スタパ齋藤

すげぇ!! FinePix2700



■ 購入のきっかけ

FinePix2700正面 FinePix2700背面
富士フイルム FinePix2700
94,800円。230万画素クラスでは最小・最軽量。コンパクトなボディデザインはそのままに、高画質を実現。ただしズームはないので、購入前に用途を考えたほうが良いだろう
 思うに、何かを買う的決断みたいなものは、ほんの些細な事から喚起されているのではないか、と。最終的にモノを買う瞬間、我々消費者を後押しするのは、まったくもって些細なきっかけであることが非常に多いんじゃねえだろうか、と。

 まあ、普通、モノを買うときは、「糞ったれまたこのビデオデッキ壊れやがったもうアッタマ来たこんなの捨てて新型買う!!」とか「アタシの生活ってとても不便だわだって電話がいまだに電電公社時代の黒いダイヤル式のアレなのよだから最新のコードレスホン買っちゃおっと」とか「ここここコレは欲し過ぎる欲しいぜ欲しいぜ欲しくて死ぬゼ~ッ!!(俺)」など、原動力となる必要性とか欲求とかゆーモンが我々を動かす。動かされた我々は、ショップに行って、目的のモノを探す。

 で、いざ買おうという時。思い通りスッと買う時もあれば、意外なほど欲求が萎えることもある。スッと買える時は予定調和ってことで問題ないが、さっきまで“買おうと思っていた”のに、買うその場に来たら「ん~、やっぱ買わなくていいや」と思うことがあって、そう思わせるきっかけってのがけっこうつまらねえ些細なコトなんじゃないだろうか、と思うわけだ。

 多くの人は経験していると思う。例えば、朝起きたらもう全開バリバリの気合入りまくりのテンション高過ぎ状態で、しかも給料日直後の休暇ときた!! そうなんだボクには前から欲しいと思っていたモンがあって、それを買うお金もあって、時間的余裕もあって、しかも気力も十分にある!! そしてお外は快晴!! みんなが笑ってる!! お日様も笑ってる!! るーるるるるッる~今日もいい天気~、というコトでアレを買いにショップへゴー!! 目的の品があった!! 意外に安い!! さあ買うぜ買うぜ買うゼ~!! そんなふうになる。

 が、その場の些細な状況によって、もはや絶対に買うと思われていたアナタが、その行為を中止することがある。デジカメの展示品触ってみたいのに店員がずっといじくり中、ビデオカメラ触ってみたら電池が抜かれてて起動不能、触れた瞬間パスワード入力画面でパソコンに拒否された感じ、聞きたいコトがあるけど店員はレジの後ろでイチャツキ中、購入に踏み切る直前に携帯電話で彼女(彼氏)から甘い誘いが入った。

 一見別にどーってことないような状況が、最強に高まっていたアナタの購入意欲をスッキリと失わせてしまう。まあ、現代人っつーのは、寝床から出て電話するのがかったりいゆえ携帯電話を使ったり、ダイヤルアップの十数秒さえかったりいと思ってメールを読まなかったりするほど怠惰なのだ。何事においても怠惰でラクチンな方へと流れがちだ。誰でもそうだ。かったりいのはイヤ。キモチ良くてラクチンなのが好きっ、ということだ。いやいやワシは苦しくて大変でもキッチリしてた方が好きじゃ、なんて言う人もいるが、その人にとっては“苦しくて大変でもキッチリしてる”という状況全部が好きなのだと思える。

 ともあれ、この怠惰指向は買い物においても同じで、やはり消費者は気持ちよくラクチンに買いたい。だから、前述のような些細な状況は、ある意味すっげー重大なポイントなのだ。最初にアナタが感じていたテンションや積極性を少しでも失わせれば、アナタは買わねえ人になっちまう。逆に、その時デジカメに触れていたら、ビデオカメラが起動したら、スクリーンセーバーから抜け出られたら、店員が速攻で解説したら……少なくとも「買うぜ買うぜ買うゼ~!!」と思ってやってきたアナタは、ソレを購入するはずだ。

 買うか買わないか、買ってくれるか買ってくれないか。コレってホントに紙一重なのだと感じる。特に、衣食住に関係ない、いわゆる贅沢品とか非必需品などはそうだ。

 ところで、これとは逆に、別に買おうと思ってなかったけど思わず買ってしまったという状況もある。ちょっと気になっていたけど、購入を考えるには至っていない。そーゆー人は、まあ、普通の平凡なショップに入ってソレを見ても「ふぅん」とか思う程度で、突如買いたくなるってことにはならない。ところが、最強に強まってるし心得てるし気合も入ってるショップとかになると、この「ふぅん」を「むむむっ」に変換してしまうから凄い。そして、全然買う気がなくて「ふぅん」と思うだけのはずだった俺も、ショップのエナジーによって「むむむっ」と思って買ってしまったのだ。



■ 洗脳されちゃった俺

 それは、ヨドバシカメラ新宿店でのこと。最初、携帯電話を1本買って帰るだけの予定だった。が、まず、その携帯電話コーナーのお兄さんの仕事っぷりが超迅速で的確。打てば響くという感じで、何気なく質問したコトに対してすげえ速攻で十二分な情報が返ってくる。手際も超良くて、さすが新宿の量販店という感じだった。

 スコスコサクサクッという感じで携帯電話をゲットした俺は、最近のヨドバシはけっこーキてるなぁと思って、気をよくして何気なく別館へ。そうだ俺の時計は電池切れなんだっけ電池交換してもらおう!! と頼んだ係りのオジサンがまたすげえ親切かつ速攻かつ的確だった。ん~地方の時計屋さんとか携帯屋さんとかじゃこうはいかないなぁさすがだなぁ都会だなぁ~、とよりいっそう気分が良くなった俺は、パソコン売場へ。

 新製品が何台も陳列され、カタログもドッサリ、価格もさすがで、売場も広い。東京の量販店は、はぁ、すんげえべなあ~と歩いていたら、コンビニが1店舗入っちゃう程度のスペースに最新デジカメがズラリ。お~ココもすげえなあと思って見ていくと、最新型から何から数台ずつ展示されてて、カタログもありまくりで、周辺機器もあって、サンプル画像のプリントも多数。当然、デジカメは全部バッテリ入りで触って試せた。

 とにかくソコは活気があって、数分に一人という感じでみんなデジカメを買っていた。あっ奴はアレを買うつもりだな、おっこの人はコレか、むっアノコは最新型!! さすがに最強に強まった量販店、レジはひっきりなしに動き、常に紙幣が行き来している。で、何気なく手に取ったのがFinePix2700だった。

 ああコレか200万画素オーバーのアレってのは、というふうに何となくいじっていたら、コレがかなりイイ感じ。そこで、気になったことなどを店員さんに尋ねると、やはり的確&速攻で、俺の疑問が一瞬で氷解すると同時に、カタログからサンプル画像まで見せられた。そしてさっきまで米粒大だった俺の物欲は、アッと言う間にボーリングの球サイズに。高画質のモノでしたらコチラもありますよと別の機種を出され、でも230万画素ですのでこちらがやはりいちばん画質がいいしサイズも小さいし……という店員の口上を聞くうちに、ボーリングの球はもはや地球程度にまで膨張しており、購入してしまったのであった。

 たぶん、フツーのショップだったら買わなかったと思う。消費者に開かれた感じの展示品の豊富さとか、その気にさせる店員の知識や客との距離感、在庫。それから何人もの客が買っている状況。どれもこれも、そんなに大したことじゃない要素なのだが、これが合体するともはや最強に強まった物欲誘導要因となり、消費者を揺り動かしまくり、最終的には洗脳する。ん~さすが最強に強まった量販店である。参りました。



■ すげぇ!! FinePix2700

 ヨドバシカメラからの帰途で、俺は何となく後悔した。あ~久々に純粋な衝動買いをしてしまった~、と。最初は全然買う気がなかったのに買っちまった。俺ってFinePix700持ってるじゃん。しかもブツ撮り用にサイバーショットプロも持ってるじゃん。買いすぎじゃん>俺。ダメじゃん>俺。あ~あ。そんな感じ。

 が、家に帰ってFinePix2700を使ってみたら、さっきの後悔が速攻で喜びに変わった。とにもかくにも、このデジカメ、す~っげー高画質なのである。使えば即わかる。スペック的なことは富士フイルムのFinePix2700紹介ページを見ていただきたいが、このページに書いてあることはホントであり高画質でありマジで驚異的で圧倒的であった。

 最初、驚いたのは、やはりその解像度。230万画素パワーを見てやろうと、1,800×1,200ピクセル・ファイン(JPEG低圧縮)モードで窓の外を撮ってみた。そしたらアータ、枯れ木の枝から遠くの看板から、全部ビシッと写りまくり。パソコンのディスプレイ上でその画像を開くと、ピクセル等倍ではスキャン画像かデジカメ画像かちょっとわからない感じ。200%以上に拡大しないとデジカメ画像なのかがわからない。と同時に思ったのは、ショボいフィルム式カメラより絶対に絵がイイということ。デジカメがフィルム式カメラに追いついた感じだなぁ~、とついこないだ思ったのに、もうフィルム式カメラとの競争が始まっていて、けっこう勝率が高い感じだ。

 おいおいいきなりこりゃすげえよと思って、他にもイロイロ撮ってみた。何となくサボテンを撮ってみたら、サボテンの緑も鉢の茶色も見たとおりに写る。サボテンの表面は、薄い油の膜のようなもので覆われていたりするのだが、その薄膜の様子までもしっかりわかるのにビビった。もちろんトゲの1本1本も質感付きでクッキリ写っている。

 こりゃますますスゲぇってことで、家中のモノを撮りまくった。冷蔵庫の内部、野菜に果物、茹で中のたまごなど。あ、なんか全然大したことない被写体ですな。ド素人って感じですな。だが!! またもや俺は230万画素の凄まじさを見た!! それは、ビニール袋入りのセロリをマクロモードで撮った時!! マクロモードでは9~50センチまでの距離の被写体を撮れる!! でっ!! セロリの茎(!?)と葉は当たり前のようにしっかり描写され、加えて、表面を覆うビニールまで完璧にその質感がわかる!! 凄い!! FinePixのマクロってこんなに凄かったっけ!? ていうかこの画像を見るとイヤなコトを思い出す!! それは「ビニールに覆われた果物を鉛筆でデッサンせよ」みたいな学生時代の苦しい課題だ!! あーやだやだそんなモンどうして鉛筆で描かなきゃならねえんだよ写真撮れよ写真!! そう思ったもんだ!! しかし現在はFinePix2700とPhotoshopがある!! デジカメで撮影して画像処理ソフトでテクスチャ処理してグレースケール化!! デッサン終了!! 俺の勝ち!! くわッ!!

 マジな話、とにかくFinePix2700は描写力が凄い。これはもちろんそのCCDの解像度の高さというのもあるが、レンズとか色再現性とか、そーゆーカメラ的ノウハウも加わってのことと思う。本サイトのプロカメラマン山田氏のページや、富士フイルムのサンプル画像などもぜひ見ていただき、従来のデジカメでは成し得なかった質感表現をとくとご覧いただきたい。

【スタパ氏撮影の画像】
 画像をクリックすると、1,800×1,200の元画像を見ることができます。リンクした画像の容量は、セロリが851KB、トマトが819KB。

 
セロリ
おもしろがって家の中にあるモノを撮っていてビビったのがマクロモードでの撮影。机上にあったビニール入りセロリを、何となくマクロモードで撮ったらこのとおり。葉の一枚一枚の質感からビニール袋の硬さまで、こんなに描写力のあるデジカメが今まであっただろうか? 鮮度が写るってやつですな。撮影状況は、蛍光灯下で、マクロモードで、オート撮影で、勝手にストロボが光ったわけであって、俺は単にシャッターボタンを押しただけであった。なお、画像はFinePix2700が生成したもので、一切手を加えていない。
  トマト
このセロリすげえよリアルだようまそうだよ!! と感激したので、試しにトマトを撮ってみた。こっちもかなりキレイ。ビミョーにブレており、しかも背景がキタナイのはご愛敬っていうか俺がいい加減かつテキトーに撮ったからだ!! しかし怠惰な姿勢で撮ったわりにはキレイな画像である。大したモンだと言えよう。こちらの画像もFinePix2700が生成したもので、一切手を加えていない。


■ ハードウェア的にはどうか!?

