鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第169回:6月4日~6月8日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


6月4日

■■ 本田雅一の週間モバイル通信
   長時間駆動と使いやすさを実現した新型MXとs30
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010605/mobile103.htm

バックライト(backlight)

 CRT(Cathode-Ray Tube)やプラズマディスプレイ(PDP~Plasma Display Panel)、有機ELディスプレイ(ELD~Electro Luminescence Display)などは、自分自身で光りを放つ自発光型のディスプレイだが、液晶はそれ自体が発光するわけではないので、表示に際しては外部の光源が必要になる。電卓の液晶パネルなどには、反射板を使って自然光を反射させるタイプがよく用いられるが、液晶ディスプレイの場合には、パネルの背面から光をあてるタイプが一般的で、この背面からあてる光源のことをバックライトという(※1)。ちなみに、パネルの正面から光をあて、自然光と同様に反射させるタイプもあり、こちらはフロントライトという(※2)

 バックライトの光源には、発光ダイオード(LED~Light Emitting Diode)やEL(Electro Luminescence~電界発光)ランプ、陰極蛍光ランプ(CFL~Cathode Fluorescent Lamp[※3])などがあるが、PCのディスプレイでは、冷陰極蛍光ランプ(CCFL~Cold Cathode Fluorescent Lamp)と導光板を組み合わせた方式が主流になっている。

 CFLは、平たく言えば蛍光灯のこと。放電による電子が管内の水銀と衝突して紫外線を放射し、これを管の内面に塗布した蛍光体で可視光線に変えて発光する仕組みである。放電を行なう際に、フィラメントで加熱して熱電子を放出させるタイプを熱陰極蛍光ランプ(HCFL~Hot Cathode Fluorescent Lamp)、加熱せずに高電圧をかけて放電させるタイプを冷陰極蛍光ランプという。前者は、大きな電流を流して高い輝度を得ることができるため、家庭の照明に使う蛍光灯はたいていこのタイプである。後者は、管を細くでき寿命が比較的長い(※4)ことから、液晶のバックライトにはこちらがよく使われる。

 バックライトの方式には、直下方式とエッジライト方式がある。直下方式は、U型やW型の管、あるいは複数の直管をパネルの真裏に配置する方式で、輝度を上げやすい反面、輝度ムラが生じやすい。エッジ方式は、CFLをパネルの端に配し、導光板と呼ばれる特殊なパネルを使って光を前面に放出するようにしたもので、液晶ディスプレイではこちらが主流である。このほかにも、ビデオカメラのビューファインダーをはじめとする小型の液晶パネルでは、パネルの裏に平面型のランプを使ったタイプもある。

※1 投射式の液晶プロジェクタの場合は、必然的にバックライトタイプになり、光源には強力なハロゲンランプやメタルハライドランプなどが用いられている。

※2 フロントライトは、パネルの端に配置するのでサイドライトと呼ぶこともあるが、エッジ方式のバックライトもサイドライトである。

※3 単にFLと呼んだり、CFT(Cathode Fluorescent Tube~陰極蛍光管)と呼ぶこともある。

※4 製品や使い方にもよるが、1~数万時間とHCFLよりも1桁高い。が、液晶に比べると短命であり、液晶の寿命が来る前に十分な輝度が得られなくなってしまうことが多い。

【参考】
□プラズマディスプレイ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980224/key19.htm#PlasmaDisplay
□有機ELディスプレイ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000128/key105.htm#OELD


微透過型液晶パネル
  びとうかがたえきしょうぱねる

 東芝が2001年にリリースした、反射型の画素と透過型の画素をミックスした、ハイブリッド型の液晶パネル。

 液晶は、分子の位置や配列に規則性を持つ固体と、不規則な液体の中間的な状態にある物質で、電界や磁界、温度などの変化によって分子の配列が変わり、光学特性が変化する性質を持っている。液晶パネルはこの性質を利用し、反射あるいは透過する光を制御して画面を表示する仕組みで、前者を反射型、後者を透過型という。パネルの前面から入射する自然光を反射して表示する反射型は、明るいところであれば最小限の消費電力で利用できる。一方の透過型は、バックライトの透過光で表示するため消費電力の点では不利だが(消費電力が3~4倍に増える)、低照度環境で高い視認性を得ることができる。

 携帯電話をはじめとするモバイル機器の普及と高性能化にともない、この両者の利点を活かし、明るいところでは反射型として、暗いところではバックライトを点灯させて透過型として動作する液晶パネルを各社がリリース。東芝では、画素の約8割を反射構造、約2割を透過構造で構成した低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルを開発し、これを「微透過型」と呼んでいる。

【参考】
□低温ポリシリコンTFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980924/key47.htm#polysilicon_TFT
□TFT液晶
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971216/key11.htm#TFT


6月6日

■■ Intel副社長ビル・スー氏グループインタビュー
   ~プライスポイントを増やすためPentium 4のクロックグレードを拡張する
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010606/comp08.htm

IHS(Integrated Heat Spreader)
 アイエイチエス

 Pentium 4やFC-PGA2パッケージのPentium IIIのCPU本体に取り付けられている、ヒートシンクとの接触面となるアルミ製のカバー。

 古くからあるICパッケージは、チップの本体(ダイ)がセラミックやプラスチックのケースの中に収められており、ダイと外部のピンにつながるリードフレーム間を、細いワイヤを使って配線していた(ワイヤーボンディング)。Pentium IIIやPentium 4は、ダイを配線基板に直接接合しており、この様な実装方式をフリップチップ(Flip Chip)と呼んでいる。このためFC-PGA(Flip Chip-Pin Grid Array~ここでは一般的なフリップチップ型のPGAという意味)パッケージは、従来の裏面に剣山の様にピンが並んだセラミックやプラスチックのケースではなく、四角い基板上にチップが貼りついたような形になっている。

 近年の高速CPUでは、チップが発する熱を効率よく発散させるために、パッケージに多数のフィンが付いたヒートシンク(heat sink~放熱器)を取り付けている。これは、放熱部分の面積が大きいほど放熱効果が高いからである。ところが、FC-PGAチップの場合には、ヒートシンクとの接触面が小さくなってしまうため、熱の伝導効率が落ちてしまう。IHSは、これを補助するためにチップ本体に取り付けられているカバーである。

【参考】
□シリコングリス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010510/key164.htm#SILICON
□ヒートシンク
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980428/key28.htm#HeatSink
□TDP(Thermal Design Power~熱設計電力)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010301/key155.htm#tdp

[Text by 鈴木直美]


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