鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第19回:2月16日~2月20日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


2月16日

■■コニカ、世界最高速の640MB MOドライブ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980216/konica.htm

ダイレクトオーバーライト (Direct Over Write)
 データの消去と書き込みのプロセスを、一度に行なえるタイプのディスクの書き込み方式。一般には、書き込み時に、消去と書き込みの2プロセスが必要だった、第一世代の光磁気ディスク(MO~Magneto-Optical disc)に対し、1プロセスで行なえるように改善した第二世代のMOや、他の方式を使った光磁気ディスク、光ディスクなどで使われる(磁気ディスクではあたりまえのことなので使わない)。

 磁気記録系のメディアに使われる磁性体は、内部に小さな磁石をたくさん持っているような物質である。この小さな磁石を同じ方向に向けて整列させると、磁性体は磁化された状態になり、この状態を保持し続けてくれるので、データを磁気のパターンとして記録しておくことが可能となる。ハードディスクなどの純粋な磁気ディスクが、超小型の電磁石ともいえる磁気ヘッドを使って、これを磁気的に処理しているのに対し、MOを代表とする光磁気ディスクの場合には、光学技術も採り入れている。

 具体的には、記録時に強いレーザー光を照射して、記録部分の磁性体をいったん加熱(温度を上げると保磁力が弱まり、一定の温度~キュリー温度~を越えると非磁性体になるが、光磁気ディスクには、比較的低い温度で保磁力を失う磁性体が使われている)。そこに磁界をあてることによって、保磁力の高い磁性体の特定の微細なエリアを、わずかな磁力だけで磁化できるようにしている(ちなみに読み取りの方は、弱いレーザー光をあて、磁性体の磁界による反射光の変化を検出する)。この時、当てる磁界の方向を変えて「0」と「1」のビットパターンを記録していく方式を「磁気変調方式」といい、MD(Mini Disc)などがこれを採用している。一方、常に一定の磁界をかけておき、レーザー光をあてた部分だけを磁化して行く方式を「光変調方式」といい、市販されている一般的なMOは、この方式を採用している。この方式では、1回のプロセスで磁性体を一方向にしか整列できないため、記録されているデータを書き換えるためには、いったん全てを「0」のパターン側に整列させ、その後に必要な部分だけ「1」のパターン側に再整列させるという、手順を踏まなければならない。したがって、書き込みにはディスクを2回転、書き込み後にベリファイを行なう場合には3回転しなければならないのである。

 最近のMOでは、この光変調方式でありながら、照射するレーザー光の強弱によって、消去と記録を一度に行なえるタイプが登場している。ただし、この機能を利用するためには、多層構造の磁性体を持つ、専用のメディアが必要となる。このメディアは通常、最終的な記録状態が保持される「メモリ層」、書き込み時にヘッドの磁界によって磁化される「記録層」、レーザー光による影響を受けずに、常に一定の磁化方向(例えば「0」の方向)を保持し続ける「初期化層」の3層から成る。メディアに高パワーのレーザー光をあてて、「1」の状態の磁力をかけると、その部分の記録層が磁化され、それがメモリ層にも転写され、「1」の状態を記録(記録層はその後初期化層の影響を受けて「0」の状態に戻る)。低パワーのレーザー光を当てた場合には、記録層は変化せず、メモリ層だけが保磁力を失い、その後、記録層と初期化層の影響を受けて「0」の状態になる--という仕組みになっている。


2月17日

■■クリエイティブ、同社初のPCIバス対応サウンドカード
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980217/creative.htm

MIDI
 (Musical Instrument Digital Interface)
ミディ
 電子楽器(シンセサイザー)の演奏情報をやり取りするために、コネクタやケーブルなどの物理的、電気的な特性と、その上でやり取りするデータフォーマットを規定したプロトコル。内外の楽器メーカーなどが共同で開発し、'82年に最初の規格を発表。現在は、米国のMMA(MIDI Manufacturers Association)と、日本のAMEI(Association of Musical Electronics Industry~社団法人音楽電子事業協会)が共同で管理し、機能追加や新たな規格の策定などを行なっている。

 インタフェースは、5ピンDINコネクタを使用した31,250bpsの非同期通信(PCのシリアルインタフェースと同じ通信方式)で、イン(受信)/アウト(送信)/スルー(受信したものをそのまま送信)の3種類のコネクタを使い、楽器(音源だけのものや鍵盤だけのもの、パソコンなども含む)同士を接続。演奏情報や操作情報を伝送す る。伝送するデータは、マルチバイト構成のフォーマットで、例えば、鍵盤をどれくらいの強さ(速さ)で押した、離した、ボリュームを幾つに設定した、ペダルを踏んだ……といった楽器の演奏(操作)情報を数値化し、リアルタイムで送信していく。MIDI自体は、演奏結果である音を送るのではなく、単にこのように操作されましたという情報を伝えるだけの規格であり、楽器が実際にどう反応してどのように演奏されるのかは、それぞれの楽器しだいとなる。

