はそうそうない。プロのデザイナーなら話は変わるが、個人で趣味や遊び、それからドキュメントの図解などを読み込むために使うなら200dpi前後の解像度で取り込めば、ポストカード作成から写真合成まで十分できる画質を持った画像データとなるだろう。300dpiはパーソナルユースでは十分な解像度だと思う。また、擬似的ではあるが、解像度を4,800dpiまで高めることができるので、使い方次第でデスクトップタイプのフラットベッドスキャナに迫る使い方もできる。色も比較的きちんと出て、個人レベルで使うなら「ここまで出ればいいじゃん」という感じの、及第点以上の性能を発揮してくれる。

 ただ、デスクトップタイプのものに比べると、同じ300dpiでのスキャンでも、画像のキレは多少劣る感じ。例えば写真を高解像度でスキャンして、粒子を鮮明に出せるかと言えば、そこまでシャープなスキャンはできない。印刷物をスキャンしてYMCのドットがクッキリ見えるかと言えば、やはり全体的にボヤケた感じになる。まあ、PetiScanはあくまでも手軽に使えるカンタンなスキャナ。スキャン性能にこだわるような(業務向けの)使い方にはちょっと向かない。

 逆に、“カンタン&手軽”という意味では、PetiScan、ホントに手軽に使えて便利だ。USBでいつでもホットプラグできると言う点に加え、A5サイズで薄型というのは、置き場所を選ばない。本棚に立てておいて、使うときだけ取り出し、つなぎ、すぐスキャンできる。しかも電源不要ということで、もちろん携帯にも向くのだが、それよりもむしろ俺は、必要なときだけ利用できる都合のいいサイズというのが気に入った。どうせ個人で趣味とかでスキャンするのはハガキサイズ程度がメインだし、1週間に1度使えば“よく使う方”だ。だったら、じゃまにならずにしまえること、接続がカンタンにできること、ある程度のスキャン性能があること、この3点を重視したい。デカくて重くてジャマで接続するたびにマシンの再起動が必要でパーソナルユースとしては過剰な性能があるスキャナより、PetiScanの方が合理的だということは誰にでもわかる。

 PetiScanに関して、ひとつ残念な点は、スキャン速度の遅さ。スキャン可能サイズ最大にして、カラー原稿を300dpiでスキャンすると約1分かかる。これがもうチョイ速ければ、多数の原稿をザクザクとスキャンする気になるのだが……。

 とか書いてなんか、改めて第三者的に考えてみると、なんか俺はデカくて比較的本格的なスキャナ寄りにPetiScanを評価しているような気がしてきた。

 ぶっちゃけた話、ポータブルスキャナというのを抜きにしても、ハガキサイズのカラー原稿を1枚1分というのは、そーんなに遅くはない気がする。また、取り込める画像についても、例えばカラーの印刷物を取り込めば、表面のYMCの粒子のわりと細かいところまで見える。どのスキャナで取り込んだか言わなきゃわかんない程度の、高品位な画像が得られるのだ。それでこのサイズと扱いやすさがあって、2万円チョイで買えるとなると、やはりコレはかなりお得感が感じられる製品だと思える。

□PetiScan製品情報(NEC)
http://www.pc98.nec.co.jp/PRODUCT/EXT/scan/mr800u/

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp