スタパ齋藤

どっちも使えるからドッチーモ
ドコモSH811



■ どっちも使えるからドッチーモ

シャープ Doccimo SH811、38,700円。800MHzのデジタル携帯電話と64Kデータ通信対応PHSの一体機
 なんか、えーと、あの、まあ、わかりやすいって言えばわかりやすいのだが、NTT方面の各種サービスおよび機器のネーミングセンスってのはいかがなモンなのだろうか。かけ放題だからテレホーダイ、土曜と日曜だけだからドニーチョ、1回10円で10円メール。マジすかぁ!? 本気すかぁ!? ターゲットは誰すかぁ!? とか思ってしまうが、余計なお世話ではある。

 とか思っていたら、またこのテのネーミングのサービスが登場。デジタル携帯電話とPHSの両方が使えるサービス&端末のドッチーモである。どっちもだからドッチーモすかぁ!? マジすかぁ!? などと力が抜けてしまう俺であった。

 さておき、このサービスが登場し、その内容を調べた当初、俺としては「こんなの誰が買うんだよ」と感じた。と言うのは、携帯電話(PDC)とPHSが一体化した端末ってのはイイのだが、料金的にもサービス的にも、大したメリットがないと思ったからだ。

 ケータイとPHSが合体!! とクれば、ひとつの電話番号で携帯電話とPHSを使い分けられるのかも、合体型端末だから基本料金とか安いのかも、などと思う。そうかぁこのようにして携帯とPHSは徐々に統合されていくのだなぁ〜という予想に反し、その内容は、単に携帯電話端末とPHS端末が物理的にひとつになっているだけ程度のものなのであった。つまり、基本料金は携帯電話とPHSを別々に使ったのと同じで、電話番号もひとつの端末(Doccimo)内にふたつ登録されているのだ。

 そんなんじゃ、ケータイとPHSを別々に持った方がイイじゃん。どうせ今時の端末は小さいんだし。音が超イイけど通話エリア的にイマイチなPHSと、通話エリアは超広いけど音がイマイチなハーフレートPDCの、イマイチな部分を補完し合ったってわけかよドッチーモはよ!! ざけんな冗談じゃねえよ消費者をナメんなバカにすんと承知しねえぞオラ!! などと、ネガティブなことばかり考えてしまうのであった。

■ 俺の快適な電話ライフ

 で、何気なく、もうドコモなんかイヤだと思って、いまひとつ使用頻度の低い、ドコモの携帯電話の回線をひとつと、PHSの回線をひとつ、解約しに出かけた。ドッチーモとか言って消費者を煙に巻いてケータイとPHSの2回線を契約させようとする悪の電話会社なんかなるべく使わないようにするのだ!! という勢いで。

 ところが、ドコモショップでドッチーモのパンフ等を眺めていると、なーんか俺の解約テンションが下がるのであった。

 まあアレだよなぁ、ケータイとPHSが合体したっつって基本料金割り引いたりするとDDIとかIDOが黙っちゃいねえしなぁ。ヘタすると裁判沙汰ですよホントに。そうなるとやっぱり電話番号ひとつにまとめたりすんのも問題あんだろうなぁ。そーゆーのは携帯電話事業とPHS事業を一手にやってるドコモしかできないからズルいぞダメだヤメろ!! とかやっぱり大騒ぎなんだろうなぁ。などと、非常におおらかな気持ちになる俺なのであった。

 このおおらかな気持ちにおいて初のドッチーモ端末ことSH811のカタログなんか見ていたら、「そうか!! そうだよコレだよ!! 俺にはこれしかねえ!!」なんて気分になってきた。ドッチーモなら可能になる、俺の非常に快適な電話ライフが見えてきたのである。

 どういうことかと言うと、携帯電話とPHSが合体したということは、携帯電話にPHSのおもしろみが内蔵されたということだ。ドコモのPHSでは、ご存じのように、ホームステーションとかホームアンテナなどの機器を連携させて使える。結論から言うと、ドッチーモを使えば、家の電話(NTT加入電話回線)と携帯電話とPHSの回線を、SH811というひとつの端末で使いこなせるようになるのである。机上にコードレスホンとPHSとケータイを並べなくてもいい。同時に、SH811にメモリした電話帳が、俺のすべての発信を一手に支えてくれるようになる(ていうか端末ごとにメモリ入れなくて済む)。これは快適だ!! 快適過ぎる!! ドッチーモは実は携帯電話もPHSも家の電話も全部使えるのでゼンブーモなのであり、ゼンブーモとか言っている俺のセンスを考えると、ドコモのネーミングセンスは俺のネーミングセンスをかなり上回っていると言えよう。

■ ホームステーションとホームアンテナ

 話は逸れるが、ドコモのPHSと連携させて使えるオモシロ機器ことホームステーションやホームアンテナについて少々。

 まず、ホームステーションは、ドコモのPHSを家の電話(NTT加入電話回線)のデジタルコードレス子機として使うための装置。コレを使うと、ドコモのPHSで家の電話をかけたり受けたりできる。要は家庭専用のPHS基地局みたいなモンなのであるが、当然、ホームステーションに対して登録した端末しか発信や着信ができない。

 ホームステーションの便利なところは、手持ちのドコモのPHSを簡単に“PHSとフツーの電話の両刀端末”として使える点。家ではフツーの電話としてPHSを使い、そのまま外に持ち出せばPHSとなるので、実際使ってみるとかなり便利だったりする。さらにイカシてるのは、PHSを“デジタルコードレスホン”として使えるようになる点。

 一般のコードレスホンの多くは、アナログコードレスホンで、その気になれば誰にでも傍受できる。つまり、簡単に通話が盗聴されてしまうのだ。これはコードレスホン子機と親機の間での通信が、アナログ的変調をされただけの電波によって行われているからだ。実際、カーショップとかホームセンターとかディスカウントショップなどでは、コードレスホンから出る電波を簡単に受信できるような装置が売られまくっている。

 が、“デジタルコードレスホン”だと、そう簡単には通話を傍受されない。子機・親機間(この場合子機はPHS端末で親機はホームステーション)での通信は、アナログコードレスホンと同じく電波によってなされている。でも、アナログコードレスホンと違って、デジタル信号に置き換えられてやり取りされているので、フツーの受信機で受信しただけでは、会話が聞こえてこないのである。

 大雑把に言えば、アナログコードレスホンは離れた人と大声で会話しているようなモンで、デジタルコードレスホンは離れた人と大声の暗号で会話しているようなモンだ。まあ、この暗号を解けば、どちらにせよその会話は傍受されてしまうのだが……。
ともあれ俺は“非常に傍受されにくい”という意味でデジタルコードレスホンが大好きなので、ホームステーションが気に入っているのであった。なお、PHS端末は、解約して電話番号がなくなった状態のもの(白ロム端末)でもホームステーションに登録できる(つまり使える)。ちなみに、現在買えるホームステーションとしては、パルディオホームステーション903U-IIがある。903U-IIには、最大7台までのPHS(子機)が登録でき、通話圏は見通し100メートル程度。NTTナンバーディスプレイサービスには対応していないので、903U-II(ホームステーション)経由で電話がかかってきてもPHSに相手番号は表示されない。

 それと、ホームアンテナ。ドコモのPHSは、DDIポケットのPHSに比べ、基地局からの電波が弱いことは良く知られている。DDIユーザーはへっちゃらで室内での通話ができるのに、ドコモユーザーはダメ、なんてことも多い。ドコモのPHS基地局からの電波が室内まで届いていないからだ。この問題を解消するのが、ホームアンテナだ。

 ホームアンテナは基地局とPHS端末の仲介役をしてくれる装置で、PHS回線の電波的な中継局として働く。つまり、基地局から飛んでくる電波が最強に弱まっても、ホームアンテナを使えばその電波を再び強まったものにできる。なので、ギリギリ電波が届くけど時と場合とユーザーの姿勢や環境などによって届かないこともある、みたいな電波的に不安定な場所でも、安定した通話ができるようになる。なお、通常ホームアンテナを設置するのは家の窓際だが、窓際にPHSを持っていけば通話できることがホームアンテナの利用条件だ。どこに立っても全然通話できないような場所では、ホームアンテナを使っても通話できるようにはならない。

 なお、現在買えるホームアンテナとしては、パルディオホームアンテナHA-3S、パルディオホームアンテナHA-2Sがある。HA-3Sは基本的に室内で使うためのホームアンテナで、最大10台までのPHS端末を登録できる。HA-2Sは、外出先で使うのに向くホームアンテナで、最大20台までのPHS端末を登録できる。HA-2Sの方は、例えば外出先でのデータ通信を安定して行うなどの目的には非常に便利だ。喫茶店やファミレスの窓際で、HA-2Sを使ってモバイルしている人をたま〜に見かける。

 ドコモのPHSとNTT加入電話回線をつなげるホームステーション、ドコモのPHSでより安定した通話を実現するホームステーションは、一見特殊な機器に見えるが、誰が使ってもたいてい実用的に役立つアイテムなので、一度使ってみていただきたい。

■ SH811の使い勝手

本体上部に設置されたシャトルダイヤル。ボタン機能が分離されてしまったのが残念
 てなわけで、SH811とホームステーションとホームアンテナを組み合わせ、万能な感じの電話ライフを送っている予定の俺だったのだが、実はまだやっていない。私事で恐縮だが、この記事は引っ越しまっただ中で書いており、ホームステーションだのホームアンテナだのを設置するどころか、まずこの段ボール箱上原稿執筆環境を改善しろよって感じであり、それ以前にガス屋に電話してお湯くらいわかせるようにしなくちゃという状況なのであった。

 でも、ホームアンテナやホームステーションは、SH811としっかり連携するハズであり、その件はマニュアルにも明記してあるので、俺の快適電話ライフは近々実現するであろう。

 ところでSH811の端末としての使用感だが、これはかなりイイ感じだ。シャトルダイヤルとFボタンの連携、それからPHSと携帯の機能をスッキリまとめ(あるいは分けた)メニュー表示など、買ったその日からほとんど迷わず使いこなせた。俺の場合、NTTパーソナル時代の端末で、シャープ製の312Sと611Sを使っていたが、これらの端末と同様にスムーズな使用感がある。ただ、312Sや611S、あるいはSH206など、一連のフリップタイプのシャープ端末とは違って、SH811はボタン類丸出しのフツーのカタチの端末だ。俺としてはこれはかなり残念。フリップタイプで、しかもフリップ部分にマイクが内蔵されている端末ならバッチグーだったのに……。

 それから、基本的な操作(電話番号選択や各種機能設定など)は、前述のシャトルボタンを回転させてメニューを選ぶ→Fボタンで決定、という感じなのだが、これもほんの少々残念。回転するシャトルボタンが押し込めるような、つまりパルディオ312Sのようなスタイルが好きだった。特許関係の問題とかで回転ボタンと押下ボタンを分離してしまったのだろうか? ちょい残念。

 で、ドッチーモとして、すなわち携帯電話とPHSのデュアル端末としての使用感はと言うと、これはなんかこう、フツーである。ケータイ、PHS、どちらの番号にかかってきてもフツーに受話できるし、発信も(優先ダイヤルを設定しておけば)その時最も(通話料金的もしくは通話安定性的に)有利な回線を使って自動的に発信してくれる。(ちなみにモードボタンを押すことで設定外の回線を使って電話をかけるのも簡単だ)。つまり、特にアクロバチックな動作はしない感じ。意識せずに電話を使えるあたりは、非常にこなれた作りなのだが、電話野郎としてはちょいと物足りなさというかあっけなさを感じてしまった。

 ただ、やはり(きっとムリだろうけど)実現して欲しいのは、携帯電話もPHSも同じ番号にできたら、ということ。ドッチーモはこちらからかける端末としては、音の良さと通話エリアの広さを(別々にだが)ひとつの端末で持っていて、有利だ。が、普通の感覚では、複数の電話番号を連絡先として知らせておいたり、こっちがかからなかったらこっちに電話してとかことわっておくってのは、なんか煩雑だし面倒だ。まあ、仕事用が携帯の番号、プライベートがPHSなんてふうに使えば便利そうだが……。それじゃなければ、料金をどうにか割り引いていただきたいなんてことも思った。

 今のままでは、携帯電話端末とPHS端末が物理的に合体したことのメリットしかなく、例えば前述の“ケータイもPHSもNTT加入電話回線もひとつの端末で扱える”とか“電話帳を共有できる”とか“数台の電話機を持たなくて済む”くらいの、あればあったで便利かも知れないけど別にいいや的メリットしかない。“ケータイもPHSも両方使うなら料金がお得なドッチーモ”とか“ひとつの番号でケータイとPHSが使えるドッチーモ”とか“ケータイの回線とPHSの回線を自動的に切り替えて連続通話できるドッチーモ”とか、そういった、俺のハートをググッと鷲掴みにするメリットが欲しいと思った。

□ドッチーモ製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/products/doccimo/home.html
□SH811製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/sh811/text/index.html

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp