VIA、DDR SDRAMとC3プロセッサに関するセミナーを開催
~Pentium4対応チップセットのPX266は第2四半期に出荷予定

 VIA Technologiesは都内のホテルでPCメーカーなどの技術者を集めて「VIA DDR Chipset & CPU Seminar」を開催した。このセミナーの中でVIAは、同社がCeBIT 2001で発表したバリューPC向けCPUであるC3プロセッサや、DDR SDRAMチップセットに関する詳細などを説明した。



●VIAはCPU市場においても自社ブランドを強力に推進していく

 今回のセッションは、CPUに関しては基本的にCeBITWinHECで行なわれたC3の発表会での内容と同じもの、チップセットに関しては1月にサンノゼで行なわれたPlatform Conferenceのプレゼンと同じもの、メモリに関する内容は2月に台北で行なわれたDDR Summitと同じものであり、基本的に特に新しい内容が公開されたということは無かった。

 CPUのブランドをCyrixIIIからC3に変更した理由について、VIA Technologiesのストラテジックプロダクトディレクターのエリック・チャン氏は「確かにCyrixブランドは既に世の中に知れ渡っているが、VIAのブランドもチップセット事業の成功により既に知れ渡りつつある。そうした意味では、今後VIA自身のブランドをより成長させていくことに集中していきたい」と、自社ブランドとしてC3を発展させていきたいという意向を述べた。

 さらに、Pentium 4のシステムバスライセンスがALiやSiSに付与されたのに、VIAにはライセンスされていないことが質問されたが、チャン氏は「確かに当社ではPX266というPentium 4用チップセットを計画している。これについては、現在インテル社とライセンス問題を協議しているところであり、顧客に対する出荷が開始される第2四半期中には解決し、顧客に対して法的な問題が発生しないようにしたい」と述べた。

VIAのストラテジックプロダクトディレクターのエリック・チャン氏 VIAが展示したMatthewを利用したIA(インターネットアプライアンス)。ペンオペレーションが可能


●「今年こそDDR SDRAMが立ち上がる年」とMicronの山下氏

 今回のセミナーにはエルピーダ・メモリ(NECと日立のジョイントベンチャのDRAMベンダ)、Micron Technology、Samsung Electronicsの3社がDRAMベンダーの代表としてセッションに招待されていた。基本的にはどのメーカーも講演の内容自体は2月のDDR Summitないしは1月に行なわれたPlatform Conferenceの内容と同じであり、特に目新しい内容が明らかになった訳ではない。

 ただ、微妙に各社の姿勢が違っていたというのが印象的だった。最もDDR SDRAMに対する積極的な姿勢とアグレッシブな価格政策を打ち出していたのが、Micron Technologyの山下氏だ。山下氏は講演の中で「ここではっきりと申し上げておきたいが、当社ではDDR SDRAMは今年こそ立ち上がると宣言したい。第2四半期にはPC133の価格と、PC2100の価格をほぼ同じレベルにする。これによりDDR SDRAMの立ち上がりを促進していきたい」と従来からの戦略に変わりがないことを明らかにした。これに対してエルピーダメモリ テクニカルマーケティング本部 営業技術部 部長 樋口三左男氏は「DRAMの価格は需要と供給で決定する。0.13μmプロセスの世代ではSDRAMとDDR SDRAMを同じダイで作ることができるようになる。そうなれば価格は同じになると思うが、現時点では難しい」、Samsung Electronicsのメモリー部門副社長のYunho Choi氏は「DRAMの価格は生産量などにより変わりやすい。現時点ではDDR SDRAMの生産量はさほど多くないので、同じにするのは難しいと思う。すべては需要次第」と、微妙にDDR SDRAMに対する温度差の違いが感じられた。

 さらに、RAMBUSとのコストに関する比較についての質問もでたが、VIAが開いたDDR SDRAMに関するセミナーであることを反映してか「この場ではコメントは差し控えたい」(エルピーダ・メモリ 樋口氏)とエルピーダ・メモリとサムスンがコメントを避けたのに対して、Micronの山下氏は「係争中の問題でもあるので、Direct RDRAMに関するコメントはできない。ただ、1つだけ言えるとすれば、Direct RDRAMはロイヤリティが高すぎて、DDR SDRAMと同じ価格になることはあり得ない」とのべ、RAMBUSに距離を置くMicronと、RAMBUSとDDRの両方に軸足をおくエルピーダとSamsungというコントラストが印象的だった。