□MMA(MIDI Manufacturers Association)
http://www.midi.org/
□AMEI(Association of Musical Electronics Industry~社団法人音楽電子事業協会)
http://www.amei.or.jp/


 
GM
 (General MIDI)

ジーエム、ジェネラルミディ
 MMA(MIDI Manufacturers Association)によって策定された、電子楽器の音源の仕様。正式名称は「General MIDI System Level 1」といい、「GM」あるいは「GMフォーマット」と呼ぶこともある。

 MIDI規格そのものは、電子楽器間のコミュニケーション手段を規定したものであり、その結果である演奏の再現性に関しては、一切関知していない。GMは、この再現性の部分を高めるために、RP(Recommended Practice)という形で規定されている、MIDIを使った応用例の規格である(GMはRP-003)。ちなみに、一連の規格には、シーケンサの標準ファイルフォーマットを規定した「Standard MIDI Files」や、MIDIを使って様々な機器を制御するための「MIDI Machine Control」などがある。

 GMが規定しているのは、例えば、「1台で16パート分のアンサンブルが演奏できる音源であること(マルチティンバー)」等の、音源としての基本的な仕様。「プログラムナンバーの1番はピアノ」というような、基本的な音色の配列。最低限サポートすべきMIDIメッセージなどで、GM音源間であれば、ある程度同じように演奏されるであろうことが期待できる(あくまで楽器なので同じ音にはならないが、ピアノのパートで打楽器が鳴ったりするようなことはない)。


2月18日

■■MACWORLD Expo/Tokyo '98会場レポート 第1弾
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980218/macexpo1.htm

プラズマディスプレイ (Plasma Display)
 プラズマ放電を使って発光させる、平面型のディスプレイ(FPD~Flat Panel Display)。一般には「Plasma Display Panel」を略して「PDP」と呼んでいる。

 プラズマディスプレイは、ガスの中を放電することによって発光させるネオン管や、その時放射される紫外線によって、蛍光体を発光させる蛍光燈等と同じ原理である。成長著しいカラーディスプレイの場合は、後者の蛍光燈とよく似た方式で、透明な電極を付けた2枚のガラス基板を、ほんの少しの隙間をあけて配し、この隙間にガスが充填されている。前面のガラス基板は、格子状の黒い隔壁で仕切って表示セルを形成し、背面の基板は、反射性の高い白い隔壁で仕切って「赤」「緑」「青」の三色の蛍光体を塗布する。電極間に放電すると紫外線が発生し、蛍光体がこれに反応して各セルが発光するという仕組みである。透過光や反射光を使って表示している液晶ディスプレイと違い、プラズマディスプレイはブラウン管(CRT~Cathode-Ray Tube)と同じように自分自身が発光する自発光型であるため、視野角が広いという大きな特徴を持っている。構造も単純であるため、大画面化が比較的容易に行なえ、現在は30~50インチ級の薄型ディスプレイを支える主力技術となっている。


■■マイクロソフト、Office 98 Macintosh Editionを夏に出荷
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980218/ms.htm

VBA (Visual Basic for Applications)
ブイビーエー、ビジュアルベイシックフォーアプリケーション  Microsoft社が開発した、アプリケーション用のプログラミング言語。一般には、VBA、あるいは「Visual Basic for Applications」という名で呼ばれるが、「Microsoft Visual Basic programming system, Applications Edition」という長い名前もある。

 多くのアプリケーションは、定型処理をこなしたり、ユーザーインタフェースを作成するために、独自のプログラム言語(マクロとかスクリプトなどと呼ばれることが多い)を搭載している。VBAもそのひとつで、Visual Basic互換(ちなみにBASICはBeginners All-purpose Symbolic Instruction Codeの略)の文法と機能を持つ言語 として、Microsoft社が自社のアプリケーション向けに開発。'93年に、はじめてExcelに搭載された。その後、異なるアプリケーション間でも、同じスタイルでプログラミングできるように、WordやAccess等のOfficeファミリーに次々に搭載。'97年からは、サードーパーティ向けのライセンスも開始しており、Visioをはじめとする他社のアプリケーションでも採用されはじめている。

□VBAホームページ
http://www.microsoft.com/vba/

[Text by 鈴木直美]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp