DDR Summitレポート【カンファレンス編】

2001年こそDDR SDRAM離陸の年

会期:2月6日

会場:台北国際会議中心

 VIA Technologiesは台北国際会議中心において、DDR SDRAMの普及をアピールするためのプレスカンファレンスであるDDR Summitを開催した。昨年の10月の終わりにAMDがAMD-760を発表して以来、VIA、ALi、SiSといったチップセットベンダが次々とDDR SDRAM対応チップセットを発表しているが、実際にDDR SDRAMを利用したPCなどのシステムはほとんどなく、いまいち盛り上がり感に欠けているのが現状だ。

 今回のDDR Summitは、DDR SDRAM普及のキープレーヤーの1人と言えるVIA Technologiesがそうした状況を打破すべく、DDR SDRAMの普及を促進するために開催したイベントだ。VIA Technologiesの社長兼CEOのウェン・シー・チャン氏による基調講演や各メモリデバイスベンダによるDDR SDRAMに関する状況説明などの講演が行なわれた。


●「2001年はDDR SDRAM離陸の年となる」とVIAのチャン氏

VIA Technologies社長兼CEOのウェン・シー・チャン氏
 最初の基調講演に登場したのは主催者であるVIA Technologiesの社長兼CEOのウェン・シー・チャン氏だ。チャン氏は「VIAは'96年以来DDR SDRAMに対して多大な投資を行なってきた。昨年、そして一昨年とVIAが提唱してきたPC133は、ユーザーに対して優れたソリューションを提供してきた。そして、今年はDDR SDRAMにてそれを展開できると思う」と語り、PC133 SDRAMで見せたような成功をDDR SDRAMでも繰り返すことことできると述べた。「DDR SDRAMの利点は、その性能、コストなどにある。このイベントに参加することでDDR SDRAMがどうして成功するかを実感することができるだろう」とし、このイベントがDDR SDRAMのメリットをプレスなどにアピールしていく場であることを強調した。

 チャン氏は「DDR SDRAMが成功するという理由はオープンスタンダードである点にある。VIAはSamsung、Hyundai、Elpida Memory、Micron Technology、Infineon Technology、そしてAMDといったパートナー各社と協力して2001年をDDR SDRAMが離陸する年としていきたい」と述べ、今年度中にDDR SDRAMを立ち上げることに強い意欲を示した。

 また普及のための具体的な方策として、「技術的には、333MHz、400MHzとどんどんクロックを上げ、よりバンド幅を広げていく。さらに、メモリデバイスメーカー、モジュールメーカー、テスターメーカー、マザーボードメーカーなどと協力してバリデーション(互換性検証)プログラムを推進していきたい」と述べ、より高クロックのDDR SDRAMのソリューション、DDR SDRAM陣営の課題と言われるバリデーションプログラムの強化などの普及促進策について言及した。

 なお、講演の終わりには「来年にはもう少し大きなイベントを開催したい。そのイベントにはぜひとも“I”のつく会社にも参加していただきたいものだ」とジョークを飛ばし、会場から拍手喝采を浴びていた。


●DDR SDRAMは今後値段が下がっていくとAMI2のローデン氏

AMI2社長のデジ・ローデン氏
 引き続き、やはりDDR SDRAM陣営のキーマンの一人であるAMI2のデジ・ローデン氏によりDDR SDRAMの市場動向についてのプレゼンテーションが行なわれた。AMI2は「PC-2100」「PC-1600」といったPC用DDR SDRAMメモリモジュールの規格を提唱したメーカーで、DDR SDRAMの規格策定の動向に影響力を持っている。

 ローデン氏は「現在メモリで最も重要な要素は“価格”だ。PC業界は価格に対してセンシティブになっており、価格こそがメモリの標準を決める要素となっている」と述べ、低価格なメモリこそが次世代メモリの標準になれると主張した。「メモリは需要と供給により価格が決定される。現時点で、DDR SDRAMはSDRAMに比べて若干の上乗せ価格があるのは事実だが、これはDDR SDRAMに対する需要が高まれば、供給が増え価格は下落する」と述べ、現時点でのDDR SDRAMとSDRAMの価格差はまもなく解消されるという見通しを明らかにした。

 さらに、DDR SDRAMのロードマップを示し、現在のPC-2100/1600の後継として

メモリデバイス実クロックバンド幅
PC-2400DDR300150MHz2.4GB/秒
PC-2700DDR333167MHz2.7GB/秒
?DDR-II 400-800200~400MHz3.2~6.4GB/秒

とDDR300とDDR333を利用したPC-2400、PC-2700をPC用メモリの規格として制定していくことを明らかにした。なお、DDR333のあとには、DDR-IIと呼ばれる第2世代のDDR SDRAMの規格が用意されている。こちらでは実クロックレベルで400MHzまでクロックが上げられると見られており、各メモリメーカーなどで研究が開始されている。

メモリの最も重要な要素は「Price」(価格)になっているとローデン氏 DDR200/266のあと、DDR300、DDR333、DDR-IIと進化していく DDR SDRAM普及の鍵を握るウェン・シー・チャンVIA社長とデジ・ローデンAMI2社長


●DDR-II/400MHzの試作に成功とSamsung

 引き続き、Hyundai、Samsung、Micron Technologyのメモリデバイスメーカー3社によるプレゼンテーションが行なわれた。中でも注目を集めたのが、SamsungとMicron Technologyのプレゼンテーションだ。

 SamsungはDirect RDRAMを生産するトップベンダーであるため、DDR SDRAMには冷淡な印象がもたれているが、決してそのようなことはなく、'97年にVIAとDDR SDRAMに関する最初のデモンストレーションを行なったのは実はSamsungだ。そのSamsungのプロダクトプランニング兼アプリケーション担当副社長のジョン・カン氏は128MbitのDDR-IIのメモリチップの試作に成功したことを明らかにした。

Samsungは急速にDDR SDRAMを立ち上げていくと表明 DDR-IIの試作に成功 DDR-IIのクロック波形

 それによれば、製造プロセスルールは0.17μm、インターフェイスはSSTL-2で、駆動電圧は2.5Vになっているという。パッケージはBGAとTSOP-IIで、200MHz(DDRなので400MHz相当となる)のクロックで動作しているという。なお、Direct RDRAMのトップベンダであるという同社の難しい立場を反映してか、カン氏は「今後も当社はDDR SDRAMを推進していく。SamsungはDirect RDRAMであろうと、DDR SDRAMであろうと顧客が望むものを提供していく」と述べ、全方位外交であると付け加えることを忘れなかった。

DDRの価格差はなくなる

 Micron Technology DRAMマーケティングマネージャのジェフ・メイロー氏は「Micronの価格戦略は非常に明快だ。既にDDR200(PC-1600)に関してはPC133 SDRAMと同価格で出荷している。DDR266(PC-2100)に関しては現在10~20%程度の価格差があるが、これも第2四半期にはPC133 SDRAMと同価格にする」と述べ、今後歩留まりの向上などによりPC-2100に関してもPC133 SDRAMと同じ価格で出荷できるようになると述べた。同時に同氏は、同社がMicrosoftとXboxに利用するDDR SDRAMを供給する契約を結んでいることを明らかにし、さまざまな用途にDDR SDRAMをつかっていくことで今後価格は下落していくとした。

 なお、メイロー氏は「当社もDDR-IIを研究室レベルで研究中。まもなく試作にこぎ着けることができる」と述べ、MicronもDDR-IIに積極的に取り組んでいるとアピールした。

□DDR Summitのホームページ(英文)
http://www.via.com.tw/company/ddrzone_pav1.htm

(2001年2月6日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]


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