●展示会場では世界初公開の「DDR SDRAM対応Micro DIMM」

Micron Technologyのセッションでは再びアグレッシブな価格戦略に変更がないことが強調された
 引き続きセッション終了後には展示会が行なわれた。展示されていたのはVIA TechnologiesのDDR SDRAM対応チップセット(Apollo Pro266、Apollo KT266)を搭載したマザーボードや、DDR SDRAMのメモリなどだ。

 基本的には既に発表されていたりするものがほとんどだったが、メモリモジュールメーカーのメルコでは、同社がJEDECのワーキンググループで開発を続けているDDR SDRAMのMicro DIMMのサンプルを公開した。既に、ノートパソコン用のDDR SDRAMのメモリモジュールである200ピンのSO-DIMMに関しては、メルコなどがJEDECで開発に参加し、規格策定が終了している。これに対して、よりフォームファクタの小さいMicro DIMMに関しては、現在もJEDECで規格の策定が進んでおり、メルコはそのMicro DIMMのワーキンググループに参加し、規格策定に協力しているという。DDR SDRAMのMicro DIMMは174ピンで、200ピンのSO-DIMMとの違いは以下のようになっている。


【DDR SDRAMのノートパソコン用メモリモジュール】
ピン数サイズ面積
SO-DIMM200ピン67.6×31.75mm2,146平方mm
Micro DIMM174ピン45.5×30mm1,365平方mm


 と、200ピンのSO-DIMMに比べてサイズや実装面積が小さくてすむため、日本で人気のサブノート、ミニノートにDDR SDRAMを搭載させるためのメモリモジュールとして注目を集めており、1月に開催されたPlatform Conferenceでも、JEDECのMemory Parametrics Committeeの議長であるビル・ガルバジ氏により規格の状況が公開され、さらに4月にはサンプルが提供されると説明されていた。今回メルコが公開したのはその174ピンのMicro DIMMで、同社が独自に開発したCSPパッケージ(メルコのロゴがついている)を利用しているため、高クロックへも対応可能で、333MHzでも動作が可能となっているという。つまりPC2700に対応したMicro DIMMということになる。

 この他、やはりPC2700に対応したSO-DIMMなどが展示されていたほか、まもなく発表されるというVC SDRAMを搭載した144ピンのSO-DIMMが公開されていた。ノートパソコン用のメモリにVC SDRAMを搭載したメモリモジュールは初めてであり、注目に値すると言える。なお、VC SDRAMを利用するにはチップセットが対応している必要があるが、現在多くのノートパソコンはVC SDRAMに対応していないインテルチップセットを搭載しており、すべてのノートパソコンで使える訳ではないが、VC SDRAMをサポートしているVIAやALiのチップセットを搭載したノートパソコンで使うことが可能だ。メルコによれば新製品の発表時に、対応ノートパソコンを明らかにするとのことで、VIAやALiのチップセットを搭載したノートパソコンを所有しているユーザーには要注目の製品といえる。

メルコが展示した174ピンのDDR SDRAM搭載Micro DIMMであるDM333-128M。表示に200ピンとあるが174ピンが正しい。PC2700の規格に対応しており、333MHzで動作し、ピーク時バンド幅は2.7Gbyte/sec メルコが展示した200ピンのDDR SDRAM搭載SO-DIMMであるDN333-128M。PC2700の規格に対応しており、333MHzで動作し、ピーク時バンド幅は2.7Gbyte/sec VC SDRAMを搭載したSO-DIMMであるVCN133-128M。133MHzのVC SDRAMを搭載している。VC SDRAMを搭載したものは、ノートパソコン向けメモリモジュールとして初

□WinHEC 2001レポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/hec01_i.htm
□CeBIT 2001 Hannoverレポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/cebit01_i.htm
□Platform Conferenceレポートリンク集
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/link/pfc01_i.htm
□DDR Summitレポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010206/ddrs1.htm

(2001年3月30日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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