 FinePix2700のサイズや使い勝手は、前のモデルのFinePix700とだいたいおんなじである。大雑把に言えば、サイズと重量がちょっとダウンし、本体上部にあった液晶小窓が本体背面に移り、電源ボタンが本体背面から本体上部に移り、電動のレンズカバーが搭載されている程度の違い。あ、もちろん高画質デジカメが超高画質デジカメになったという違いがある。

 使った感としては、まず、動作速度がググッとアップしていること。起動も、モード移行も、FinePix700の“ややたるい速度”に比べると、しっかり速くなっていて、体感速度では2~3倍速くなったような感じ。特に640×480等、ファイルサイズの小さい写真を撮った時は十分クイックに動く。逆に、1,800×1,200のファインなど、ファイルサイズのデカい写真だと、まだ多少遅い感じはするのだが、まあそーゆーコトをとりあえず掻き消すほど凄い高画質な写真が得られるので、細かいコトは無視していきたい。ていうかそういう細かい部分が気になる人は、ぜひショップで実物を動かしてみていただきたい。

 細かいところだが、レンズカバーが付いたのは、やはりナイスだ。本体を裸でポケットに入れておいても、レンズが汚れなさそうで安心だ。
 基本的なインターフェースは同じだが、物理的な複雑さが若干減った。モードダイヤル上に8種類あったモードが6種類に減ったことや、ボタン類の配置が洗練されたことで、全体的な操作のしやすさが増した感じがする。

 それから、色合いだが、これはアレだ。富士フイルムっぽさが増したと言えばいいのだろうか? 肌は黄色っぽさより赤みを強調する感じで、緑や青などがわりと自然に出て、赤はやや抑え気味で出ているような気がする。気がするだけなのだが……。一言で言えば和風!? ハデではないけどしっかりした色合いが出る日本人好みのチューンという感じ。俺としては全然違和感を感じなくて、キレイだと思える写りである。

 バッテリは、FinePix700のソレに比べるとサイズと蓄電容量が小さくなっている。で、使った感じだが、FinePix2700の方が、ちょっとバッテリ消費が激しいような気がするのだが、どんなもんだろうか。FinePix700の時のように「まだ全然減ってない」という感じではなく、最高画質のモードで十数枚撮るとバッテリの目盛りが一段階減るという感じ。まだ長く使っていないので、どんな雰囲気でバッテリが減るのか、感覚的にはイマイチつかめない。でもけっこうもちそうな気がする。

 あとはDCF(いろんなデジカメで同じスマートメディアを使っても混乱が起きないフォーマットだヨ!!)とかDPOF(F-DIサービスを使うときに便利なしくみ……らしい)に対応したようだが、俺としてはまだそこまでいろいろ使い込んでいないのでどうとも言えない。

 え~、その他は、え~と、特に変わったところはない。FinePix700のおおよその機能は継承されていて、使いにくかったところが改善されていて、画質がすげえ上がったという感じ。そんなとこです。 ところで、FinePix2700も、やはりスマートメディアに画像を記録するわけだが、なんか最近は32MBのスマートメディアなんてぇモンが売られてますな。しかも32MB1枚で12,000円とかで買えた!! きっとしばらくすると9,800円とかになってしまうのであろう。ちなみに、FinePix2700の1,800×1,200ピクセル・ファインモードだと、32MBのスマートメディアに約36枚の画像が記録できる。同じ解像度で、ノーマル(JPEG中圧縮)モードだと約71枚、ベーシック(JPEG高圧縮)モードだと約142枚。640×480だと、ファインで約181枚、ノーマルで約332枚、ベーシックで約498枚となる。32MBのスマートメディアが1枚あれば、まあふつーは全然問題ナシと言えよう。ていうか俺の2MBとか4MBのスマートメディアの立場は!! キャーやめて~どうせなら今すぐ64MBとかのスマートメディア出して~!! そしたら2MBとか4MBとか8MBとかは諦めますから。

 というわけで、230万画素パワーでアタマをガーンと殴られた感じの俺なのだが、なんか欲が出てきて、この先どんどん出てくる他社の200万画素超えデジカメも気になってきた。いったいどうなのか!? FinePix2700より良かったりするのか!? いや~ん気になるぅ~。

 150万画素デジカメが出切っちゃった一時は、あ~そうですか~デジカメも良くなりましたね~じゃあ忙しいんでさよなら、という気分だった俺だが、FinePix2700にビビってから再度デジカメ市場が気になり始めた。今年もまたなんかググッと盛り上がるのかも知れない、デジカメ市場。デジタルガジェットの楽しみがひとつ増えたような感じで、ちょっとワクワクしている俺であった。

□富士フイルムのFinePix2700ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj424.html
□富士フイルムのFinePix2700製品情報
http://www.fujifilm.co.jp/fx2700/index.html
□関連記事
【2月4日】富士フイルム、230万画素のデジタルカメラ「FinePix2700」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990204/fuji.htm
【2月5日】山田久美夫の富士フイルム FinePix2700β機実写レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990205/fuji.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp